皆で朝食を
フィオナがリビングへの扉を開けると朝食の準備が出来ていた。テーブルの上にはタマゴサンドとハムサンド、そしてコーンスープと紅茶が湯気を立てて置かれている。
「いい匂いです。それにとても美味しそう!」
「フィオナ、ちゃっちゃっと座ってくれ。早く食べようぜ」
「お腹ペコペコであります」
「私、ハムサンド好きだから嬉しいわ」
ダイコクとスセリはテーブルに直に座っている。
当たり前だが、人間に対して作られた椅子に座ってもテーブルに届かないからである。
ヒロシの分の朝食の横に自分達の分の朝食と一緒に座っている。
ちなみにスセリは兎の魔物なので普通に肉も食べる。
フィオナはヒロシの真正面に用意されていた朝食の席に座った。
「それじゃいただきます」
「いただきます」
「いただくであります」
「いただきます」
2人と2匹の朝食が始まった。まずフィオナはコーンスープに口をつける。普通に美味しかった。
「あ、それと紅茶はインスタントな。さすがにコーンスープを最初から作ると面倒くさくて」
「いえいえ、食べさせてもらっているんですから文句なんてありません」
次にフィオナはタマゴサンドを食べる。玉子とマヨネーズの絶妙な混ざり加減に思わず笑みになる。
「美味しいです!」
「ヒロシのタマゴサンドはかなり美味しいでありますからなあ。相変わらず凝り性であります」
「本当にねえ」
「褒め言葉として受け取っておくよ」
「こっちのハムサンドも美味しいです!ハムとレタスも美味しいですが、塗られた芥子マヨネーズか絶品です!」
「そいつはどうも」
フィオナは昨日よりもヒロシの目付きが良くなっているのに今さらながら気づいた。フィオナも行き倒れていてそれを確認する余裕がなかったのもある。
だが、目付きの悪さは生まれつきの様で今は険がとれていて、幾分か優しい目付きになっている。
おそらくこれが普段の目付きなのであろう。
あっという間に朝食を平らげた2人と2匹は食後に紅茶を飲んでいた。
「さてと薬薬」
ヒロシは懐から小さな瓶を取り出して中身を掌に出した。紅色の丸薬で薬独特の匂いを放っている。
「ヒロシ、その薬は?」
「滋養強壮薬。これを飲むと風邪等をひかなくなる」
「えっそれは凄いです。でも見た事がありませんね」
「これは僕用に調合したオリジナルの薬だからな。フィオナは飲めないぞ」
「あっいえ、見たことのない薬だったのでつい」
ヒロシはキッチンの流しに行きコップに水を注いで丸薬2粒を飲んだ。
「これで今日もバッチリだ」
「それは良かったです」
ヒロシはフィオナの真正面に再び座る。
「それでフィオナはこれからどうしたいんだ」
「っ!! それはその、私って行くあてもないですし」
「あてがあったら行き倒れてなんてないもんな」
「聞かないんですか? 理由」
「人のプライバシーに土足で踏みいる様な事はしたくねえからな」
フィオナとしてはただの家出なのだが、ヒロシは気を使ってくれて聞くつもりはないらしい。
フィオナはそれが少し嬉しかった。
「だったら僕と一緒にしばらく旅をしないか?」
「えっ!!何でですか すっごくありがたいですけど」
「行き倒れを助けたのに最後まで面倒を見ない。これは僕の主義に反する。それにフィオナは悪人じゃなさそうだしな」
「ありがとうございます。良ければヒロシについていきたいです」
「決まりでありますな、うんうん」
「やっぱりこうなったわねえ」
「ダイコク、スセリ。お前らこうなると予想してたのか?」
「当たり前であります。ヒロシが赤ちゃんの頃から今までの16年の付き合いは伊達ではないであります!!」
「ダイコクに同じく」
「あっヒロシって16歳なんですね」
「そういうフィオナは?」
「私も同い年です」
「というか今、お互いの年齢を知ったのか」
「昨日のヒロシは機嫌が悪かったでありますからな」
「フィオナちゃんが聞けるわけないじゃない」
「仕方ないだろ。行き倒れに見せかけた強盗だったらどうすんだ。警戒するのは当然だ」
「私って強盗に疑われていたんですね」
フィオナは肩を落として落ち込む。
「あっいやっその・・・悪かったよ」
「そんな!!行き倒れていた私が悪いんですし」
空間魔法のテントの中の朝は賑やかに始まった。




