ぴよその0 ひよこ
んん……………
ぼくは目覚めた。
今日はいつもより長く寝たかなあ?
でも、まだ暗いな。
ぼくはあくびをしながら辺りを見回した。
あれ? ここ…………どこ?
辺りは、薄暗かった。においがいつもと違う。
いつもは、埃っぽくて、みんなのにおいで溢れてるはずなのに。今は、冷たく、湿っぽいにおいだ。
ぼくは不安になり、みんなを探し始めた。
どこ、ねえ、みんなどこにいるの?
[コツン!]
痛いっ!
ぼくは衝撃で後ろにひっくり返った。どうやら、壁に頭をぶつけたみたいだ。ここ、狭い。
ぼくは足をわたわたさせすぐに起きあがると、もう一度壁に近づいてみた。そして、くちばしで壁を触る。
冷たい。
冷たい壁。いつもはこんな物絶対にない。
いつもはもっと壁が暖かいのに。
ここ、嫌い。
ここには、いつもいる黄色いふわふわな仲間は存在しない。ここはいつもとは別の場所みたいだ。
じゃあいつもの場所はどこに行ったの?
ぼくの目が暖かくなってきた。
いつもはこんなことないのに。
ぼくは顔を上げると、さっきよりも周りが明るくなってることに気づいた。
暗闇に、目が慣れたのだ。
見ると、この狭い場所は前と後ろにながーく続いていた。
道の高さは、ぼくがギリギリしゃがまないで歩けるくらい。
この道をまっすぐ行けば、いつもの場所に着くかな?
ぼくはそんなことを考えた。
ここは冷たい。いつもみたいに、暖かいところに行こう。
一人の、いや、一匹のひよこは、そんな小さな決意を胸に抱き、たった一匹で、冷たい地面の上を歩き始めた。
転生って言ってるけど、実質転移だね。
そっちの方がゴロが良いからね……。
頑張れひよこ。