1:乗り物としての竜を考えてみる
ここでいう竜(=ドラゴン)は、「全長数メートルから数百メートルの翼を持つ生物」「身体は鱗で覆われている」「首が長く、強い顎と牙を持ち、炎を吐く」「空を飛べる」「人間以上の知識があり、意志疎通が可能」このあたりの定義とすると大まかなお約束の公約数は満たせるのではないかと思います。
乗り物としての竜を考えた時、いくつかの疑問が浮かぶわけです。
問1.ドラゴンなるこの生き物に、どうやったら乗れる状態にできるのだろうか?
つまり、竜を馬や車として扱えるか? 移動手段として考えた時、以下の要因を満たさなければいけません。
・食料または燃料の手配どうする?
馬ならばワラなりニンジンなりのエネルギーが、車ならばガソリンがいる。
なら竜はどうやって飛ぶためのエネルギーを確保しているのでしょうか? 燃費効率がプロペラ機なみとしても、数回の飛行で牛一頭分を食わないとエネルギーが確保できない……となりそうな。そうなると「竜を安定的に飛ばすための栄養源確保を目的とした畜産施設」が要ると思われます。魔力で飛ぶ、という設定にする方法もありますが、精神力だけで空を飛べるし腹も減らないってなると、飛ぶたびに心がめちゃくちゃつかれそうですね。「空飛ぶ業務に酷使されて鬱病になった竜」というのもそれはそれで面白そうな。
・座席の用意は?
馬車を引かせるか、それとも馬に乗るか。座席としての鞍を置く必要があります。
車なら座席が必要ですが、生物である、かつ人間よりも高度な知性を持つ竜に
じゃあ鱗の上にじかに座るか、というと、長期間乗るとなるとケツが擦りむけるんじゃないかと。竜の鱗っておそらく硬いでしょうし。
それと、数メートルある「巨躯が羽ばたく」となると、羽ばたき始めと羽ばたき終わりとで数メートル分、竜の身体は上下します。すなわち、乗る場所が竜の胴体の場合、搭乗者は上下数メートルの落下と上昇運動を竜の体躯の上で体験するわけです。「今から竜の背中に乗って移動します。家の2階から飛び降りる程度の上下動が1000回続きますがお気をつけください」常人なら死にますね。
ただし、「頭の上ならば長い首がクッションとなり、頭は常に同じ高さのまま、翼の上下動にかかわらず振動しない」ということは可能かと。
・方向指示、止まる、進むという判断をどうするか?
知性のある竜ですから、口頭で指示すればその通りに伝わるという設定もアリですが、時速数百キロで移動中の空の中ですと声を発したり届けるのも一苦労です。魔術師が念話的なもので指示するならアリですかね。しかし、会話ですとタイムラグができます。高速道路でも「たった数秒間のよそ見で数百メートル進んでしまう」となるので、空の移動、または空中戦をする場合、会話以外の意思伝達手段が必要になりますね。
馬なら口にハミをつけ、そこにつけられたロープを人間が持って制御します。車ならば駆動部を制御するためのブレーキ、アクセル、そしてハンドルの操作になりますが、「人間が竜の操縦をダイレクトに行う」という行為を「人間よりも知性がある竜」が許容するか? なかなか難しいものがあるのではないかと。
・安全装置あるの?
シートベルトにあたるものですね。空を飛ぶ状態で身体が投げ出されたら即死します。じゃあどうする? 身体を竜にくくりつけるか? よくある「竜の上に突っ立っている、あるいは座っている」ってこれ、論外に思えてきます。吸着魔法でも使っているんでしょうか。あるいは竜からぶん投げられても自分で飛べる魔術を持っているとか。
また、故障防止のためのセーフティがないと厳しい。車や馬の故障ならばとまるだけですみますが、竜の場合は空を飛んでいるわけですから、不具合=即死につながります。「竜に乗るには安全対策として浮く魔法を履修していなければならない」なんてしたら、リアリティがでるかもしれません。
上記はあくまで、私が考えらえれる範囲で問題点を列挙したらどうなるか、解決策を描いてみたらどういうものがあるか、ということです。皆様のご意見や面白い設定などありましたらお伝えいただければ幸いです。