04話 白狼と銀色の少女
俺は、あれから耐えずに魔法の練習をしていた。
あの本からの出会いから2年混合魔法を習得しようと上級魔法と併用して覚えてる。
風の上級魔法ならあらかた覚えた。
上級ともなると難易度も、グーンと上がり適切持ちでも習得は、困難を極めた。
魔法適正だけなら俺より多いエリでさえ俺と同じく1つしか基本元素の魔法を上級までしか習得していないのだから驚きだ。
そう2人してスランプ気味な時にエリは、アルおじさんに午前中は、作法などを覚えることになり午後でしか会えなくなった。
そして俺は、その時間にバジルの仕事の1つである。農園と狩りの手伝いをしていた。
うちでは、リンゴを育てているようでここら辺や国では、よく買い取られる品のようだ。
狩りについてだが、ここら辺は、そこまで凶暴な生物は、いないようで特に狩る対象が豚や鳥のような動物だった。
初めは、前世でも狩なんかした事のない俺は、抵抗を覚えたが今では、環境に慣れたせいかよく森に行くことがあった。
最近の魔法練習も森でしている。
理由は、落ち着けるからだ。
それで、今日は、エリと一緒に森で気分転換にハイキングに来ている。
食料として俺の家で育てるリンゴとエリの家で密かに育てるさくらんぼとウチの母ユリアナ特製の弁当を持ってきている。
俺達は、ゆっくりしながら日向ぼっこしてグータラしていた。たまには、こういう時もいいだろうと考えながら
そういえばこの世界に来てからここまでグータラした事がないことに気づいた。
最近は、魔法に夢中になっていたからなー、異世界に来たからって休息は、大事だと思っていた。
その時、近くから物音が聞こえた。
俺は、最初近くのスライムや豚そこら辺だろうと思っていた。
だがエリは、森に来ることがあまりないので気になったみたいで、「レク、私見てみたい。ね、いいでしょ?」
と言われて俺もは、渋々了解した。
何というか俺は、前世もだが幼馴染に似てるせいか俺は、彼女の頼みごとに弱いのだ。
そして少し茂みをくぐって行くとそこには、傷を負った普通の狼と同じ位のサイズの白狼と白狼の寄りかかるボロボロの銀髪の少女がいた。
それを見たエリは、「この狼と女の子怪我をしている、助けないと」と言って。
無警戒で狼と少女に近寄って行ったが、狼が目が覚めた途端警戒するような体制をとって銀髪の少女を、守るような体制になった。
がすぐに傷が痛むのかしゃがみ込んでしまう。
「大丈夫私が治してあげるから心配しないで」と言ってエリは、警戒されてのを忘れたかのように白狼に近づき光属性の治癒魔法をかけていた。
俺は、その間、銀髪の少女にも治癒魔法かけていた。
そのとき気付いたのだが、この少女に狼の様な尻尾が生えていたのであった。
本で知ったのだがこの世界では、人間以外に亜人など生息してその多数は、隠れ里か何かに息を潜めて過ごしているらしい。
エリが白狼に治癒魔法をかけたお陰かエリと俺への警戒も徐々に解けていった。
治癒魔法をかけ終わった時には、白狼は、再び眠りに入っていた。
それからしばらくした後白狼は、目覚めてそうそう目を合わせてお辞儀をした。
その後に「感謝するぞ、人間の少年、少女よ」
それを聞いた俺たち2人は、声を合わせて「「えーーーーーーーー」」と叫んだ。
従来、動物は、人間とは、同じ発音は、しないと思っていた俺たち2人は、驚愕だった。
何せ生まれて初めて喋る狼を見たのだから。
それで俺達が落ち着いた後俺達は、白狼に事の話、何故ここにズタボロでいたのかを聞いた。
そしたら驚愕の話を聞くことになった。
どうやら銀髪の少女が、武装した人間に襲われていてそれを守りながら辛うじてここまで逃げてきたらしい。
この世界の本で読んだ通りなら亜人は、人間からあまりよく思われてない国もあってそこでは、亜人を奴隷としてあってる場所があると書いてあった。
それから考察すると彼女と彼女の一族は、奴隷狩りにでもあったのだろう。
おそらくこの狼は、彼女が、命からがな召喚魔法で呼び出したものであろう。
高位の魔物を喋るものもあると聞いたことがあるが、それを呼び出すには、最低上級の召喚魔法が必要だ。
だが白狼からは、それほどの力強さを感じないところから中級魔法で中途半端な状態で呼び出したのだろう。
そう白狼に考察を話すとどうやら当たっていたみたいだ。
「それにしてもよく召喚に応じたな」と白狼に俺は、質問してみた。
何故この様な質問をするかと言うと召喚魔法というのは、魔法の中でも特殊な魔法で契約した魔物かその召喚に応じた魔物が召喚されるのだが、
ここまで高位の魔物だと契約することは、難しいだろう彼女の年齢からしたらなおさらだ。
そしたらこんな子供に何故、高位の白狼が召喚されたのかそこが単純に気になったのだ。
その問いに対して白狼は、「彼女の里は、私を崇め称える教えがあったらしく私は、崇められていた。」
「お前もしかして神霊か何かなのか?」
「そうだな、私は、神狼フェンリルという個体名を持つ魔物だ」
まさかのフェンリルか俺の世界の神話でもよく聞く名だ。まさかこの世界にいたとは、驚きだ。
「それで話を戻すぞ、それで彼女の一族は、そこそこ私の加護を受けているんだよそれが理由で私の彼女と間に少なからずパスが繋がっているのだろう。」
その話を聞き今までこの世界で得た知識と前世でのちょっとオタクじみた知識により、大体の状況は、冷静に飲み込めた。
「そういうことか、納得した。」
「すいません、お取り組み中宜しいでしょうか」
エリがそう言って話に入ってきた。
それに対して白狼は、「すまなかったな人間の少女よ」
と返した。
「いえいえ気にしてませんから大丈夫です。それよりも彼女を今後どうするかについてなんですけど。」
「当てがないならもしよかったらうちの村にきませんか、村ならば亜人差別などもないだろうし皆優しいですから。」そうエリは、話した。
「いいのか、そんなことをして、奴隷狩りがお前の村を襲わないとも限らんのだぞ、」
白狼の問いに対して俺が返答した。
「その時は、俺が守ってみせます。」
「貴様の年齢でか?」
「これでも魔法は、そこそこ使えますし、それに守ろうとする考えに子供も大人も関係ないですから」
それは、実際、事実だった昔より力は、つけたと思うし何より何処かかつての自分に近いこの子をこのまま見捨てておけないと思ったからだ。
「覚悟は、あるようだな、良かろうお主に免じてを 認めてやろう」そのような感じで白狼に認めてもらえた。
「では、さっそく向かいましょうか、」
と言った矢先に、
ギュルルルと音が鳴った
音の方向には、白狼がいた。それを聞いた、エリは、白狼に対して
「長旅でお腹減ってたんでしょ、だからありあわせなんだけどうちで育ててるさくらんぼどうぞ。」
とさくらんぼを差し出した。
「かたじけない、人間の少女よ。」
「いいえどういたしまして、後、人間の少女じゃなくて私の名前は、エリーゼ=ラトリシアと呼びます。なのでなるべく名前で呼んでもらいたいですけどいいですか。」
「すまなかったな、エリーゼ、後このさくらんぼとてつもなく美味しいよ。」そうもらったさくらんぼを頬張りながら喋る白狼
「それならよかったです、もしよかったら村に来たらまだあるので食べてってください。」そう笑顔でエリは、返した。
その後、俺は、銀髪の少女を背負って白狼とエリと共に村に向かいながら歩いて行った。
途中で白狼からこんなことを言われた。
「少年よ、お主、我と仮契約して貰えないか。」
「何故、ですか、その少女とも契約してる筈ですよね。
まあ、いままで事あったせいかパスは、強固なものになったからな契約は、結ばれたのだろう。」
続けて「じゃがそこの少女じゃまだ我を本来の一滴位の状態でしか召喚できないのだ、だがお主なら大丈夫であろう。」
「それなら俺じゃなくてもエリに頼めばいいんじゃないか」
「いや、エリーゼからは、風の適性を感じないのでな我は、風の召喚魔法で呼び出される存在なのでなお前がうってつけというわけだ。」
確かに白狼の言う通り、召喚魔法は、呼び出す魔物の属性に合わせないと出ないと言う制約がある。
となると白狼の属性は、風なんだろう。
「だが、俺でも白狼の完全体を呼び出す程の魔法は、使えないぞ」
「それでも今よりは、マシな状態で呼べるのだろう少なくても私は、7割くらいの力で呼び出せる力は、持っていると思うが」
実際事実だった俺は、超級魔法までは、扱えなくても上級魔法までは、使えるそこを勘づいているのだろう。
「なんでもお見通しだなー」
「わかった。なんだかんだでこの子には、お前が必要だからな俺で良ければ契約に応じる。」
その後白狼と俺の体が少し輝いた気がした。
その後「これで私とお前との間に擬似的なパスが繋がった。これでお前は、私を召喚可能になったわけだ」
「まあ、これからよろしく」
それに対して白狼は、肯いた
それから少し歩いたところで背中にいる少女が起きた。
「ふぇ、ここは、どこなぜか前があったかい」
「よ、起きたか大丈夫か?」
「だ、だれ!!」そう言って俺の背中から飛び降りて警戒する様な目を向けてきた。
まああの様な間に合ってきたんだ疑うのもおかしくないかなそれから俺と近くにいたエリは、自己紹介した。
「自分は、レクト=セイデリア、ここら辺近くのユーシア村出身だよろしく。」
「同じく、私は、エリーゼ=ラトリシアって言うのよろしくね」
それでも少し困惑した様な様子でこちらを見ていた。
そしたら白狼が「此奴らは、お前と私を助けてくれたのだ。だから安心せよ」
「そうなのハク?」
「白狼だからハクかわかりやすくて悪くないな」
「ああ、だからこれから彼らの村に向かって育ててもらうのだぞ。」
「まってそれじゃハクがもういなくなる様な言い方じゃないの消えないで」
「大丈夫だ、少なくても呼び出そうとすれば呼び出せるただ今は、魔力切れだあと少しで戻される、念のためにそこのレクトが召喚できる様にしてあるから。」
「安心して行きたまえ」
「だから、レクトなるべく明日にでも呼んでくれそこのエリーゼの家のさくらんぼは、美味しいのでな」
「わかった、任されたよ」
というかさくらんぼ目当てなのかよ!
「エリーゼ、明日には、来るからさくらんぼ用意してまってて欲しい」
「うん、わかったハクもお元気でまた明日いらしてくださいよ、じゃないとさくらんぼなくなりますよ」
「はは、それは、困るなだったらご要望には、答えないとなでは、皆また、明日に会おう」
そう言って白狼ことハクは、村の前で粒子となって消えた。
そして、俺たちは、泣きながらも付いてきた銀髪の少女を村に連れてきて俺の両親や領主であるアルおじさんなどに報告した。
その結果彼女は、ハクを召喚できる。俺の家で引き取ることになった。
彼女に名前を聞いたが記憶昏倒しているのか出てこないらしい。
と言うことで拾ってきた俺が名付けることにした。流石にナナシちゃんじゃかわいそうだからな
「なら、お前は、これからベルティーユ=セイデリアを名乗るといい。」
「ベルティーユ=セイデリア?」
ベルサイユ宮殿からとって可憐な少女として生きてほしいという願いで名付けた。
「そうだ、そしてお前は、この名前になってから晴れて俺たち家族の一員だ、だから悩み事があったら包み隠さず言っていいだぞ。」
これは、俺嘘偽りない真実だ。前世では、大切な幼馴染さえ目の前で救えなかったのだ。
今度こそは、目の前にあるものだけは、救って見せたいと思っている。
「それにお前の村を救えなくてすまなかったな、だけどお前がベルが残ってくれて良かった。」
そう言った途端彼女は、再び何かを思い出しか感情が解放されたのか俺に抱きついて泣き出した。
「うああああああああ」
それを俺は、彼女の頭を撫でながら慰めた。
そして、可愛い妹ができることになった。