二話
あれから何ヵ月か経ち、僕は無事、出産の日を迎える事が出来た。
「玲央~!」
「たぁ~い!(は~い!)」
僕は、玲央と名付けられ、ただ今、母親の可愛がりの抱擁を受けていた……。
「可愛いわ~!」
母親は、スリスリ……、と頬擦りを繰り返していた。
「(ウチの母さんは、こんな事していたのだろうか? 想像もつかないな……)」
これも、1年ばかりの事らしい……と、周囲の会話から伺った。
「(何でも、一歳を過ぎると、徐々に子離れ親離れして行く様に、親と接する機会を減らし、メイドさん、と言っても領地内の有力者の娘さんから選りすぐって奉仕に来させているという事らしい……んだけど、が普段お世話をするらしい)」
因みに、この家は子爵、階級としては、男爵<子爵<侯爵<公爵<大公<皇族となっており、子爵から領地を持つ事を許されるらしい。
そして、僕は一歳を迎えた。徐々に意味ある発音が出来るようになって来た。そして、この世界には、魔法というものが在り、火を起こしたり、水を出したり、風を起こしたり等出来るらしい。僕は、この手の、魔法使い等が出てくる類いの小説や漫画は好きだったので、よく読んだ。まず、魔法を使うには、魔力を感じ、これを操作できる事が必要という事、後、やはりイメージが大切という事らしい。
一歳近くになって来た頃から魔力操作の訓練を行い始め、魔力切れで疲れて寝てしまうという事を繰り返している。何でも、魔力は使えば使うだけ増えるらしい、勿論、成長曲線は、年齢が上がるに従い、緩やかになって行くらしいし、個人差も大きいらしいけど。僕が魔力操作の訓練をしているなんて誰も知る由無い。