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目付きの鋭い美人

『受付番号111番から120番の方、登録受付前にお集まり下さい』

「あ、丁度貴方達が呼ばれたみたいですね」

「え、何で僕達の番号を知っているんですか?」

「たまたまですよ、たまたま。札を取る所を見ていただけですよ」

女性職員は笑顔でそう答える。今度は貼り付けた様な笑顔をヒロシ一行に見せる。

(この人なんなんだ?なんか気になるな)

ヒロシは言いようのない感覚に不気味な物を感じる。


「ヒロシ、早く行きましょう。他の方々を待たせてはいけません」

「そうであります」

「職員さんお手数お掛けしました」

他の皆に促されてヒロシはソファーから立ち上がる。

「ふふ、兎にお辞儀されるなんて珍しい経験ができました」

女性職員は笑顔で嬉しそうにスセリにそう言った。


登録受付前には30名程の人数が集まっていた。各々、革や金属の防具やローブ、剣や弓に杖等を装備している。

「これで全員でよろしいでしょうか?」

登録受付の女性が冒険者予定者達に聞く。三々五々「はい」や「ええ」といった言葉が返ってくる。

「それではそちらの職員に修練場に案内してもらって下さい」

ヒロシ一行を含む冒険者予定者達が、登録受付職員に紹介された冒険者ギルド職員に目を向ける。


(げ、さっきの眼鏡の姉ちゃんじゃねぇか!)

(さっきの方ですね。注意された手前少し気まずいですね・・・)

(おお〜、笑顔?のお姉さんであります)

(目が少し怖いお姉さんねえ)

冒険者予定者達の前にいたのは漫画を読んでいたヒロシ一行を注意した冒険者ギルド職員だった。

「これから貴方達を修練場に案内する、戦闘試験官のレティコルカです。よろしくお願いします」

レティコルカは綺麗なお辞儀をして微笑みながらそう告げた。

「それでは私の後についてきて下さいね」

レティコルカは冒険者予定者の群れを連れて歩き始めた。

冒険者予定者達は大人しくレティコルカの後を追う。これから冒険者になれるかどうかの戦闘試験がおこなわれるのである。


冒険者は登録すればすぐになれるわけではない。登録するにあたって戦闘試験がある。

冒険者は戦える者でなくてはならない。薬草採取の簡単な依頼をこなすだけだとしても、帰り道に魔物に襲われる事もある。

そこで戦闘試験をおこない冒険者予定者をふるいにかけるのである。

各地の冒険者ギルドはどこも同じくこの戦闘試験がある。それ以前に法律で決められている。

どこにでも向こう見ずな者はいる。この制度を導入する前は新人冒険者の死亡率はとても高かった。

そこで国はこの制度を法律で制定して、新人冒険者の死亡率を下げる事に成功した。


レティコルカは冒険者ギルドの奥に進んで行く。冒険者予定者達はカルガモの雛の様について行く。

「ここから地下に降りて行きます。皆さん手摺を持って階段を降りていって下さい。手摺を持たない人はここで帰ってもらいます」

レティコルカは手摺を持ちながらそう説明する。


「なんで手摺を持たなきゃなんないんですか?階段くらい降りられます」

冒険者予定者の少女がレティコルカに質問、いや少し食ってかかる。

レティコルカの目付きが鋭くなる。

「貴方達はこれから戦闘試験を受けるのですよ。階段を踏み外して余計な怪我をしては、戦闘試験にひびきます」

レティコルカは食ってかかった少女にそう返す。少女も「うっ」と呻く。そうしている間にもレティコルカの顔は険しくなっていく。


冒険者予定者達には(早く謝れ!試験を受ける前なのに余計なトラブルはごめんなんだよ!!)といった雰囲気が漂う。

「すみませんでした」少女は素直にレティコルカに謝った。

「分かっていただけて何よりです」レティコルカはそう言って笑顔になる。


一方ヒロシ一行はというと。

(あの姉ちゃん、目付きは怖いけど優しいんだな)

ヒロシは自分の目付きの悪さを棚に上げてそんな事を思う。

(あのお姉さん、目付きは怖いですが優しいんですね)

(安全第一でありますな)

(まあ言っている事はもっともよね)

フィオナはヒロシとほぼ同じ、ダイコクとスセリは似た様な事を思っていた。

ダイコクとスセリ以外、レティコルカ含む人間は手摺を持って階段を降りていった。

降りた先の廊下を左にレティコルカは進む。やがて大きな金属製の両開きの扉が見えてきた。


「こちらが貴方達が戦闘試験を受ける修練場です」

レティコルカは重厚な両開きの扉の前で歩みを止める。

「皆さん準備はよろしいでしょうか?」

レティコルカの問いに、冒険者予定者達は一旦間を置いて「はい」と気の抜けた返事をする。

皆、緊張しているのだ。無理もない。

「それでは扉を開けます」

レティコルカは修練場の扉を開けた。


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