02話 ラトリシア家の書庫に
翌日の朝、俺は、朝食を食べさせられているのだが今まで言わなかったが普通の料理がすごく恋しい。
あと最低半年は、これを食べ続けないといけないとは、精神年齢30歳のおっさんが離乳食を食べてるとかどんな状況だよって今の自分にツッコミたくなる。
まあ、普通に赤ん坊の器官がまだ未発達だから仕方ないっては、仕方ないけどさ。
あーまともな米やパンなどが懐かしいなー、
まあそう思いつつ食べて今日も一日スタートするのだが、今日は、両親と一緒に領主の家に行く予定だ。
数時間後
俺たちは、領主の家の前にまで来ていた。まず最初にバジルが家のドアをノックした。
それから数秒した後大体俺の転生前の実年齢に近いくらいの茶髪の男性がドアから出てきた。
「おおーこれは、これは、よく来てくれた2人ともいや3人かな?」
そう言って出てきた男性を見て俺は、思い出した。6ヶ月前ほどに俺の家に遊びに来た人で俺のことを抱いてくれた人だった。
そう思い出したと同時に俺は、挨拶を始めた。
「お久しぶりです。領主様、レクト=セイデリアです。あの時は、おせわになりましゅた。」
それに対して領主さんは、
「ずいぶん若いのに逞ましく礼儀正しいなったね」
それに対してバジルが
「自分たちも驚くくらい早熟で未だ驚いていますよ」
「そうだ、自己紹介を忘れていたね、私は、アルヴァ=ラトリシア、軽くアルおじさんでいいよ。」
まあ、ここは、子どもらしくそう呼ばせてもらおう
「それとエリーゼ、出ていらっしゃい」
そう言うと家の奥から小さな女の子が走ってきて外に出てきた。
その後俺たちを見たらすぐにアルおじさんの後ろに隠れてしまった。
「すまないな、この子は、少し人見知りなところがあってね、ほらエリーゼ挨拶をなさい」
そう言ったら顔をひょっこり出して。
「え、エリーゼ=ラトリシアでしゅ。よろしくおねがいしましゅ。」
俺が発音が良すぎるのかこの子は、少し発音がまだうまくできないようだった。
挨拶をした後また隠れてしまった。
「こんな娘だけど、レクト君仲良くしてやっておくれ」
それに対して俺は、「はい」とだけ答えた。
その後が本題で俺の両親がアルおじさんに事情を説明することになり説明を聞くとアルおじさんは、普通に頷き家に来る許可をくれた。
俺は、その間エリーゼと名乗った子に近づき笑顔で挨拶をした、
「俺は、レクト=セイデリアって言うんだ。よろしく」
それに対してエリーゼは、
「れ、レクト、よろしく」
「レクトね、レクト」
「レク、レクでいい呼ぶろ?」
いきなりの事に戸惑ったがすぐにあだ名だと気づいた。
それに対して俺は、こう返した。
「いいよ、じゃあこっちは、エリってよんでいい?」
「うん、いいよ、えりで」
そう彼女の方も答えた。このちょっとしたやりとりで彼女の俺に対しての警戒も和らいだみたいだ。
「ねえ、レク」
早速、エリに名前を呼ばれた。
「なに?」
「レクって本読める?」
「読めるよ」
「じゃあ私に読み聞かせて。」
という感じの怒涛の質問攻めみたいな会話で、俺は、エリに本を読み聞かせる事になった。
エリを見ていると、前世に取り残した幼馴染をふと思い出す。自分達もこんな感じで親しくなったような気がする。
それにエリは、どことなく彼女に似ているのだ。
俺は、そう虚な気持ちで思った。
エリは、そのあとアルおじさんに「おとうしゃまレクにほんよんでもらうきゃらしょこにつれててっていい?」と聞いていた。
それ対してアルおじさんは、普通に話がついてるので断る事ないので良いと言って「あまり走らないように」と付け加えて俺たちは、書庫に向かった。
エリについてくがまま家の中を進んでいきとうとう書庫についた。
そこは、小さな体だからこそ見える異世界があった。上上に見える本棚達、そう感激してる間にエリは、少し進んだところから一冊の本を手に取り俺に渡した。
何何、吸血鬼伝説?じゃあ読んでみるか。それから俺は、毎日のように別の本をエリに読み聞かせにラトリシア家に行くようになった。
それから2年の月日が流れた。
この頃には、もう、違和感なくなるようにエリも俺も滑舌よく発音できるようになっていた。
俺たちは、数ヶ月前に本棚の中で見つけたボードゲームのルールブックを読み最近は、ボードゲームをやるようになっていた。
この世界にもオセロやチェスがあったみたいで何気2人して楽しんでいた。
因みに俺たちは、現在は、エリの部屋で軍戦と言われるこの世界での将棋をしていた。
何気に名前が物騒だなこの世界のゲームと俺は、思っていた。
「やったー、今日は、わたしのかちー」
「これでこのゲームでは、40戦30勝10敗だなー」
「むーまだまだレクの成績には、追いつかないなー」
「まあ、日々研究してるからな」
「でもいずれ追いついてみせるよ」
そんな感じの会話がいまや日常になっていた。俺もエリと出会う前は、最初は、どうなることかと心配していたが、むしろ今は、いい友人として仲良くできてると思う。
前世にも友人は、いたけどこの年代では、居なかったのでかなり新鮮である。
それ以前に、俺は、友人は、居たけど最終的に、俺の手元から滑り落ちるように消えていった。
だからこそ、この世界では、二度と同じ過ちを繰り返さない為にも友人を大切にしたいと改めて思った。
それは、そうとそんなことしてる間にも夕方になったので俺は、家に帰る事にした。
「じゃあそろそろ家帰るよ」
「また、明日ね、さよなら」
「ああまた明日。」
そう言ってエリの部屋から出て行き
途中でアルおじさんにも
「アルおじさん、今日もお邪魔しました。」
そういって俺は、自分の家に戻っていった。
丁度外にバジルが居たので声をかけた。
「ただいまー」
「おかえりー、今から風呂沸かすから少し待ってな」
風呂沸かすといったので見てみたら作りからしたら江戸時代やそこら辺にある風呂の作りみたいで焚火用の木が下に用意されていた。
だが火を起こすものが見当たらない、この世界では、別の火をつける方法でもあるのだろうか。
そう思っているとバジルは、
「元初の炎よ我が手に灯せ」
何やら演唱を始めた。
「ヒートショット」
そうバジルが唱え終わると火が彼の指先に出てきた。
そして火は、綺麗に焚火に灯った。
俺は、しばらく呆然としていた。
まだ状況を完全には、飲み込めていないが、彼が魔法を使った事は、確かだった。
俺は、恐る恐るバジルに聞いた。
「父さん、今のは、いったい?」
その問いに対するバジルの返答は、
「魔法だよ、あーそうかまだレクトには、見せた事がなかったな」
こんな意外な形で魔法に遭遇するとは、思っていなかったが、この世界には、魔法があることが理解できた。
そのあと魔法がどういうものなのかについて少しばかり教えてもらった。
どうやら魔法は、人々の中にある根源(魔力)を消費することで使える現象らしい。
あるならもっと早くに気づくべきだったー書庫に通ってるのにと俺は、少しの間嘆いていた。
俺は、次の日から魔法書を探し出し魔法を習得する事を密かに決意したのであった。