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表面上に騙されて

作者: 橘菊架

よくある話です。




人目を引かない、存在が薄い。

誰もが彼女をそう言った。


艶やかな黒髪は美しい。だが、それだけだ。

黒髪は少し珍しいものの、全くいない訳ではない。つまり没個性。

黒曜石を思わせる瞳はしっとりと濡れた様ではあるが、目力が乏しいのか、印象は薄い。

鼻は高すぎず、かと言って低いわけでもなく。

唇は厚くなく、むしろ薄めであり、より印象を薄くさせた。

顔のパーツ自体は悪くなく、むしろ整っている部類であり、配置も悪くない。

だが、印象が薄い。ついでに言うと表情も希薄であった。


なので、彼女は影の様だと言われ続けてきた。

自己主張するでもなく、粛々と言われた事に頷き従う。

美しいが存在感が薄く、感情を持ち合わせているのかも不明な人形の如き女。


同じ様な顔立ちで、表舞台で溌剌と店を切り盛りする女と同一人物だと言って、誰が信じただろうか。

結婚をしていた男だって、気がつかなかったのだ。


それほどまでに、表情や立ち振る舞いで印象は変わる。


そして、話は少しばかり前へと遡る。


**


「エルティダ、子供が出来たんだ」

「……旦那様とは床を共にしておりませんが」


エルティダと呼ばれた女の肩からするりと艶やかな黒髪が滑り落ちた。

旦那様と呼ばれた男はエルティダを小馬鹿にする様に鼻で嗤う。

毛先がカールした金髪は陽を浴びた小麦の様に輝き、良く手入れされている事が窺える。ぱっちりとした目は小麦色のまつ毛に縁取られ、海を思わせる青が映える。

鼻筋の通った高い鼻に、少し厚みのある唇は艶かしい。彼の名はシャルルと言う。


「私と、恋人の間に出来た子だ。引き取って跡取りとして育てる事にした」


胸を張り、そう声を張ったシャルルに対し、エルティダは眉根を寄せて僅かに怪訝な顔をする。

目敏く表情の変化を読み取ったシャルルはエルティダを睨み付けた。


「何か言いたいのか。行き遅れそうになっていたお前を娶った私に」

「いえ。ですがもう私達は名ばかりの貴族です。旦那様は次男ですし、私は末娘」

「なに、お前が立ち上げた商会があるだろう?そこを継がせる」

「お言葉ですが、旦那様。商会の方は既に後継を育てておりますので無理です」


ぴしり、と固まるシャルルにエルティダは目も向けず、思わず溜息を零す。


「それに、婚姻を結ぶ際に約束したはずです。私の仕事には口を出さない、と。私も旦那様の仕事に口を出した事はありませんでしょう」

「だが、それは」

「私との結婚を境に宮廷勤めを辞め、遊び呆けていた旦那様に文句も言わずお金を出していた私になにか言う事がありましょうか」


下唇を噛み、下向くシャルルには何も言えない。本当にその通りだった。

親のコネで宮廷での仕事にありついたものの、商会を持つエルティダとの婚姻を境に、ここぞとばかりに辞めた。そして、エルティダの収入を頼りに生きていた。

エルティダに食指が動かず、初夜をすっぽかし、結婚から数ヶ月、遊びまわっていたのも事実。こんなに早く浮気相手との間に子供が出来るとは思わなかったが、今まで文句を言わなかったエルティダの事だ。すんなりと受け入れて金を払ってくれるだろうと楽観視していた。


それに、結婚している身でありながら、自分の子供に商会を継がせるつもりが毛頭ない事に、シャルルは少しばかり腹を立てていた。

床を共にしないのは自分が悪い。だが、誘っても来ないエルティダも同罪だと思う。

もしかしたら関係が良くなり、シャルルとエルティダの間に子を儲けるかも知れないじゃないか。そうなってもこの冷血な女は自分たちの子供に後は継がせないと言うのだろうか。


「子供は引き取り、恋人は乳母として、雇う。もう決めた事だ」

「でしたらそちらの方とご結婚されたらよろしいかと。離縁致しましょう」


縋り付いてくる事は無かった。

エルティダはなんでもない事の様にそう言うと、一度部屋を出て行った。

追いかけるにはプライドが邪魔をして、シャルルはソファーから動けずにいた。代わりに、これからどうするべきかと必死に頭を動かしていた。


すぐにエルティダは戻ってきた。

羊皮紙と万年筆を持って。

机の上に広げられたのは離縁届。準備が良過ぎる。


「何故」

「何故って、旦那様が浮気を隠さずになさるから、遠くない未来に相手との間に子供が出来たと仰るのではないかと思いまして。流石に知らない子供を育てる義務は無いですもの」

「なら文句の一つでも言えば良かったじゃないか」

「興味がありませんもの。それに、離縁したところで私には痛くも痒くもありませんので」


むしろ早く離縁してくださるなんて有り難い事ですわ、と目を細めるエルティダを前に、シャルルは言葉を失う。

目の前の女は、誰なんだ、と。

いつもは口答えなどせず、はい、わかりましたと従うだけの無表情でつまらない女だった筈だ。


「私は、お前がいなくなると困る。まだ離縁するなんて言っていないじゃないか」

「私は離縁させていただきたいですわ。私じゃなくて私のもたらすお金がなくなるのが困るのでしょう?」


ソファーに深く腰掛け、髪を後ろに追いやるエルティダは端正な顔を歪める。

希薄だと思っていた顔だが、表情が乗ると途端に鮮やかに感じた。白い頬に血色が滲んだ唇。整えられた眉毛が寄せられている。


「何故、俺と結婚したんだ」

「一人称、変わってますわよ。……貴方のお父様がしつこかったからです。大切に育てられたのですね。何不自由ない生活をさせてあげたいんだと何度も何度も。私の事は大人しい金ヅルだと思っていたのでしょうね。本当、不愉快でした」


父親からは、エルティダがシャルルにベタ惚れだと聞かされていた。だから婚約を受け入れてあげなさいと。

行き遅れそうになってまでお前に懸想していたらしいんだよ、と。

だから、エルティダは自分に何一つ文句を言わないのだと思っていた。


「結婚をしたのは、言い寄ってくる人が減るかと思ったからです。離縁したところで、なにか問題があって離縁されたと勝手に思って求婚が減るだけなので問題ありません」

「なにを、負け惜しみだろう……?」

「いいえ。貴族社会では女が商売なんて、と言われるので表向きは商会の設立だけしたと噂を流していただけでして、実際には女主人として働いております。案外、バレないものですね。髪型を変え、メイクをし、感情を表に出すだけなのに」


艶やかな黒髪をかきあげ、鼻で嗤うエルティダのなんと妖艶な事か。

今からでもいい、この女を手に入れたい。そうシャルルは思ってしまった。

だが、エルティダはそんな浅ましい想いを機敏に感じ取ったらしく、厭なものを見たとばかりに顔を顰める。


「離縁、離縁です。関係の修復は求めませんし、貴方と恋人がどうなろうが知った事じゃありません。ある程度のお金は渡しますから後はご自分達でどうぞ」


羽虫を追い払うが如く手を振るエルティダの視界に、もうシャルルは映ってはいない。

本当に、強がりでもなんでもなく、エルティダはシャルルを必要としていないのだと理解するには充分だった。


とん、と指先で机を叩く音に意識が戻る。

綺麗に整えられた爪先でエルティダが机上の離縁届を叩いていた。ペン立てにある羽根ペンの横にはインクが蓋を開けて置かれている。

黒く濡れたような瞳がシャルルを射抜いている。早くしろと視線で責め立てられ、震える手でシャルルは羽根ペンを手に取り、名前を書いた。


震える手で情けなく綴られた名前はよれている。ぎこちない手つきで羽根ペンをペン立てに戻し、ソファーに身を沈める。

エルティダは離縁届けを手に取り、間違いがないか眺めたあと、くるりと丸め、目を細めて笑った。


「ありがとうございます。明日提出させていただきますわ。この家は差し上げます。後日商会の者にお金を届けさせますので」

「……あぁ」


頭を抱えたい。そんなはずじゃ無かった。

シャルルの心の声は終ぞ伝わらなかった。伝わる訳も無かった。絶対的に加害者はシャルルであり、被害者はエルティダである。

加害者の思い通りに行かなかったからと声を荒げても、それはお前が悪いと言われる。

すっかり、シャルルの心は折れていた。後悔先に立たず。

大人しくしていれば続いていたはずの平穏を、彼は自分の手で捨てた。欲に溺れ、短慮すぎる行動で。


エルティダは振り返る事なく部屋を後にした。

ドアの閉まる音がし、関係の終わりを告げる。


**


離縁届けを書かせ、その足で商会にやってきたエルティダは商会長室に向かおうとしたが、事務室にまだ居座っている商会員達を見つけ、顔を顰める。


「定時は過ぎた筈よ。何故居座っているのかしら」

「……あの、部外者は立ち入り禁止で」

「冗談はやめて、エルよ。……あぁ、この格好のせいね」


一番近くに座っていた商会員が恐る恐ると言った様子で立ち去る様に促してくるので、普段と違う装いで来てしまった事をエルティダは思い出す。

居残りしていた商会員の視線が一気に集まり、騒がしくなる。


「エルさん⁉︎ なんでまたそんなお貴族様みたいな格好を?」

「あれ、もしかして商会を立ち上げたお貴族様ってエルさん?」

「でもどうしてまたそんな格好でお戻りに?」

「普段と違ってしおらしく見えますねぇ」

「そっちの方がモテるんじゃない?」


好き勝手言われ始めたので、エルティダは手を叩いた。

乾いた音がし、水を打った様に静まる。あら、便利かもと思ったがきっとこの格好だから出来る技だろうとエルティダは思った。


「今はもう名ばかりの貴族だし私の代で終わるわ。離縁するから家を出てきたのよ。しばらく商会長室に住むわ」

「はぁ⁉︎ 離縁⁉︎ て言うか結婚してたのかよアンタ!」


椅子を飛ばし、驚き立ち上がって大声を出しているのは副商会長のヴァルだ。

こんがりと日に焼け、赤茶の髪を短く刈り上げている。元々荷運びをしていたお陰で鍛えられた身体は大きく、筋肉のせいでさらに威圧感がある。

机の並ぶ間を掻き分け、エルティダの前に立ちはだかるヴァルはまるで壁の様だ。上背もあるので本当に壁の様。


「あら言ってなかったかしら」

「聞いてねぇよ!あぁ、でも商会宛にお貴族様から来てた釣書が急に消えたのは」

「結婚してたからよ」


ヴァルは大きな掌で顔を覆い、天を仰いだ。

エルティダも女性にしては背が高めではあるが、ヴァルの前では小さく見えてしまう。


「おかしいと思ってたんだよ。商会設立者のお貴族様、えぇとエルティダ様とアンタ、エル。名前が似てるどころか一致するところあるし、設立者なのに姿は現さないし、なぜか商会宛に釣書が届くし」

「まぁ、私の家族しか知らないわよ。私が働いてるなんて。でもわざわざ商会に釣書送りつけてくるのは鬱陶しかったわね。バレるかと思ったもの」

「名前変えてない時点で隠す気ねぇだろ」


わざとらしく大きなため息をついて見せるヴァルにエルティダは肩を軽くすくめた。

嘘と本当を絶妙に混ぜる方がバレにくいものである。


「お貴族様の集まりでは影みたいに元旦那様に付いて回って無表情貫き通していたのだけど、まぁ面白いくらい誰も気が付かなかったわよ」

「冗談キツイぞ。アンタこの周辺では男を引き摺り回す女王様とか言われてんだぞ」

「なにそれ初耳なんですけど」


ぐるりと見渡してみると皆が目を逸らした。本当の事らしい。なんで?


「筆頭は俺な。そんな図体のでかい男相手に一歩も引かず真正面から食ってかかってこき使ってんだ。そりゃそうなるだろ」

「私が商会長なのよ。部下は躊躇いなく使うに決まってるでしょう」

「そういうところだぞ」


ヴァルとはこの商会を作る前からなんだかんだで縁がある。永遠に会話が続く気安い関係性なのだが、一旦話は切る事にする。


「それは置いといて、何故残業してるの。定時には帰りなさい。残業申請は忘れない事よ。どうしても急ぎの仕事は私に持ってきなさい」

「アンタが残業するんじゃないだろうな」

「やる事ないしいいじゃない」

「本末転倒だろうがよ」


ヴァルとの口論が始まる中、商会員達はぽつぽつと帰り出す。急ぎの仕事だけ預かって見送るが、割と急ぎの仕事は無く、エルティダは思わずため息を溢した。


「働き者なのは良いけれど、残業してまでしなくていいわよ」

「まぁそう言わないでやってくれ。アイツらは他の商会員達が働きやすい様にって自主的に残業してたんだから」

「いつから?もしかして私が早く帰る様になってから?……後で確認するわ」

「部下思いの商会長様で頭が下がりますよ」

「茶化さないでくれるかしら〜。どこぞの悪徳商会と違って残業代はきちんと出すし生活はしっかり保障するわよ」


一時期、不当な賃金で長時間労働を無理やり強いていた商会が多く、大きな問題になった。それが無くても元々商会員に寄り添った経営をしてはいたが。

商会長が働きをしっかり還元してくれるので、商会員達もさらにやる気を出していく。たまにやる気を出し過ぎた商会員達がいるみたいだが。今回の残業がそれだ。

ありがたい事だが、仕事を中心に生きてほしくはない。あくまで生活のための仕事だ。仕事のための生活ではない、とエルティダは考えている。


すっかり商会員達も帰り、二人きりになってしまう。

預かった仕事を抱え、商会長室に引っ込もうと思えば、ヴァルも付いてきた。


「そう言えばヴァルもなんで残ってた訳?」

「俺?監視も兼ねてだな。残業申請のし忘れがないかとか」

「アンタ、自分の分は申請してるの?」

「見てるだけだぜ?」

「……おおよそでいいから言いなさい。それか欲しいものでも良いわ、買ってあげる」


一番の仕事人間はヴァルかも知れない。職場に残って残業の確認をしているのも立派な仕事だ。

トップであるエルティダが定時にきっちり帰る様になってから責任を持ってやっていたのだろう。

結婚するまではエルティダはほぼ商会に寝泊まりしていたので、残業する者はあまりいなかった。むしろ早く帰れと商会員達から言われる立場だった。


「欲しいものってなんでもいいのか?」

「高すぎるものは控えて欲しいけれど、手に入るものならいいわよ」


机につき、商会員達から受け取った仕事を片付けながらエルティダは答える。

もし彼女がヴァルを見ていたら笑っていただろう。あまりにも真剣な顔で悩んでいたから。


受け取った仕事自体は量があまり無かったのでさくっと終わらせてしまう。

そう言えば明日は何個か打ち合わせがあったわねー、なんて思考を飛ばしていたところ、ヴァルから焦げそうな視線を感じた。


まるで肌の表面をじりじりと焦がす様に刺さる視線。

もしや、無理難題をふっかけて来るのではないだろうか。手に入るものならいいけれど。

少しばかり痛い視線を受け、答えを待ったが中々言い出さない彼に痺れを切らしてしまう。


「で、何が欲しいの」

「……俺は、アンタが欲しい」

「は?」

「アンタだ。離縁するんだろう。結婚は懲り懲りかも知れないが、再度俺と結婚して欲しい」


大きな手がエルティダの手を包んだ。

少しじとりとしているのは、緊張からだろうか。手汗、凄いわよ。そう茶化すと、そりゃ結婚の申し込みだからな、と硬い表情で返される。


「本気なの?」

「嘘や冗談で言う訳ないだろ。俺はな、アンタと出会って、無理難題出されて連れ回されてる時から好いていたよ」

「やだ、女王様気質の女が好きって事?」


ちげぇよ!と吠えるヴァルの頬に手の甲を押し付ける。途端に黙るヴァルに思わず笑いそうになるのを堪え、眩しいものを見る時の様にエルティダは目を細めた。


「好き者ね。離縁した、正確には明日書類を提出するからまだだけど、そんな女よ。それに貴方はいつも私にこき使われて顎で使われてると言うのに」

「俺を信頼しているからだろう」

「えぇ、貴方に跡を継いでもらおうと思っているもの」

「は⁉︎ 引退すんのか?」

「あと数年は店には立つわよ」


後継に、と思っていたのはヴァルだった。

本人に伝えて無い上に、歳上でもある男だが、彼に任せて裏方にでも回ろうかと思っていた。


「その後はどうするつもりだったんだ」

「雑用でもしてようかと思ってたわ。のんびり過ごすのもありかと思ったけど、退屈になりそうだし」

「アンタには居てもらわないと困る」


頬に添えた手をヴァルの一回り以上大きな掌が包み込んだ。まるで逃がさない為に掴んだみたいだ。


「アンタと居るために俺は居るんだ。アンタが居ないと頑張れねぇ」

「今までそんな素振り見せなかったじゃない」

「アンタに隙が無いからだ。結婚する気も興味もないんだと思ってたら実はしてたなんてな。ダメ元で申し込めばよかったって思ったよ」


いつの間にか、エルティダの細い腰に腕が回されていた。ぐっと近くなった距離。

ふわりと香る、彼愛用の香水と彼自身の体臭が混じり合った匂いは、何故か落ち着く。


「褒美にねだるものじゃないのはわかってんだ。でも、どうしても欲しい。アンタが、……アンタが、嫌、じゃなければ……」


どんどん尻すぼみになっていくヴァルを見つめながら、つい笑いが溢れた。

普段は声が大きく、豪快に喋るくせに、可愛いじゃないの、と。


昔からエルティダはヴァルには厳しいけれど甘いのだ。

図体は大きい癖に、時折犬みたいに思える。


「ヴァル」


目線を彷徨わせていたヴァルに、エルティダは優しく微笑んだ。


**


金蔓だった妻を捨てたら、金目当てだった女には捨てられ、妊娠も虚言だったと聞かされた。

何もかも失い、過去の選択を間違えてなければ、と妄想に耽る日々の中、シャルルはうっかり元妻の商会の前を通りかかる。


艶やかな黒髪を高い位置で結い上げ、腕捲りをしている元妻は、自分と結婚していた時には見た事のない色鮮やかな表情を浮かべている。

溌剌とした笑顔を振り撒き、元気に動き回る姿に、失ったものの大きさをひしひしと感じた。


エプロンを着て動き回る姿に、少し見惚れ、お腹が膨らんでいる事にシャルルは気が付く。

エルティダの後ろには心配そうに周りをうろちょろしては怒られ、周りからは微笑ましく見守られている大柄の男がいた。


それもそうか、とシャルルはそっと息を吐いた。

自分と別れ、半年以上は経つ。あんな魅力的な女性、放っておかれる筈がない。


貴族社会よりも、一般市民として生きている姿がしっくりくる。

自分と言う枷から解き放たれた彼女に、言葉に出来ない感情を抱き、シャルルは歩き出した。


誤字報告ありがとうございます!

9/22の日間ランキング5位ありがとうございます…!何気なしに見た時に自分の作品があり動悸が止まりませんでした。

スランプ気味で連載中の作品が上手く進められず息抜きとして、一つ作品を完成させるのを目標として書きました。

色々補足抜けもありますが深く考えずにお読みくださると助かります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 素晴らしい作品をありがとうございました!
[一言] 最後、感動した、で締められている点、とてもよかったかなと思います。どこもかしこもざまぁざまぁと、人を追い詰めるをが楽しいと言わんばかりのもばかりの中
[一言] 面白かったです。 好きな感じのお話でした。
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