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卒業文集を読んでいて

 クラスの卒業文集を見ていると、『おもしろい人』『早く結婚しそうな人』『明るい人』『趣味が多そうな人』などといったものが三位から一位までランキングされたものがあり、自分は『不思議ちゃん』で一位になっていた。

 どうして自分が不思議ちゃんなのだろうと、一瞬訝しく思ったが、当時の自分は一部の仲の良い生徒を除いて、なるべく無表情で話さないようにする、という姿勢をとっていたため、そのことが影響して「なんだかよくわからない奴」と思われていたのかもしれない。

 なぜ、そんな姿勢をとっていたかと言うと、人に対して媚びたり、態度を変えたりすることはズルい、という強迫観念に囚われており、全員に無表情を貫けば平等になるのではないか、という極端な考えから、おそらくそうなったと思われる。みんな同い年なのに何故か上下関係が存在することへの自分なりの抵抗、だったのだと思う。その割に、本当に孤独になることは恐れていつも話していた男子生徒とは笑顔で話していたのだから、中途半端なものだった。

 とにかく、普段話さない生徒とはほとんど没交渉だったため、不思議ちゃんという不本意な烙印を押されてしまった。

 本来であれば、自分はあまり目立たない真面目な人間なので、『真面目な人』にランキングすると予想していたが、そこに名前はなく、ランクインしている上位三名はいずれも“勉強ができる”人たちばかりだった。

 ここにも少し、疑問が残る。

 自分は勉強のできない人間だった。元々の頭の不出来もあるが、テスト期間が近づいたときに一生懸命勉強するということもあまりなかった。高校に入ると、ワークブックなどは答えを写して提出していたし、そういう面ではむしろ不真面目だったと思う。

 勉強を頑張ったり、合唱コンクールなどの学校行事に一生懸命取り組む。そういう真面目さと、自分が思う真面目は違う。

 担任の先生は、そこのところを見てくれていたようで、『真面目で実直という言葉がよく似合います。ゲーム好きなのが意外でした。腕相撲強いんだね』というコメントを残してくれていた。今読み返してみると、大人の目でよく見ていてくれたのだなと分かり、嬉しくなった。

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