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【ウンコアイドル】


『ステージ上でウンコ漏らしたアイドル』



 SNSで拡散されて、そんなネットニュースが世間を騒がせたのは、えっとぉ。

あ、そっか。

 もう2ヵ月も前の話なんだね。

 確かあの時は、アカリちゃんの為にって思って、無我夢中で必死になってて、後先とか全然考えてなかったと思う。

 

 アイドル界では、ちょうど同時期に『パフォーマンスでカブトムシを食べるアイドル』とか、『ステージ上でリストカットするアイドル』とかが話題になったりしていたんだけど、それを圧倒的に超える速さと広さで拡散された結果。

『ステージ上でウンコ漏らしたアイドル』が圧勝だったんだよね。

こんなに嬉しくない圧勝、初めてだよ。

 本当、完全に世間の笑いものなんですけど。


 あ、一応言っておくけどね、アレはあくまで私の『ウ〇コスキル』なだけだから。

本当に出したわけじゃないから!


 えっと、そうだ。

一応、その件についても、私なりに細かくまとめておくね。


 本当の事実は分からないけど……。

ミナコちゃんは、アカリちゃんが『偽物のアイドル』だって、初めから気が付いていたみたい。

それで、当時アイドルじゃないくせに人気を上げていたアカリちゃんに嫉妬して、何とか潰そうと思って、あんな噂を立てたんじゃないかって、メンバーの子が言っていた。


 ミナコちゃん、グループの運営さんとも上手くいっていなかったみたいで、それでアカリちゃんと一緒にホテルに行ったっていう噂を流して、あわよくば運営も辞めさせて新しい人にしようと思っていたみたい。

 あの噂の発端が本当にミナコちゃんだったっていう確信も証拠もないけどね。


 え?

 でももしかしたら、アカリちゃんも本当に裏ではそういうことをしていたんじゃないかって?

 ふふふ。

それだけはないって言えるよ。

 理由は2つあるんだけどね。


 一つは、あの一件があった次の日。

あれだけアカリちゃんを蹴落とそうとしていたミナコちゃんが、あっさりアイドルを辞めてしまったこと。

 う〇ちに訊いたら、『アイドルとしての資質を失ったんだろう』っていう話だったから、アイドルはやっぱりアイドルにあるまじき行動をしちゃうと、う〇ちに見放されちゃうんだと思う。


そしてもう一つは―――――。


ピロリンッ♪――――――


「あ、アカリちゃんだ」


 ちょうどきた。

LINEを開いて、そこに書かれていたメッセージを見ながら、思わず私は微笑んでしまう。


―――――【ウンコ、きた! 昨日に引き続き、今日も私にもウンコ来たよ】


「あはっ、良かったね」


 ミナコちゃんがあんなことをしてアイドルじゃなくなっちゃったんだから。

もし本当はアカリちゃんが裏でなんかイケないことをしていたとしたら、今『本当のアイドル』をやっているはずがないもの。

 それが、言いきれる理由。


 私もステージ上で『う〇ち漏らした』とか言われて、あの日の会場も出禁をくらっちゃったりして、大変な思いをしたりしたけれど。

 どんなに汚名を着せられても、汚いイメージを持たれちゃったとしても、それでも今もアイドルであることには変わりないし、昔う〇ちが言っていたみたいに、『汚い』とか『汚れる』っていうのは、私が思っている外面だけのものとは、少し違うのかなっていうのは思っていたりするよ。



―――――さて、と。


 こんな感じで、私はアイドルになったこの8ヵ月の記録を、いまさら手記にまとめてきたわけだけど。

正直、自分でもなんでこんな恥ずかしくてバカみたいな話を書き残そうと思ったのか、よく分からない。


 でも、このたった8ヵ月で、周りのアイドルの子たちはみんな次々と卒業してしまうし。

そしてみんな、う〇ちの事だってキレイさっぱり忘れちゃって、アイドルの輝きも失ってしまうから。

 

 そういうのを見ていたら、何となく怖くなったんだと思う。


 私だって、いつアイドルの資質を失って、う〇ちとお別れしなきゃいけなくなるかなんて分からないから。

 もし突然う〇ちがいなくなって、私が全部忘れちゃったとしたら、寂し過ぎるじゃない?

だから、こうして紙に書いて残しているんだよね、きっと。


 もしかしたら……全部忘れちゃったらこの手記に書いたことも、「なにこのくだらないフィクションw」とか程度の認識になってしまうかもしれないけど。


 それでも私は、最後まで自分に正直なアイドルでいたいし。

 オタクの前でも、自分自身にも、全部オープンに曝け出していきたいから。

 普通の女の子になってしまった私に対しても、全部オープンに教えてあげるんだ☆


「ふわぁぁ~……」


 いけない、もうこんな時間かぁ。

明日もライブだから、そろそろ寝なきゃ。


「……ねぇ、ウンP」

「あ? なんだ、クソアイドル」


 今、私の机の上には、う○ち――――ウンPが鎮座してる。

アイドルの汚い部分を見てしまってから、なんだかウンPが実はすごくキレイなもののように思えて来て。

今では部屋のインテリアとして、常時飼っている感じになっているんだよね。

 まっ、所詮う〇ちだけど♪


「――――明日の新曲、どう思う?」

「さぁな」


 ウンPはそう言って俯いた。

今はマッキーで目を描いてあげたから、キュートな瞳が輝いているよ。(ぷっ、笑っちゃうw)


「まぁ―――――いいんじゃねぇか?」

「……ずっと聞きたかったんだけどさ」

「あぁ」


 本当は聞くつもりなかったけど。

っていうか怖いから、聞きたくなんてないんだけど――――。


「もし『アイドルの秘密』がバレたら、アイドルとウンPはどうなっちゃうの?」

「わかんね。俺は……消えるかもしれねぇし、何にも変わらないかもしれねぇ」

「なにそれ」


 それじゃ聞いた意味ないじゃん。


「だが、少なくとも……」


 そう言って、ウンPは続けた。


「てめぇなら、大丈夫じゃねぇかって思ってはいるぜ」

「そっか」

「ほら、もうそろそろ寝やがれ。夜更かしは美容とパフォーマンスに影響するぜ」

「うん、そうする……」


 ウンPに言われて、私はペンを置いて、手記の手帳をそっと閉じた。


「さてと、寝る前に俺を流してくれ」

「えっ、なんで? 別にここで寝たらいいじゃん」

「クソが。俺にだって、たまには流されてみてぇ時はあるんだよ、運命ってやつにな」

「なにそれ」


 意味わかんない。


「いいから、とにかく流せ」

「……明日も出てくるよね?」

「当たり前だろ、ったく」

「うん……」

「てめっ、また俺を呼び捨てにっ――――」


 流したくないなぁ、なんとなく。


「ねぇ、明日思い切ってさ、一緒にステージに立つ?」

「バカか、クソが。だからてめぇはいつまでもクソみてぇなアイドルなんだよ、ウンコが。てめぇはアイドルだろぉが。俺みてぇなPが出しゃばるアイドルがどこにいるってんだ」

「そうだけど……」

「いいか、あくまで俺はプロデューサーで、ウンコだ。ケツから出ても、表には出ねぇよ」


 何かあるとすぐ私のお尻から出てくる出しゃばりのくせに。


「そっか……わかった。じゃあ、トイレに流すね……また明日ね」

「あぁ、またてめえのケツから出られたらな」


 変なこと言わないでよ。



 明日のライブは、私のアイドルとしての決意の日。


 私が、アイドルとしての本当の本気の私を見せる日だから。



 私の中で、ずっと見ていてよね、ウンP――――。








ξ ξ ξ ξ ξ ξ ξ ξ ξ ξ ξ ξ








「うーんーこっ! うーんーこっ!」

「うーんーこっ! うーんーこっ!」

「うーんーこっ! うーんーこっ!」

「うーんーこっ! うーんーこっ!」



――――――そんなコールが湧き起こる。


今日の箱のキャパは、200。

そのほとんどは、私を見に来てくれている、応援してくれているオタクのみんな。


 最初は『ウ〇コ漏らしたアイドル』っていう野次馬精神で会いに来たオタクも多かったけど。

今では、みんな本当にアイドルとしての私を見てくれている、応援してくれている。

『う〇こ、う〇こ』って言われた時は本当に病みそうになったし、死にたくなったけど。


 今はオタクのみんなが居てくれる限り。

私はアイドルをやめないし。

自分のスキルも才能も全部正直に曝け出して。

全力でステージに立つよ。


―――負けない。


キラキラ輝いて人々を魅了するアイドルにも。

握手をしただけで惚れさせちゃう神対応のアイドルにも。

ダンスでステージを沸かせるあのアイドルグループにも。


 どんな形であれ、私は私にしかできない、オリジナルアイドルになるんだから!


(いってくるね、う○ちP!)


『だからウンコだって言ってるだろが、糞アイドルが』


 そんな声が聞こえてくるような気がする。

もしかしたら、もうお腹の中でそんな風に怒鳴ってるかも。

あはは。


 糞アイドルだって、いい。

だって私には、歌を聴いてくれる、見てくれる。

応援してくれる人たちが、いるんだから。


「うおおおおおおおおっ!!!!」


 歓声のなか私は暗転したステージの中央に向かって歩き出す。

スポットライトが、中央に立った私を照らした。


熱い。


照明の熱が熱い。


熱い。


私見てくれている、みんなの視線が、熱気が、熱い。



「うんちー!」

「うんち、俺だー!」

「うんち、好きだー!」




 私を呼ぶ歓声。


 みんなが、私を見ている。

私を求めてくれている。

それが私の心を幸せにしてくれる。


―――――ふぅ~。

 私は深呼吸をして、それから観客席を見つめた。


「どうもっ、皆さんこんばんは、今日も皆の便秘を解消するよ♪ アイドル大便器こと、朝比奈うんちでーすっ☆ 今日は私のために来てくれてありがと~!」



――――パンッ!うーんちー!



 そんな合いの手が入れられる。

オタクからの『合いの手』は、私に勇気と元気と、輝きをくれる『愛の手』だよ。


 みんなはアイドルっていうイメージを神格化して、狭いテリトリーの中でキレイな部分ばっかり見せて、汚い部分は裏に隠してってしがち、だからさ?

そういうアイドルを見ちゃうと。

本当に汚いのは、う○ちじゃない。

一部のアイドルの方だよって思っちゃうよね。


 でも私は絶対、そんなコソコソしたことはやらないから。

 全部。

 ぜ~んぶ、曝け出していくんだっ☆



「えーとぉ……今日は、皆さんに聴いて欲しい新曲がありますっ☆」



「おー!?」

「やったー!?」

「うんこー俺だー!」


 盛り上がるオタク達。

 大丈夫。

 私はアイドルだから。

 きっと、認めてもらえると思う。

 とにかく全力で歌って、踊るよ。



「―――――それでは早速、聴いてください、新曲――――」




 だって、私はみんなのアイドルだから。




――――――隠し事なんてできないよ☆








「―――――『アイドルはウンコしないと思った? 残念っ、普通の桃色ウンコでしたぁ☆』」








See you next stage…


――――――♪ 今日もぶりぶりっ♪ 明日もぶりぶり アイドル♪‥‥‥‥


(´▽`)。〇(歌詞書いた)


はぁ、イイハナシだなぁ……泣




というわけで、毎日更新で駆け抜けてまいりました、あまのがわさきです♡

初のなろう一般作品、いかがでしたでしょうか?

こんなウンコみたいな作品を最後までお読みいただいた皆様、本当にありがとうございます( ◍>◡<◍)。✧♡



私は普段は「ノクターンノベルズ」の方でエッチな物語を書いていまして、そちらでは「あまのがわは抜けるっ!」って言ってもらえると、すごく喜びます。


でも今回は一般作ですからね。。。

もしよろしければ、「あまのがわの作品はクソ」「ウンコみたいな作品」「排泄しました」などの感想を頂けたら、とても快便になれますので、どうぞよろしくお願いいたします♡


一般作はエロシーンがない分、メリハリがないというか…すごく難しかったです。

でも楽しかった(*'ω'*)


ぜひ18歳以上の方は、ノクターンの方にも遊びにきてください♡


☆twitterもやっておりますので、よろしければフォローお願いします☆

→https://twitter.com/amanogawa_saki




以上、あまのがわさきでした!ありがとうございました(*‘ω‘ *)♡

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