プロローグ
なんのことない平凡な人生の繰り返しだった。
そう思う俺は、今年23歳の一人暮らしのしがないサラリーマンだ。彼女いない歴も年齢と同じ。
特にスタイルが悪いわけでもなければ酷い性格をしてるわけでは、ない。だがモテない。
まあ自分から彼女を作ろうとした訳でもなくただ単に興味がなかったから当然っては、当然だが、やっぱり告白してもらいたいいう願望があったのだろう。
そんな俺の未だ昔から絶えない悩みは、自分が凡人である事である。
今まで何をすることなすこと他人に凌駕され続けた。
勉強も運動もゲームも人並みには、できたつもりだがそれでも身近な誰かしらには、上がいて自分の無力感が滲み出るようだった。
そういうこともあって俺は、責めて何も勝るものがないなら凡人なりに誰かしらの役には、立つように心掛けている。
それでも唯一自分の事を見捨てずに関わってくれた幼馴染の少女は、不慮な事故によって未だに眠ったままだった。
三年前に起きた事故から俺は、絶えず自責の気持ちで彼女に会いに来てるが、彼女は、一向起きる様子は、なく眠ったままだった。
あの時自分が、彼女を突き放さず認めていれば、それ以前に元より凡人でなければこうならなかったのでは、ないかと後悔の中で俺は、生きていた。
結果、一向に悩みは、晴れることは、なく。
徐々自分の心を蝕んでいくばかりだった。
そう思ってる間、駅のホームへ着いた。
ざわざわ、さっきから左の方から人の声がうるさく感じる。
気になって、その場所に足を運ぶ。
すると見ただけで、理由を察した。自分より少し年上だと思えるような男性が線路に寝転がっている。
周りの人は、上がってこいなど言っているが男は、断じて聞く気は、ないようだった。多分、自殺願望者だろう。
ここは、普通なら助けるべきなのだろうが自分も場合によっては、望んでいることでもあるから一貫に人に言える立場では、ないのだ。そう思い俺は、足が動かなかった。
そう思っていたその時、高校生あたりだろうか線路に降りて説得しようとしていた。手を払われようとも説得し続けた。
その時、俺は、思った。またこのまま昔と同じように今も目の前の少年に勇気という点で負けて良いのか、また目の前で助けられるものを溢れ落としていいのかと思い。
そう思い始めたときには、足が動いていた。
そして線路に自らも降り男にこう言った。
「こんなところで終わって良いのか、俺だってこの世界が嫌いでそして何もできない自分が何よりも嫌いだったでもまだしっかり生きてる。もしこの世界が嫌いなら最後まで足掻いて死んでくれ。それがそうすれば少しは、生きている理由が見つかるかもしれないだろ。」
その後男は、少し黙った。
そして「あんたも同じ目をしてるいるな、わかったよ」
と片言で喋り線路から出て行った少年もその跡をつけて上がっていきその瞬間《間もなく下り列車が参ります、お客様は、黄色線の内側でお待ち下さい》と通知が入った。
そろそろ俺も線路から上がった。その時さっきの男が俺に向かって走ってきて線路に飛び出しそうになります。
俺は、飛び出しそうになった男を手で押し返しホームの中央に戻したがその反動で後ろによろけて横からは、電車の音がする。
死の断末魔、俺はもし次の人生があったらもっと上手くやりたいなってと思った。
それが俺の最後の思考になった。