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ミーシャ

 僕は二人に話をしていた。

「スラリンには前聞いたけど僕に殺された記憶ってあんまり無いんだよね?」

「悪趣味だなヤマト」

「不安なんだよ。ミーシャはどうなの?」


 実はミーシャって名前モニカをもじってつけた名前…。他のワーウルフはミーシャ2号さんたちになってもらった。どーせ彼女達を僕が直接指揮する事は無いので不都合が無いから良いけど。僕は彼女を手に入れたことでモニカ欲しいって気持ちはもう無くなっていた。でもどうしても困った事を抱えていた。それを聞いていた。


「ありますよ?」

「あるのーーーー、何故僕にそんな二人とも自然に接してくれるの?」

「僕とミーシャは違うよ。根本的に僕はスライムじゃない。スライムに人間的なコミュニュケーションが取れるのかい?僕は前と話してる事と変わらないよ」

「じゃスラリンの意見は役に立たないとして、ミーシャはどうなの?」

スラリンは(何気に酷いこと言われたような…)と心の中でつぶやいていた。


「神に帰依するために命をささげた?」

「やめてよミーシャそれより罪悪感あるよー」

「いやこれは言わせて貰うよ。僕はちょっと違うけど、知性スライムとして創造してもらった事について僕は一応ヤマトに創造主としての敬意は持ってるつもりだよ」

「そうそう」

「いやいやスラリンはそうでもミーシャは元々賢いし違うでしょ」

「だから、神への帰依なんですよ。今までそれを知らなかったのに教えてくれたって話です」

スラリンは(それは僕とちょっと違うけどね)と思っていた。

「ミーシャと僕は完全には一致し無いけど、僕らは殺されて道具にされたと思ってない。ヤマトは僕らを作った生みの親だよ。元の原型がヤマトに殺されてベースになったとしてもね。理解と感情は違うんだよ。僕も理性的には君のやってる事は神様への服従を誓わせるマッチポンプだと思う。でも感情的には違うんだよね」

「私はマッチポンプとすら思わないですけどね」


 僕が何故スラリンとミーシャを分けてるのか分かってきた。スラリンもミーシャと同じようなもの持ってるんだな。スラリン自身の付与能力が知性だったから随分ありようが違うんだな。ミーシャと話してると僕駄目になりそう…。


 僕はマスターと話していた。好き勝手愚痴を言える相手を僕は好んでいた。スラリンじゃ最後に受け入れてくれるし、ミーシャは話しにならなかった。


「マスター僕はモンスターたちの僕への忠誠に困っています」

「何故私にそれを?」

「このギルド皆変です。マスターへの愛情と言うか忠誠心が僕のモンスターと変わらないです」

「ヤマト君は違うの?」

「ええ僕は違いますね。ドラゴンを手に入れて、知性タイプの人狼を手に入れたらモンスター使いとしての目標を失ってしまったんですよ。依頼はこなしてますが、マスターの言う幸せが僕には分かりません。だから僕はマスターに感謝しきれない」

「人は贅沢だよね。ヤマト君楽しんでいたよね?」

「ええそれは誤魔化しません本当の事です」

「あっちの世界でもそれだけの楽しみあった?」

「無かったですね。それでもそれは結果論ですね。僕はマスターを非難する事で自分のやってる事の罪悪感のようなものを八つ当たりしています。それを認めてしまえば僕らは彼らの愛情と言うか忠誠を当たり前だと受け入れることになります。それが嫌です。どこか気持悪いと思っています。結果ではなく事前にマスターは僕に確認を取るべきでした。僕も殺してしまって後から強引にそれは良い事だったんだとモンスターたちに納得させています。あまりに僕のやってる事はマスターと近い」

「でも私は殺しては無いよ?」

「酷いじゃないですか、僕一人にし無いでくださいよ…」

「だってヤマト君殺してなかったらそこまで思い悩まないと思うんだよね」

「突き離されてしまいましたね」


「私も何も考えないわけじゃないからね。ただちょっと違うんじゃない?って話を勝手に巻き込まされるのは勘弁だよ」

「じゃ僕が思い悩む原因は召喚したマスターにあるはどうです?」

「無茶苦茶だよヤマト君」

「無茶苦茶じゃないのですが、そこまで疲れてるわけじゃないのは話しておきたいです。僕から言うのは酷いのは認めますが、マスターがそれ無関係と突き放すのは駄目ですよ。ただね僕は本当はねそんな事は些細な事なんですよ。これから何して良いか?分からないんですよ。だからマスターが言う幸せってなんだろうな?と考えてみただけです。マスター僕これから何すれば良いですか?何すれば幸せを感じますか?」

「ヤマト君疲れてるね」

「ええまあ一生懸命走ってきましたからね。僕そういった無我夢中のときはマスターに感謝してたんですよ。決定打はミーシャでしょうね。モンスターを手に入れることを目的にしちゃ駄目なんですよね。あくまで討伐のついでじゃないと。捨てられる命を救って再生するのが僕の力だとも思います。ただそんなの理想論ですよ。その結果が今です。新しい強いモンスターを手に入れるたびにあんなに楽しかったのに。それを失ってしまったら僕はこの世界で何をすれば良いのか…」

「突き放してしまったけど、私と近い部分も確かにあるね。私も召喚士のあり方に疑問を持ってギルドをやってるから。誰しもが私の様に前の世界に未練が無い人を召喚出来る人ばかりじゃないのよ。アビリティの付与を目的とした優秀な召喚者は呼び出す側の道具なのよね」

「じゃそこまで分かってて何故?」

「私には特別な能力があるじゃない?それを使って本当に召喚は酷いことなのか?を試したかったのがある。自分に特別な力があったらそれを試したくならない?」

「初めてマスターの本音が聞けた気がしますね。ただ僕具体的に何をすれば良いですかね。欲深いですが、もっと力を生かせる形で使いたくなってきました。依頼ってのが何か違う気がするんですよね」

「ギルドには居ても良いし、依頼こなして仕事もこなして欲しい。ただもっといろいろ見て回ったほうが良いとおもう。自分探しの旅にでも出る?」

「何故そんな地球に詳しいのですか…」

「皆に聞いてるからね」

「マスターも行きます?」

「だから私はギルドの運営満足してるから…、相談には乗ってあげるし何か助けられるかもしれないからいつでも話して欲しい。ただやっぱり最後は自分の事だよ。それだけは私に押し付けないで。突き放すけどあっちの世界でも多分ヤマト君は同じだよ。なんとなくこっちにヤマト君が来た理由が分かってきた。こういう人も召喚してしまうんだと私にとって良い経験になったよ」


 僕は依頼を受けつつ頻度を減らしてあっちこっち旅をする事にした。

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