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中学の卒業アルバム

 小説を書くため、中学の卒業アルバムを近所の同級生に借りた。彼には以前も幼稚園のアルバムを借りたことがあるので、今回はお礼としてハーゲンダッツのアイスを5個渡すことにした。「俺なにもやってないよ」と謙虚に断ろうとする彼に、受け取ってもらうためとはいえ「大したものじゃないから」という、イヤラシイ言葉を口走ってしまったことを後悔した。

 アルバムの写真はスマホで撮り、後で見返してみたが、今回小説のモデルにしようと思っている女の子はやはりきれいだった。高嶺の花とまでは言わないが、少なくとも自分とは釣り合わない。それがはっきりと分かり、当時自分の心を騙し騙しして、相手もこちらに気があるのではないか? などと思い込もうとしていたことは、やっぱり思い込みだったんだと改めて悲しい気持ちになった。けれども、自分が書く恋愛小説は必ず片思いになることが決まっているのだから、それはそれでいい。

 それにしても、当時の自分の文章はなんてヒドイのだろうと、目を疑ってしまった。三年間の思い出というテーマなのに、ただ学校行事を箇条書きしているだけ。おまけに字がデコボコ、カクカクしている。ガガガガガ、というドリルの音を連想させる。工事現場で手を震わせながら書いているんじゃないか? と思った。これをよその人が見たら、「ちょっと障害があるんじゃないか?(実際あるが)」と、本気で疑われてしまうだろう。

 仮にも小説を書こうという人間が、こんなものを書いていたのだと思うと、つくづくウンザリしてしまう。瀬戸内寂聴が対談で、「芸術は一に才能、二に才能。三に才能」というようなことを言っていたが、やはりそうなんだろうか。それでも当時に比べれば、大きく進歩したと思うのだが。

中学の卒業アルバムを見ていると、自分がいまだにその時代に囚われているような気がして、複雑な気持ちになります。ここを境に自分は精神的な成長が止まっているような気がする。

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