ギルドメンバー
手始めに大型のモンスタートロルからだ。これはあっけなかった。決死兵の存在が戦い方を柔軟にした。ただ死ななかった。死んでも良いって使い方をしただけなので。トロルゲットだ。効果を見る作業が一番好きだ。桁違いの壁とパワー。後少し細身で敏捷性が上がってる気がする。これこそまさにモンスターと言う感じだ。
しかし当初の計画にあった魔法力強化に繋がらない。そこで次のターゲットを魔法量が高いと言われるキメラにターゲットを絞った。これには手を焼いた。遠距離攻撃怖い。何より僕が前衛無視で狙われると言う怖さ。ただ、ここでついに捨石作戦を取った。重要なメンバー以外回復せずに特に僕を重点的に回復して僕も前衛に出て速攻を狙った。それと言うのも遠距離で壁があまり役に立たないのがきつかった。トロルの成果を見たかったのに不向きな相手だった。ゴブリン一人の犠牲でなんとか倒した。僕は冷たくなったと言うわけじゃないと思うが。今は後から競争に勝ち残る強兵はいるのかな?と感心が別の所に向いていた。
グリフォン、ワイバーン、ペガサス、ユニコーン。僕は騎乗可能と呼ばれるモンスターに目をつけていた。僕のための馬が欲しかった。僕はとありえずグリフォンを手に入れた。ただこれてこづった。それを飛ぶから。ただギルドの書物から空を飛ぶのは知っていたため武器と魔法部隊で固めていた。魔法力が高いと言われるキメラを手に入れていたのは大きかった。
モンスターのレベルが上がってくると、クリエイトによる付加価値が小さくなってきた。確かに元に較べるとハイスペックになっている。だが個性的というような付加がなくなってきた。まるで低位のモンスターの方が付加される能力が多いといわんばかりに。結果だけ見るとそうだろう。それにがっかりしたわけじゃないが、僕らは路線を変更した。
「スラリンドラゴン狩りを当面の目標にしてすぐにはやめよう」
「何故?」
「ギルドのメンバーともうちょっと仲良くしたい。ドラゴンはギルドメンバーとパーティを組んで倒したい。おそらく決死兵を大量に投入すれば一人でも可能だろう。ただそれはちょっと決死のモンスターの使い方として間違ってると思う。正直勝ったとしてもそれは無駄死にだと思う」
「そうだねドラゴンは桁違うね」
僕は好きでソロ冒険者をやっていたわけじゃない。シンプルにレベルが以前は低かった。最初が酷かったでもそこから軌道に乗ってからは急成長をして今まで絶対に組めなかった人ともパーティーを組めるようなレベルに変化していた。質より量だが…。
以前マスターから聞いてたとおり一騎当千のツワモノほどパーティーを組みたがる。レベルが高くなるより、この世界に長く居ついた人ほどフレンドリーになっていく。ただそれでも彼らも一定の線引きがあって足手まといとは組まないって厳しさが合った。僕が進んでソロでリスクの高い依頼を数多く受けていた事が彼らの好感度を上げていた。長く居る人ほどギルマス大好きでギルド大好きだった。どうも洗脳臭いと思ってるのが、長く居るほどあちらの記憶が薄れていきこちらの世界への帰属意識が高まる。これがギルドへの忠誠心に転化していく。僕はその過程を良く知っていたから胡散臭く思っていた。最初からどうも気に入らないから。ただ僕もこの世界を楽しんでいたのは事実だった。
パーティーと言っても僕の様な大部隊じゃない。せいぜい2.3人に僕プラスだ。ただ相手の数が全く違った。ゴブリン軍団を複雑な多種多様なモンスター集団として置き換えたような協力な相手だった。これ一般人なら遭遇しただけで死ぬと思う。彼らこそ本当のギルドの貢献者だった。後の人間は成長のための糧ともいえる様な依頼が多かった。国家の軍隊が動いて殲滅するレベルのモンスター災害と向き合っていた。ただ何事にもお金は居る。そういった部隊を動かすとかなりの出費になる。だから冒険者ギルドの存在価値があった。一騎当千の少数パーティーによる殲滅部隊。これが可能だった。彼らが国に属すれば良いけど、特に僕らのギルドはギルマスへの忠誠心で成り立ってるようなギルドでそんなものありえない。何せ皆この国の国民じゃないんだから。待遇の良い国家の軍隊への移籍や他のギルドへの移転なんてのは当たり前にあった。僕らのギルドの方がむしろ異色だった。引退死亡以外僕らのギルドに召喚者による欠員は無い。ただ僕らのギルドにもノーマルな人達はそれなりにいる。ただこのギルドの特殊性をノーマルな人達も多少はひきづっててここから出て行く人はあまり居なかった。
ただ少数でもいたのは確か、その理由を今回知る事になる。アビリティ持ちは卑怯なぐらい強い。僕は使いにくいから最初から躓いて随分回り道しました。でもアビリティもちは普通はその能力をすぐに開花させてトップレベルに上り詰めていく。最終的にはどんなアビリティを持ってるか?で決まるぐらい成長ってやつの余地が無い卑怯な能力なんです。




