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今月の読書

 今月は六冊読みました。すべて小説です。


 ・中上健次「岬」

 中上健次は有名な作家なので読んでおこうと思い、とりあえず芥川賞受賞作の「岬」を読んでみました。

 あまり読みやすい文章ではなく、段落もあまり分けずにずっと続けて書かれているのでなかなか読むのが大変な作品でした。表題作の「岬」を含め短編が四つ入っていましたが、どれも自分にはよく分からない難しい作品でした。テーマは自分の家族ことのようで、腹違いの兄弟たちのなかにいる複雑な境遇や、血だけがつながっている音信不通の父親についてのことなどが書かれています。

 有名な作家さんなのでとりあえず読んでおこうと思いましたが、自分にはなかなか難しい作品でした。今後も読んでいくかどうかはちょっとわかりません。


 ・梨屋アリエ「夏の階段」

 図書館においてあった本で、ライトな青春小説という感じです。題名がなんとなく気になり読んでみました。地方の進学校を舞台に、五人の高校生たちの姿を描くというもので、一話ずつ登場人物を変えながら全体の流れができて一つの作品集をつくっています。こういうのをオムニバス形式というのでしょうか。

 特に特定のテーマがあるというわけではなく、入学したてのぎこちなさや、クラスメイトとの交流や恋、将来への焦りなど、高校生の少年少女の気持ちを軽いタッチで書いているという印象でした。いつも硬めの本を読むことが多いので、こういう作品も読まないとなと思いました。


 ・長江優子「百年後、ぼくらはここにいないけど」

 こちらもライトな青春小説。地理歴史部という部活に所属している主人公が、転校していった同級生の後を継いで部長になり、学習発表会に向けて百年前の渋谷のジオラマづくりに励むという話です。

 タイトルと表紙に描かれている渋谷の写真が印象的で、どういう作品なのだろうと興味を持って読んでいましたが、全体として登場人物たちの絡みはありながらも淡々と進んでいく感じで、終わり方もそれほどインパクトがあるというわけではありませんでした。ですが高校の部活でジオラマをつくるというのは面白いと思いました。またジオラマをつくっている様子なども結構詳しく描写されていて、そういうものに詳しい方が書いているのだなと感じました。


 ・田中慎弥「燃える家」

 田中慎弥のたぶん唯一の長編小説です。田中慎弥さんの作品は少しずつ読んでいるのですが、初めに読んだ「図書準備室」「冷たい水の羊」を除いて、面白いと思った作品はそれほどありません。今回の「燃える家」も、六百ページ近くある厚い小説でしたが、なかなか面白い部分がなく、読み終わるのにも時間がかかりました。

 田中慎弥さんの作品には強く影響を受けたので、今後も読んでいくつもりですが、なかなか当たりが少ないので不安です。面白い作品に出会えればと思います。


 ・大藪春彦「野獣死すべし」

 とても有名な作品で、松田優作さんが主演で出ているのは知っていましたが、他にも俳優さんを変えて何度か映画化されているようです。大藪春彦さんはハードボイルド小説でとても有名で、その中でもこの「野獣死すべし」は特に名前が知られているので、やはり読んでおかなければと思いました。

 前に作品を読んだときと同じく、銃についての細かい描写が印象的でした。また主人公は基本的に強いのでピンチに陥ることもあまりなく、練り上げた計画を着々と実行していきます。そのためよく言えば安心して読めるのですが、悪く言うと何となく飽きてきてしまうような気がします。

 非情な人間、強い人間もいいですが、個人的に人間の弱さや感情の揺らぎが欲しいと感じてしまいます。たとえ陳腐でもヒューマニティは欲しい。そう感じてしまいます。


 ・トーマス・マン/高橋義孝訳「トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す」

 ブックオフで百十円で売られていたので買ってみました。トーマス・マンも有名なので読まなければと。「ヴェニスに死す」は前に映画を観たことがあったので、大筋は知っていました。

 どちらも文章が硬く、読んでいてもなにを言っているのかよく分からないことがあり、小難しく感じてしまいました。翻訳のせいもあるのかもしれませんが、昔の海外小説はどれも難しく感じてしまって苦手です。


 薄い本は三日ほどで、厚い本や内容が硬いものなどは一週間ほどかかりました。もう少し読めればと思うのですが、なかなかぶっ通しで読み続ける気力がありません。

 六冊読みましたが、面白かったというものはなかなかありませんでした。せっかく読むので良い作品に出会えればと感じてしまいます。

現在は「アルジャーノンに花束を」を読んでいます。

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