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11/11

一話

あれから5年の月日が経ち……、僕は11歳を迎えた。まあ、11歳になったからと言って、何が変わるという訳でもない。

領地経営は、変わらず、砂糖と綿糸の売り上げは好調で、黒字を計上、長年続いていた自転車操業も脱出した。


「玲央……、お前ももう11を迎えた。そろそろ、将来の伴侶となる婚約者を決めて行く事が必要だ。勿論、近年の領地経営の改善はお前の力があってこそ、という事は承知しておる……」

ある日、父上に呼出しを受け、開口一番に言われた。

「父上、此度の経営改善は、自分だけの力ではございません。領地の皆さんの力添えがあってこそ、に他なりません。婚約に関しては、相手方との事に成りますから、一朝一夕に決められる事ではございません。勿論、婚約という事に関して、消極的という訳でもございません」

僕は、父上に対して、返事を返した。

「そうか。お前を政略の対象としたい訳ではないのだが、如何せん、我が家は子爵家、上の爵家との繋がりも必要だ。お前に、仮に好きな相手がいたとしても叶わぬやも知れぬ……。そのような事があれば、誠に申し訳ない」

「いえ、父上、自分は、まず、領地の皆さんや家族が衣食住にに困らず、生活を送って頂ける事が重要ですから、その為に、政略の対象とされる事も厭いません。勿論、よほどの相手とあらば、躊躇する事もあろうかとは思いますが……」

「まあ、急ぐ話ではないから、重く受けとる必要は無い、安心してくれ。私も、よほどの相手に、婿入りさせるという事はしたくないからな……」

「ありがとうございます」

僕は、一礼して、執務室を退室した。

「(表立っては隠し通せているかもしれないが、玲央が生まれて以降、劇的に改善した事から勘づく事は間違いない……。そうなれば、あの手この手で、玲央を引き込もうと策を巡らすだろう……)」

松本家当主、玲哉はため息をついた……。


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