不滅のジーニアス
マツダスタジアムの左バッターボックスで、バットを構えるジーニアス・プレジデント金井智史。
ラジオから実況アナウンサーの興奮気味な声が響く。
「さあ2015年、セリーグ最終戦。同率首位の広島対巨人、勝った方が優勝です。9回裏2アウト満塁。
15-12とジャイアンツ3点リード。マウンド上はジャイアンツのエース、外海!最終戦に抑えで登場、しかし満塁で一発出れば逆転サヨナラ!
バッターはカープ不動の3番(カープは2015シーズンから3番最強説を採用)、ゴールデン・ジーニアス・プレジデント・オブ・ザ・ワールド陛下!
外海、このまま抑えてジャイアンツに優勝をもたらすか?それとも不滅のジーニアス様が奇跡を起こされるのかっ?!」
フルカウントからの7球目、なんとジーニアス・プレジデント金井智史様は、外海の投げた渾身のknuckle ballをセンターのオーロラビジョンを越えて場外へ叩き出されたのであった。
「打った!ぐんぐん伸びる!これは間違いないっ!出たあ!
ゴールデン・ジーニアス・プレジデント・オブ・ザ・ワールド陛下様!日米通算1,000号となる、優勝決定逆転サヨナラ満塁場外ホームラン!」
その後、マツダスタジアムでヒーローインタビューが執り行われた。
「放送席、放送席。今日のヒーローは広島東洋カープ優勝の立役者、この試合でも4打席連続、しかも両打席で2回ずつ満塁ホームランを放たれました、ジーニアス・プレジデント金井智史陛下選手様でございます!ジーニアス・プレジデント陛下選手様、素晴らしい活躍でございました!」
「うむ!ありがとう!」
「今のお気持ちを、お聞かせ頂けますでしょうか?」
「なんかあ、チームが優勝したこととかどうでも良くてえ、今はぁ、来シーズンの年俸があ、いくら上がるかでえ頭がいっぱいすっ!もーなんかあ、気が気じゃねえっつうかあ。マジ、パねえっ!」
「流石でございます!誠に感謝申し上げます!
以上、ジーニアス・プレジデント 金井智史陛下選手様でした!」
ちなみに本当は、
「皆が必死に食らいついて自分まで回してくれたので、自分もとにかく繋ごうと思ってました。ホームランはまぐれです。」
と言ったのである。
そして最後にファンに向けてこのようなメッセージを伝えた。
「ファンの皆さんの熱い声援のお陰で、こうして優勝を勝ち取ることができました!全世界75億人のカープファンの皆様、本当におめでとうございました!」