7話 見知らぬ洞窟へ
なんでこんなことになったんだろう?
今、自分レクト・セイデリアは、3匹の狼型の魔獣に追われていた。
「うおおおーーい、頼む見逃してくれーー俺なんか食べても美味しくなんてないぞーー」
そう言っても相手は、食欲に目を輝かしてる魔物、聞く耳を持ちません。
というか何故この状況になったかは、少し時を遡って3時間前に遡ります。
お茶会の日から2日後の朝、俺は、いつもの森に朝一の散歩に出ていた。
どうして、散歩に出ているかというとお茶会の時に茶葉やハーブがあれば家でもお茶を楽しめるかと思い。
こうして空いている朝の時間に取りに来たというわけだ。
だが何故か思った以上になかなか見つからず森の奥へと向かっていた。
その時、東の方から何か音がした。
その音のした方向に迷いながらも向かったら洞窟の入り口を発見した。
前にピクニックした時には、見なかった洞穴だった。
通常であればここは、村の人に知らせるべきなんだろうがなんとなく自分の好奇心を刺激するものがある。
これは、行くべきな気がする。
「まあ、いい行くか!」
弁明は、後々考えればいい。
迷うよりも行動するこの世界に来てから覚えた価値観の一つだ。
そう言って俺は、洞窟の中に入っていった。
俺は、ライトボールの呪文を唱え小さな光球を出しそれをランプ代わりに暗い洞窟を進んでいく。
少し歩いた先は、行き止まりだったが、
壁には、何かしらの紋章が描かれていた。
「なんだ、これ?」
俺は、恐る恐る近づいてその紋章の絵を触った。
すると、紋章は、光り出し。壁は、砕け始めその衝撃で床も砕けちり俺は、そのまま、下へと落下してしまった。
俺は、目を覚ましたところは、さっき抜け落ちた床からそれなりに下で先には、道が続いていた。
そう状況確認していると「グルルル」と後ろから音がした。
振り返ってみると赤い狼が3匹こちらを向いて唸っていた。
狼といえばハクを連想するがこの狼は、最初あったハクとは、違い警戒というよりも捕食者の目をしていた。
うん、これは、説得は、不可だな。
と考えていると赤い狼達は、一斉に襲いかかってきた。
俺は、間髪入れずに風魔法のウインドブラストを放ち3匹とも少し後ろへと吹き飛ばした後に、全力で背を向けて逃げ出した。
途中俺は、迷路に良くありがちな3つに枝分かれした分岐道が2度あったがそれぞれ適当な方向を選び走り抜けていった。
というか止まったらあの狼に食われてしまう。
そうした結果今に至っているというわけだ。
逃げても奴らは、相変わらず追いかけて来ている。
むしろ距離が縮まっている。
流石に子供の足だと足止め少しした程度じゃあ追いつかれるって訳か!
「身体強化魔法までかけてるだぞコンチクショー」
もうこれは、やるしかないのか、
なるべくこの魔法は、使用したかなかったが、仕方ない。
俺は、その場で止まりすぐに後ろを振り向き上級炎魔法イグニッションブレイズを放った。
因みにイグニッションブレイズとは、自分の視線で視認した場所に任意のタイミングで瞬間発火させると言う魔法である。
ただこの魔法には、制限があって火力調整とかは、できるがこの魔法は、体力の消耗が激しいのと膨大な魔力を使うので一日に3発打てるのが限界である。
使いたくなかった理由は、これだが、他の魔法だと洞窟が崩れる可能性があるので狼に倒すにしても使えるのは、この魔法だけである。
俺は、視線を合わせた3匹に炎が発火し烈火のように燃えあがる。少し狼は、鳴いた後に丸焼きになった。
「さて、それでこれからどうするか」
俺は、全速力で逃げていたので体力も精神的には、さっきの魔法でヘトヘトだった。
これ、他の魔物とか出てきたらシャレになんないほどのピンチになるな。
まあ、このままじゃあ何も出来ないし少しこのまま寝転がって休むか。
と開き直りつつ休息をとった。
「というか朝からこの状況なかなかハードじゃねーか」
そう言いつつ多少動ける状態にまで体力が回復してきたので来た道を戻ろうとしたのだが、
あれ、俺どうやってここまで来たんだっけ。
帰る道がわからなくなってしまった始末である。
仕方ないので朧げな記憶を辿りに道を戻っていたが
結果全く違う道に行き、滅茶苦茶何か出そうなタイプのの扉がある場所の前までたどり着いてしまった。
俺は、その時ふと、村で読んだ本の内容を思い出した。
この世界には、ダンジョンというものがありモンスターなどが徘徊し奥には、大きな扉がありそこの中にいる。
ボスモンスターを倒すことで宝を手に入れることができると、まさかこの扉は、それなのでは、と思ってしまった。
だがあまりモンスターは、巡回してなかったしなー実際いたのは、さっきの赤い狼だけだった単に運が良かったから出くわさなかっただけかもしれないし、
仕方ない開けるか、そう思い俺は、この扉を開けた。
そしたらこの扉は、閉じ、この部屋の周りの松明が一斉に赤い火がついた。
そして俺の目の前には、人型の牛のような見た目をした斧を持つ黒い魔物がいた。
冗談じゃなくやややばいって
これ俺の第二の人生終わった気がする。
いやこの際だ最後まで対抗してやる。
「まだ、始まったばかりなんだ、牛相手にこんなところで終わらせてたまるかよー。」
そう言っている間に牛のような魔物は、臨戦態勢に入っていた。
「先手必勝フレイムランス」
そう言いつつ炎の槍を3つほど飛ばしたが牛の魔物は、フレイムランスを全てその斧の一振りで弾き飛ばした。
斧を振った後の風圧が凄い、こんな子供の小さな体じゃ普通に後ろの扉に吹き飛ばされるぞ。
俺は、その場に踏ん張り耐えた。
もうこの際なりふりかわず俺は、今できる最大の魔法を放つ。
最上級炎魔法ヴァーミリオン、魔法陣より放たれるは、自分よりも10倍位の身体を持つ牛の魔物を飲み込むほどの火力だった。
だが、その魔法さえも魔物の肌を少し焦がすほどでしかなかった。
そのまま斧を持った魔物が俺を襲ってくる。
「案ずるな少年」
その時、声が聞こえた。
「天地夢想流ニノ太刀、風月」
「え、」
その声と共に魔物の首は、吹っ飛んでいった。