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第三話 メルルは竜と邂逅する

メルルとラナはジャイに先導され森を進む。

「で、ジャイ、どんなところなのよ?」

「それはついてからのお楽しみだ」

「お楽しみ…ですか?」

メルルは段々と不安になってくる。例えばジャイの言う場所が村の掟に触れる場所だったらどうするのだろうか?

…幸いというべきか村の掟を破った罰に極刑の類はなく、最悪の場合で路銀を持たされた上での追放らしいが…。

「お、見えてきたぞ!あれだ!」

「どれどれ!」

見えてきたのは、ただの岩肌にある洞くつの入り口である。

「…ただの洞くつのように見えますが…?」

メルルは疑問符を浮かべる。

「中がすごいんだよ!」

「…具体的には?」

「もう、メルル、大丈夫よ、早くいきましょう」

何かがおかしい、メルルは違和感を覚え始める。二人が普段より強引なのだ。

「はぁ、メルルはホント怖がりだな、じゃあ俺が先にはいるからそれについてこい!」

そういうや否や、ジャイは走り出して、洞くつに飛び込んで行ってしまった。。

洞くつ、そうこの洞くつもおかしい、こんなものがあれば村で噂になっているはずだ。

「ほらメルル!行くよ!」

「え、ちょ、あの」

普段より強引なラナに引っ張られ、メルルは洞くつへと入っていく。





洞くつの中は…松明もないのになぜか明るかった。

ここでメルルは危機感を覚え始める。

「あの、ラナ、ジャイ、そろそろ引き返しませんか」

メルルは二人にそう提案する、だが。

「…」

「…」

何故だか二人からは反応はない。二人はただ黙々と洞くつの奥へ奥へと歩いていく。

「あの!ラナ、ジャイ!」

大声で二人に呼びかけるが…反応はない。

(これは…恐らく…何かの罠っ!)

メルルは直観する、これは罠だと。

とそんなことをしているうちに洞くつの終わりへと辿り着いてしまった。

目の前にあるのは強固な岩盤と思われる。これ以上先はないように思われた。

そこに着いた後、ラナとジャイの二人は無表情でただただ突っ立ている。

なにかが、起きている…。

「だ、誰かいるのですか!?何が目的ですか!?」

メルルは叫ぶ、すると…。

何の前触れもなく、メルルの足元に穴が出現する。

「へ?…きゃああああああ」

足元に穴が出現したのだ、もちろん重力に引かれメルルは落下する。どこかへと。





「ここは?」

当然、足元に出現した穴に落ちたメルル、気が付くと巨大な地下空間にいた。

「わ、私は落ちたはず」

なぜ自分がここに突っ立ているのか…まるで理解できないメルル。

そんな混乱しているメルルに。

『全く、やっと、現れおったか』

突如謎の声がかけられる。

「!?誰ですか!」

メルルは慌てて声のした方を振り返る.

そこには…黒くて巨大な何かがいた。

「!?」

それは…異形の黒い竜、であった。黒い金属光沢を放つ体躯、その体躯の至るところから突き出ている大砲の砲身のようなもの、他にもミサイルを格納しているミサイルポッドと思われるもの。

「機械の…ドラゴン?」

そう、まるで戦艦そのものが竜の形にトランスフォームしたような、そんな異形の機械竜。

『さよう、我は古代アルカ文明の技術の粋をもって創られた、人造の竜、「黙示録ノ竜〈シンギュラリティ〉」である』

「人造の…竜!?」

『待っておったぞ、適合者たる、竜狩りの一族の子よ』




メルルは驚愕していた、仕方ないだろう、子供の遊びに付き合っていたら、この世界のキーパーソンと思われる竜そのものと接触してしまったのだから。

(状況はまるで分りません、しかし…)

メルルは推測する、そして言う。

「…あなたがあの子たちを操って私をここに誘導したのですか?」

『ほう、理解が早いのな、そうだ、我があれらを操って、貴様をここに誘導したのだ』

なるほど、メルルは納得した、あの尋常ではない二人の様子はこの竜に操られていた故、ということかと。

「…なにが、目的なのですか?」

『言ったであろう、貴様が適合者であったからだ、竜狩りの一族の子よ』

メルルには様々な疑問があった、だが、一番気になるのは…

「…竜狩りの…一族?」

『…ふむ?それも知らぬか』

シンギュラリティと名乗る異形の竜は少々困惑しているようだ…メルルの無知に。

「ええ、私は何も知りません、外の世界の事も…」

『…それは少々困るな、適合者よ…ならば我が教えよう』

「…なにをです?」

『…この世界についてだ』

そうして語りだす、黙示録ノ竜〈シンギュラリティ〉は、この世界について―






この世界は最初小さな可能性の泡であった。

それを高次元生命体「始祖竜」が発見、それに魔力をそそぎこみ、この世界は誕生する。

誕生した世界はただ乾いた大地と、海が広がるだけの虚無の世界。

始祖竜はこの世界を管理するものとして、14の超生命体「竜」を創り出す。

創り出された14の竜はさまざまな生物を創り出し、そして最後に地上の支配者になる者たち「人」を生み出す。「人」は竜の庇護のもと徐々に高度な文明を形作っていく。

それまでは順調だった、だが問題が発生する突如、邪悪で強力な生き物「魔物」が大量発生する、さらに「魔物」に対する意見の相違で14の竜が半分にわかれ片方は「大罪ノ竜」、もう片方は「美徳ノ竜」と名乗り、対立を始めた。始祖竜が直接創造した竜たち力はすさまじく、戦いに巻き込まれた人の文明は「魔物」の災禍と合わさり危機に陥る。そんな争いを続ける竜たちにとうとう愛想を尽かした人は竜たちを殲滅することを決意する。人はそれまでに培った科学と魔法の叡智のすべてを注ぎ込み、超兵器である人造の竜「黙示ノ竜」と竜にとどめを刺すことができる魔法の武器「竜滅装」を宿す竜狩り人を創造する。黙示録ノ竜と竜狩り人たちの力はすさまじく、瞬く間に14の竜たちの実体を滅ぼすことに成功する。魂だけとなった竜は人間たちに屈することとなる。子が親を越えた瞬間であった。その後、魂だけとなった竜は人と協定を結ぶ、一つ、竜は人に最大限力を貸す。二つ、その代わり人は黙示録ノ竜と竜狩り人の力を封印する。それだけの協定だ。

その後は竜が人に直接力を分け与えた「竜人」なる存在により魔物による災禍も収まっていくことになる…




『…というわけだ』

シンギュラリティが語ったそれは、創世記から現在までの世界の歴史の概要であった。

「…つまり、私は竜狩り人の末裔で、あなたは黙示録ノ竜そのものというわけですか」

『ああ、そうだ』

…何とも壮大な話である、つまりメルルの生まれた村は…竜狩りの隠れ里…と言ったところであるか。

衝撃の真実だ。まさか不自然な部分はあれど、ただの閉鎖的な村だと思っていたものの正体がこんなものであったのだから…。


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