戦闘試験開始
「それでは今より戦闘試験を開始したいと思います」
タブレット端末を持ってレティコルカはそう宣言した。
おそらくあの端末にゴブリンロボットの体力等のデータが表示されているのだろう。
「111番のパーティ、前へ」
111番のパーティはオーソドックスな剣士の少年、斥候の少年、弓兵の少女、魔法使いの少女、という4人パーティであった。
「まずは俺達が仕掛ける!援護頼んだぜ!!」「行ってくる!!」
「了解です」「まっかせなさい!!」
剣士と斥候の少年2人に弓兵と魔法使いの少女が答える。
剣士の少年はロングソードでゴブリンロボットの1体に袈裟斬りを見舞う。
斥候の少年は、剣士の少年に襲いかかろうとしていたゴブリンロボットに、両手に持った2本の長めのナイフで棍棒を持った手を弾く。
少年達2人では1人1機が限界なのだろう。他のゴブリンロボットが弓で少年達に狙いを定める。
「させない」
弓兵の少女が1射、1射、的確にゴブリンロボットの肩や足を撃つ。ゴブリンロボット達の動きが鈍る。
「これでもくらいなさい!!」
魔法使いの少女は火の玉を1機のゴブリンロボットの頭に命中させた。
頭が炎に包まれたゴブリンロボットが機能を停止する。
「よっしゃ!!1機目倒したぞ!!」
「気を抜くなよ!!」
「次は頭を狙う」
「どんどんいくわ!!」
(なかなか連携がとれていますね。冒険者学校の出身でしょうか?)
レティコルカは111番のパーティとタブレットに表示されたデータを交互に見ながらそう考える。
111番のパーティは剣士の少年が敵のヘイトを集め、斥候の少年がそのサポートにまわる。
弓兵と魔法使いの少女が安全地帯からサポートや必殺の一撃を放つ。
勿論、前衛2人も敵の身体を斬りつけながら、首や頭等、急所を狙うのを忘れない。
教科書に書かれている様な理想的なパーティだった。
一方最後に戦う羽目になったヒロシ一行はというと。
(う〜ん。姉ちゃんと稽古していた時の方がもっと苛烈だったぞ)
(師匠はこの戦いをなんと表するのでしょうか?「0点だ!!」なんて言いそうですね)
(うんうん。冒険者の戦いはこうでなければ。ヒロシの実家が異常なのであります)
(な〜んか、お綺麗すぎる戦い方でつまらないわねえ)
こいつ等はどんな修行をしてきたのであろうか。
流石にこれ以上レティコルカに目を付けられない為に全員(魔物含む)無言である。
ちなみに冒険者を育成する冒険者学校は13歳から入学可能で、3年間みっちり冒険者の基礎や魔物の生態がどの様な物かを叩きこまれる。
そこからまた3年間、さらに戦闘技術の習熟や魔物の生態の研究等をする事が出来る。
基本的には13歳から入学して16歳で卒業するパターンが多い。
さらに3年間学ぶのは純粋にもっともっと強くなりたい者や、魔物の研究者になる者が多い。
また、実家で冒険者の基礎特訓や魔物の生態を学ぶ者も多い。これは両親が冒険者の場合がほとんどである。
中には有名な冒険者夫婦の子供が冒険者試験を受けに来る事もある。
この様に冒険者試験を受けに来る者の出自は様々である。
「そこまで!!」
レティコルカの声が修練場に響く。111番のパーティの相手をしていたゴブリンロボットは全機、地に倒れ伏していた。
「111番のパーティの方々、合格です」
「よっしゃぁぁぁ!!」
「やったな!!」
「まあ当然」
「もう〜、少しは喜びなさいよね」
111番のパーティは喜びを爆発させていた。1人喜びが分かりにくい弓兵の少女がいたが、これがこのパーティの普通なのだろう。
観客席の先輩冒険者達は過去の自分達を思い出しているのだろう。111番のパーティに暖かな視線を向けていた。
当然、それだけではなく、このパーティが伸びしろのあるパーティで、どう先輩として教え導いてゆくべきかも考えていた。
(これがあと8組続くんだよなあ)
(今のうちにもう一度、ライフルの点検をしておきましょうか)
(青春でありますなあ)
(晩ごはんの前に終われば良いのだけれど)
ヒロシ一行は真面目なフィオナ以外、相変わらずであった。




