05話 お茶会とリンゴ
ベルが我が家に来た日の翌日の午前俺は、新しくベルも増えた食卓で食事を取ったあとベルを連れて家近くのリンゴの木近くにいた。
因みに食事中、母は、俺達を見て微笑ましそうに「良い兄妹の絵」だねーと言われた。
何故ここに来たかというとハクを今日呼びだす予定なのだがエリの家を使おうにも、今日も午前中は、エリは、作法を習ってる途中で、午後までベルが待たなそうにしたいからである。
まあ、午前中は、リンゴをあげれば機嫌は、取れるだろうと思いここにいるわけである。
まあ、引っかかっていることがもう一つあるが、
そう思考してる間にベルが俺をつついて震えた声でこう言ってくる
「れ、レクトさん、そろそろ、呼び出せそうですか?」
このように形式上は、俺は、この子の兄なんだが、まだお兄ちゃんとは、言ってもらえてない。
まあ、来て2日で出会ったばかりの人を兄だと思っていうのも無理な話だろうけどな。
「いやまだかな?」
俺は、そう考えながらも問いに答えた。
「そ、そうですか」
「まあ、ソワソワする気持ちもわからなくもないけど少し落ち着いて。」
「は、はい」
「じゃあ、行くよ」
その言葉と共に俺は、久々に口に出して演唱を唱え始めた。
「風は、その傍ら、夢は、自らの造りし幻想、その中に彼の者がいるのならば我は、またそこ知らず、故に元素を砕き夢魔より来たれ白き化身よ!!」
唱え終わった直後に霧が発生しそこの中から一筋の影が向かってきてそれは、だんだんと姿を表してきて出てきたのは、相変わらずの純白の毛皮を纏いし一匹の昨日よりも大きくなった白狼だった。
「久しぶりだな」
「いや、昨日あったばかりだろ」
「それもそうか」
そう軽口を叩いてる途中で
「ハクー」
ベルがハクに抱きついてきた
「ハク少し大きくなったね」
「まあ、前よりは、本来の姿に近い姿で来たからな」
「レクトよ、彼女の名前は、決めたのか?」
どうやら記憶が欠落してて名前を失っているのも知っているようだ
「ああ、ベルティーユと名付けた。」
「それは、お前がつけたのか?」
何故わかった!!お前は、エスパーか
「何、単純なことだ、ここに来ているのがお前達だけだからな、必然的にお前が付けた可能性を疑う」
というか心を読むな
「まあ、確かに付けたの俺だけどさ」
そう言った
「そうか、すまなかったな」
「ハク、お前なんか母親みたいな顔してるな」
「まあ、実質、ベルティーユの母親の代わりは、お前の母や私だからな」
「それもそうか」
確かにベルの家族は、奴隷商に売り飛ばされたか最悪殺されてるかもしれない
どちらにしろ、俺たちは、なんとしてもこの子を守らなきゃならない
それが俺たちがこの子にしてやれる最大限のことだからだ
「ねぇ2人して何話してるの?」
「いや特には、大した事じゃないよ単に午後までどうしようかなーって」
「そうそう、まだ1人揃ってないわけだし」
ハクも上手いように口裏を合わせてくれた
「まあ、そうだよねーそれなら少しここのリンゴの収穫を手伝ってくれないか?」
「ちょうど収穫時期だし、収穫したらそのうちの何個かは、食べて良いから。」
「ふむ、それなら承った。」
「いいですよ、それで私も」
よし上手いように話題をずらせた。
それにしてもハクってなんか食欲旺盛な気がする。
まあ、ウチからしたらペットみたいなもんだから食べさせるのは、習慣になりそうだけどな
それから俺は、2人に収穫の方法を教えハクは、柔らかシートを引いたソリのようなモノにリンゴを乗せて運んで俺とベルは、リンゴを仕分けながら箱に入れて最終的にハクの引くソリにリンゴを乗せた。
まあ、そのような仕事をして午前中は、過ぎていった。
正午に家に戻りハクを紹介したら母までもがハクの毛皮に夢中のように体を毛皮に潜り込ませた。
これには、女性群は、マタタビを求めるような猫かと思った。
これから会うエリも同じことをしたらほぼ確定だろう。
今日、俺の代わりに狩りをしていた。父は、帰ってきてハクに、抱きついた2人を見て俺と同じような感想を述べていた。
そのあと母から出された鳥の唐揚げをメインにした昼食を取った。
無論、デザートは、リンゴだ。
食事を済ませたら父は、今日収穫した、食べてない方のリンゴを納めにに王国に出向きにいき。
俺たちは、ラトリシア邸に向かった。
「アルおじさん、こんにちは、」
「こ、こんにちは、」
「ワフ、」
「ああこんにちは、2人とも、それとその狼が昨日言っていた。」
「はい、ハクです」
「改めてよろしく、エリーゼの父のアルヴァ=ラトリシアです。」
それに対してハクは、
「こちらこそ、幻想神狼フェンリルのハクだ。そなたの娘には、世話になったな。」
「いえいえ、娘がした事ですし、礼なら娘に直接言ってください娘も喜びますよ」
「わかった、後々に改めてエリーゼにも礼を言っておく」
「あと、妻の許可も得てるんでさくらんぼは、いつでも食べに来てください、まだ、沢山置いてあるんで」
「それにしても幻想種の神狼に生きてるうちに会えるなんて感激です。」
まあ、確かに俺の元いた世界でも喋る動物なんていないからなー
「それとレクト君彼女には、名前をつけたのかな?」
このやり取りは、三度目だが一応言うか
「はい、私達の姓を与えてベルティーユ=セイデリアと名付けました。」
「そうか、それは、いい名前だね」
「では、改めてどうだいベルティーユさんこの村は、」
「わ、悪くないです。皆さんいい人ですし、ここに来てから優しくしてもらってばかりなので」
「そ、それは、よかった私も領主として誇りに思うよ」
「まあ、それでは、少し庭で待っていてください、エリーゼを読んでくるので」
「はい」
その後家の中に入って行ったアルおじさんを見送ったら俺たちは、言われた通りに、庭に向かうことにした。
数分後にエリは、さくらんぼの籠を持ってこちらにやってきた。
「お待たせー」
「レク、ハクの召喚うまく行ったんだ」
「まあな、少しだけ不安だったがなんとかできたよ」
「流石、私のレクだね」
あれ、いつからエリの所有物になったんだ俺
「ベルとハクも昨日ぶりかな?」
あー名前は、アルおじさんから聞いたんだな
「は、はい」
「うむ、昨日ぶりだが久しく感じるぞ」
「ま、積もる話は、後にしてみんなでさくらんぼでも食べよ」
さっきバリバリリンゴ食べたばかりなんだけどなー
まあ、いっか!
それから俺たちは、さくらんぼを食べながら午前中に起きた出来事を話した。
エリは、「2人して家族としての第一歩を踏み出しているね」と言われた。
まあ、さくらんぼを食べ終わった後にふとハクは、言った。
「前々から気になっていたのだがエリーゼとレクトは、どこでそんなに魔法を習得したんだ?」
「普通にこの庭かな?」
「というか、まだ上級止まりだけどそんな大した事なのか?」
「お前らは、知らないようだから言うが世間では、お主ら並の年齢だとまだ初級全部覚えてるくらいが普通のレベルなんだ。」
「上級なんて大人ができてやっと一人前だって言われるレベルなんだ。」
「ベルティーユは、珍しい種族の中で才能があったからできたが」
「お主らは、普通の人間でベルティーユ以上に魔法を使いこなしてるお主らは、異常なんだよ」
マジかよ魔法楽しいから必死な学んだがまさか後々にそこまでの事だとは、
まあ、上級覚えてからは、少しアルおじさんや俺の父や母も何気にソワソワしてたからな
もしかして俺の予想が正しければこの世界の人は、俺たちの世界の人みたいに物事をイメージするような習慣がないから俺たちよりイメージ力が弱いのかもしれない。
エリは、異世界から来た俺の影響を受けてるから多少なりとも才能と相まって開花したんだろうなー
イメージするなんて俺の世界の大半の人間は、よくしてる事だし
「確かにハクの言う通り異常だとしても使い道次第だろ?」
これは、事実だった俺の世界でも強大な兵器を持ってても使い道次第では、化けるからな
私利私欲に使えば滅びを人の為に使うんであれば救済をって感じの言葉があるしわけだし
「ふ、よく分かってるじゃないか!」
「やはり、お前は、少し子供らしくないな」
まあ、精神年齢ここに来てからを合わせると30ですから
「よく言われるさ」
「でも、レクは、そういうところがあるからこそ良いんだよ」
地味にそう言うところエリーゼさんのポイント高かったですかな?
「まあ、でもそんなレクでも子供らしい一面あるんだよ、知ってる私くらいだろうけどね」
「ふむ、例えば」
「例えば何気に好奇心旺盛というかそんなところあるというか」
まあ、確かにあるかなぁそんなところ、前世では、そういうのは余り外に出さなかったからな
多分、異世界に来たからなんだろうけど
そうしてその後アルおじさんが持ってきた紅茶を飲みながらお茶会として話は、続き話は、夕方まで続きこの日は、そのまま何事もなく終えたのであった。