第1話 行っておいで
これは遠い遠い未来の話。
VRMMOゲーム・ニューギアの世界で、人類は暮らし始めていた。
嵐が丘家では、ニューギアの体験版が朝の食卓の話題にあがった。
ニューギアの体験版のメンテを担当している肇は、レイニーズが体験版をプレイしたいと言われて喜んだ。
「体験版のメンテは僕がやるから、安心してプレイしておいで。感想、聴かせてほしいな」
「わかった。楽しんでくる!」
肇はレイニーズがニューギアにログインするまで見送った。
その後、肇は使用済みの食器類を洗い、プラスチックの網かごの中にすべて入れると、ニューギアの体験版のメンテ作業に入った。
肇の仕事の始まりである。
お昼休みをとる時、呼び鈴が鳴った。
玄関のドアを開けると、肇が就職したゲーム会社の肇の同僚のスザンナが来ていた。
肇とスザンナは、会社帰りに一緒に飲みに行く関係でもあり、肇自身、スザンナを信用していた。
スザンヌは言う。
「ニューギアのメンテの手伝いに来たの」
肇はスザンナを信じて家の中に入れた。
肇はスザンナと一緒にメンテの作業をし始めた。
午後12時。
「お疲れ、スザンナさん。先に寝るよ。30分したら起きるから」
「お疲れ、肇。わかったわ」
肇は目覚ましをセットすると、仮眠をとった。
目が覚めた時、スザンナはいなくなっていた。