五話
三歳になった。三歳になると、もはや、屋敷内を歩き回る事が出来るようになり、父親の書斎に入って書物を読んだり(識字能力も授かっていたようだ)、母さんの仕事部屋やメイドさんの宿直及び控え室に遊びに行ったり、メイドさんに頼んで、屋敷の周りを連れ歩いて貰ったりした。
「(この地域は恐らく、雨は多くはない、そして、やや寒冷の気候だよな……。こんな気候で、米作りは向いてはないな……。さつまいもとか、じゃがいも、甜菜、大豆、綿といった作物に替えて行く方が良いと思うんだよね。勿論、土壌の改良や肥やしも必要だね)」
僕は、領地内の農地を見ながら、分析してみた。
そして、屋敷内の庭で試作を許可して貰い、後に、領地内の農地は、適地適作に替わって行った、僕の化学錬成チートにより、肥料による土壌改良も大々的に行われるようになって行くのも、言うまでもない事である……。まあ、それは、話の一側面である。
甜菜から質も量も充分に粗糖や黒糖を作り出すのに、5年を費やしたけど、領地の財政にとっては、かなり有効な収入源となったのは言うまでもない。砂糖、自体がかなり貴重な代物で、皇族や大公、公爵、大富豪等といった高位な人達や金持ちでも、有り難がるようなものであるから。砂糖だけで、領地歳入の約5年分の収入になった、だから、領民の租税は半分にしたのだけど、それでも充分プラスだった。
綿は、収穫及び糸を取り出す作業に人手が必要だけど、衣服に綿糸は必要で、需要も高いので、工賃を払ってもプラスだし、農家の人達にとっては貴重な収入源になった。
また、紡績工場による機械性手工業も期間工として女性を雇った為、これもまた、農家から一般宅迄貴重な収入源になった。