花粉症
花粉症だから、春は嫌いだ。
「ぶぇっくしょん!」
「先輩、きたなーい。」
「うるさい。お前にはわかんないだろうが、花粉症っていうのは辛いんだ。」
「私も花粉症ですよ!だからその辛さ、わかります。」
「嘘つけ。この時期に目が赤くないやつは、絶対に違う。」
「えー。」
「お前に花粉症になる呪いをかけてやる。」
「やめてください。」
「ほらみろ。」
窓際での特別な時間。私の大好きな時間。
なのに、今日で終わる。
「先輩。」
「ん?」
「卒業、おめでとうございます。」
「おう。」
このまま、時間がとまればいいのに…
「あー、浮気してる。」
「してねぇよ。後輩と話してただけ。」
「ホントかな?」
先輩は知らないんだろうな。
「じゃあ、またな。」
その笑顔を大好きなことも。
今日から、先輩のいない1年が始まる。
最初から先輩の世界に私はいなかったみたいだけど、私の世界ではずっと王子様だった。
「先輩のばか。」
呟いた声は、風にかき消される。
まだ、失恋してないもん。
赤くなった目を擦る。
これだから、春は嫌いだ。
初めて書いた小説です。