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王様の依頼

 ある日マスターからお呼びが掛かった

「ねえヤマト君」

「なんですか?猫なで声を出してもおばさんの頼みなんて興味ないですよ。僕ミーシャが居るので女には飢えて無いんですよ。おばさんはミーシャより魅力的なんでしょうかね?」

「ひどいじゃない」

「まあ冗談です。ミーシャの方が上だというのは本気ですがマスター嫌いじゃないですよ。僕がお子様だから相手にしてもらえないだろうなと坊やらしく拗ねてるだけですよ」

「ほら前私が頼めば助けてくれると言ってたでしょ?」

「あれですか、あの時ならねー今気分乗らないー」

「何よそれ」

「話はとりあえず聞きますから」

「そうポイポイ話せる話じゃ無いんだけどね。私の所の依頼でかなりの数王様からの依頼を私が仲介して処理しています。でも今度は直接王様の依頼を受けてくれない?」

「ほー僕は泣いて助けてと言えばと言ったんですけどね」

「良いから行きなさいギルマス命令です。口の聞き方には気をつけてね」

(そんなもの無いだろ…)


 行く気がしなかったのは本当。どーせつまらんのだろうなと思ってたから。ただそれでも僕以外には言えそうに無い命令と言うのが気に入った。あの人何か他のメンバーには余裕ぶってるなと直感的に感じていた。命令と言う言葉に本音が駄々漏れていた。

「メリッサの代理と言うのはお主か?」


 謁見の間に僕は来ていた。


「はい、そうです」

(代理ってなんだ?)


 とにかく質問、反論を出来る限りし無いように受け答えの言葉を少なくする様に気をつけていた。多分マスターの言うのはそういう事だろう。実際いつでも気分が悪くなったら殺せる気持もあった。僕ほど暗殺にむいてる冒険者は居なかった。と言うか暗殺じゃないか。ここに一瞬でモンスターを呼び出して乱戦に持ち込む事が出来た。魔法使いだって似たようなものじゃないか?そう簡単にはいかない警護の魔法使い戦士がわんさかいる。王様を殺すだけじゃ駄目だ。僕も生き残らなくては意味が無い。ただ僕はいつでも殺せるってこの状態だけが欲しかっただけだ。僕は召喚者を召喚するこの国のシステムが大嫌いだった。今の僕はちゅぶらりんだから良い。だが、向こうに帰りたかった人までも召喚してとにかくアビリティ持ちを戦力と欲しがるこの国の非人道的な行いが召喚される側として許せなかった。実際僕はそうじゃないからそこまでする気になれないけど。だから召喚者に殺される王様って状況は作り出したかった。リスクの方が大きかったらやらないからだ。召喚者ってのは何をしでかすか?分からないんだ。本人もどうやって使えば良いか?悩んでる僕みたいのも居るんだから。そういうリスクを舐めてるのが頭にきてた。


「ここから2日ばかり離れたトストコ村が魔物に占拠されておる。探らせたものによると規模が大きくて小規模な冒険者に頼めない事態になっておる。かと言って軍隊には遠い。そこでだメリッサに相談したらおぬしの名前を出し推薦してきた。引き受けてくれるか?」

「ハイ、今すぐ参ります。そして必ずや魔物殲滅の知らせを持ち帰ります」

「魔物の規模とか細かい情報もあるが聞いておくか?」

「いえ、トストコ村との話が合ったのでその程度の規模なら僕なら絶対に良い結果を出せると確信しています。早く王様の期待に応えたいため今すぐ出かけたいのですがよろしいでしょうか?」

「良しおぬしに頼もう」


 敢えて反論をした。それに対して絶対で相手の気持ちに添えたと思う。僕はスグに馬車を手配してもらい旅立った。久しぶりに僕は楽しんでいる。多分王様は失敗しても良いんだろう。すぐに軍隊を出す金を節約したのを分かった。メリッサに尻拭いをさせ軍隊によるお金を使わないつもりだ。でも根本の論理がズレテル。メリッサは最初から僕なら出来ると思ってるからだ。なるほど遠い事が原因か。こうやって冒険者は使われてるんだな。2日の距離軍隊の行軍ともなればそれ以上必要となる。たった一人でそれをやってのけるのか。


 全く戦闘に楽しみなんて無かった。馬鹿にしてる僕を見返してやるのは面白いと思った。今になるとメリッサの代理の意味が分かる。おそらく王様はメリッサを呼んだんだな。それで代理をよこすほどメリッサは馬鹿じゃない。直接僕が行くから意味がある。王様にはそれが多分分からないのだろう。僕は人間を殺したことは無いが、おそらくモンスター図鑑には入らないだろう。僕はモンスターなら多分史上最強の召喚者だと思う。だが同じ規模の軍隊なら全く相手にならない。単純な数の論理じゃないのを見せてやるか。

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