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高級林檎トロイア

吐き気がおさまったといえど、フィオナの調子が良くなるまで大事をとって休憩を取る事になった。

今はテントの中の5号室のベッドで横になっている。

傍らにはスセリがいてフィオナと軽い雑談をしている。


「ごめんねぇ、フィオナちゃん。遅かれ早かれ魔物の解体には遭遇すると思っていたからヒロシと一緒の解体を止めなかったんだけど・・・」

「いえいえ、自分で決めてやった事ですから。あまり気にしないで下さい」

「こういってはアレだけど、もっとグロい魔物の解体をヒロシは顔色ひとつ変えずにやるわ」

「その、具体的にはどんな魔物なんですか?」

「触手のある魔物とか、昆虫系」

「なるほど。いつか私もやれる様になっていきたいです」

「フィオナちゃんの気持ちは嬉しいけれど、あまり無理はしちゃ駄目よ」

「はい。ありがとうございます」


会話の途切れたタイミングで部屋の扉がノックされる。

「フィオナ、気分はどうだ? まだ横になってるか?」

「フィオナ殿、ご気分はいかがでありますか?」

扉の向こう側からヒロシとダイコクの声が聞こえてくる。

「あ、気分は大分良くなってきました。もう起き上がれます」

フィオナはベッドから身を起こす。

「その、部屋に入って大丈夫か?」

「はい、大丈夫ですよ」

フィオナの了解を得てヒロシとダイコクが部屋に入ってくる。

ヒロシとダイコクは少し気まずそうな顔でフィオナの顔を見やる。


「ヒロシ、私はもう大丈夫です。初めての解体で醜態をさらしてしまい、すみません」

フィオナが頭を下げる。

「フィオナ、謝らないでくれ。こちらの方こそ悪かった。僕は薬の事になると見境がなくなってな・・・」

「自分も謝らせて欲しいであります。魔物を燃やした時の異臭で、フィオナ殿を苦しめてしまったであります」

「はいはい、もう充分お互いに謝ったでしょ。この話はこれでおしまい。いつまでも気まずいままでも仕方ないでしょ」

スセリが2人と1匹に話しかける。

「ところで、ヒロシ。そのお盆の上の器には何が入っているのかしら」

ヒロシが入室した時に手に持っていた深めの器にスセリが問いかける。

「あ、これはすりおろし林檎だ。胃の中が空になっているかと思ってな。消化に良くて美味しい物をと考えて。食べきれなかったら残しても良いからな」

「これならフィオナ殿も食べられると思い、自分とヒロシで用意したであります。抜け毛には細心の注意をはらったので大丈夫であります」

「ありがとうございます、ヒロシ、ダイコクちゃん。いただこうと思います」

机の上にヒロシがお盆を置く。フィオナはベッドから降りて机の椅子に座った。

早速とばかりにすりおろし林檎を匙ですくい口に入れる。

「わあ、美味しいです。実家で食べていた林檎にも負けないくらい美味しいです」

「美味しい様でなによりだ」

「良かったであります」

「ねえ、ヒロシ。林檎って余ってないの?私も食べたくなってきたわ」

「分かったよ。いつも通りに兎型に切った林檎で良いか?すりおろすのに腕が疲れていてな」

「ええ、問題ないわ。お願いね」

「じゃあ、僕とダイコクの分の林檎も切るか」

「あ、じゃあ一緒に食べませんか?皆で食べると美味しいと思うので」

「おう、すぐに林檎を切ってくるぜ」

そう言ってヒロシ達は部屋から出ていった。


「ヒロシ、すりおろした林檎は最高級品のトロイア種であったと思うのでありますが」

「ああ、トロイア林檎だったな。あいつ実家でそれに近い物を食べていたって言っていたな」

「フィオナってお嬢様だよな。絶対」

「自分も同感であります。おそらくスセリも同じ事を考えていると思うであります」


行き倒れのお嬢様。なかなかに大変な拾い物をしたとヒロシは思うのであった。

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