プリの習慣
プリーストで、ボスソロをやっているのをみつかってしまい、知らないところで噂は噂をよんでいた。所詮はゲームでの話と割り切り日夜、素材集めなどしながらゲームを楽しんでいたが・・・
いつもの時間いつもの場所。
西の城塞テンノサンの1Fから3Fから、一斉にフロアボスが湧き出す。
そっと、オブジェクトバグを利用して、本来通り抜けることのできないカベの中を抜け、
フロアからフロアへ。
本来の出現場所とは違うので、ほかのプレイヤーからは見とがめられることもなく、
こっそりとボス部屋をまわり、無駄な動きを抑えながら、ボスドロにほくほくしていた。
そしてそれが偶然だった。
だがしかし、結果的には、ボス狩りPTの横をしたことになる。
先にボスを狩ってるPTがあったのだ。
「しまった!」とおもって気づいた時には…
つまり、壁からでてきたクロコにボスが反応、攻撃対処したのも、
LAだったらしく、ボスドロはクロコのかばんに収納。
そのまま、こっそり立ち去ればよかったのが、死亡者がいたため、蘇生魔法をかけてしまった。
その時は、感謝されこそすれ、3日日後同じボス部屋にて鉢合わせたPTの一人に
「ボスドロをわたせ」といわれた。しかも、ボスドロ特有のレアアイテムだという。
私もよく確認しなかったし、SSもとっていない。だからあの時、レアがでたまではちゃんと覚えていなかったし、
レアがでたとしても、プリにはあんまり関係のないものだったとおもうので、普通に店売りしてしまった。
その時は、同じようなもので何とか相手も納得したとおもっていたが・・・
そんなことが、何回かつづくと、変な噂もたてられ、一方的にクロコがボス狩り中にPKして、
そのすきにボスを倒してアイテムだけひろっていったとか、どんどん悪い方向に噂というのは広がっていき。
もともと、孤立していたクロコは、当時はいっていたギルドもぬけ、今は、どこにも所属せずにいた。
なので、擁護してくれるものもおらず、自然、その城塞には近寄らなくなっていったものの。
ステータスをあげるアクセサリーや武具を作るにはそこのモンスターを倒すのが効率がよくのも事実。
悩んだ挙句、なんとか人気のない時間をさぐっては、ソロで狩をしていた。
しばらくたってもわだかまりは解けずに、人がいなさそうな時間帯、地域にいっては採取やボス狩りに専念した。
クエストの報告もあるので、街には帰らないといけないので、その度に横したひどいヤツとチャットを流された。
それも、1か月もすぎれば、相手の無反応に向こうが愛想をつかし、新クエストイベントもはじまって、
クロコにかまっているヒマもなくなったらしい。野良でPTマッチングに乗せても、ほとんど誘われないので
出していなかったし、クエを消化さえすれば経験ははいる。急にLvが上がったとしても、
装備が追い付かないのも現状の悩みどころ。
金策はもっぱら、防具&アクセ制作。露店の名前をころころ変えていたので、クロコだと気づかれていないのか、
それらは価格も相場なので、飛ぶようにうれていく。防具に宝石を埋め込んで、基本を底上げしたものに、
宝石ステがそのままつくという、ちょっと珍しい防具職人であった。
なかなか成功しないのと素材集めがやたらと面倒な上に、各アクセ、防具の設計図がボスドロしかないというマゾさで、
制作を手掛けるものの、素材集めしかしないもの、ある程度、制作LVがあがってしまうとやめてしまうことも多い。
そんな中で、ある程度、レアな制作ものは、珍重されつつ、それなりの価格で需要もあるのだった。
モンスターだけ狩って、金策ができるわけではない、支援型職業についている、クロコにとっては、
いい金策であり、あちこちウロウロできるし、ダンジョンやフィールドのバグをみつけるのも苦にならなかった。
そのおかげか、バグを利用してあちこちを時間短縮して移動できるようになったし、
ボスの攻撃範囲外からボス狩りポイントから攻撃できるというチートもできるようになった。
それにより、プリーストだけれど、効率よく移動そして、素材集めが可能になった。
防具や武器もある程度自作で賄えるころには同じLv帯よりも、防御も攻撃力も格段に上で、
無理さえしなければ、十分ボス狩りもソロでできる。
それも、ある人物に目をつけられる前までは、こんな地域までやってこなくてよかったのだけれど。
噂はまだ、おさまっていなかったらしく、「放課後保健室」というギルドのアサシンにハイドでつけられていたのだ。
PKされることはなかったものの、壁からでてきたクロコと鉢合わせ。
じろじろみられた挙句ににやりと笑われ
「お前、あのプリか?」
黒髪に黒装束に黒マスク。忍者っぽい衣装のアサシン「煌狼」はいう。
硬直したまま動けないクロコにそっと近寄り。人目のつかない奥まった場所においやられた。
「ぼ、ボスドロでしたら、レアはなかったです。」とあせって答えたものの。
彼の関心はそこではなかったらしいし、よく考えればLv90を超えているのに40くらいのボスドロなんて
特に関心がないはずなのは、後に冷静になって考えればわかったことだったが、
いかんせん焦りまくっていたクロコには
それをいうので精いっぱいで、プリがソロでボス狩りしていたところまでは見られていなかったにもかかわらず、
それを自分で暴露してしまったのだ。
怪訝に思われたのも、墓穴を自分で掘った結果だったのだが、アサシンは目を細めただけで、
それきりジロジロみるばかりで、何もいわなかった。そして、そのまま、風が吹いたかとおもうと
アサシンは消えていた。
そんなことがあってから、ハイド検知薬が常備となったが、これも相手がそこそこLvがあがってしまうと
検知できなくなる。いまも、こっそり見張られてるのかな?とおもうと、ゾッとしないまでもない。
しばらくは、別の地域で狩りを余儀なくされた。また、新しいイベントが始まると関心はそちらばかりにいくだろうし。
素材集めで、アイテム譲渡ができればまた、露店である程度収入も見込める。
いまの、夏のイベント【サマーキャンペーン!水着コスをてにいれよう!】がはじまってから、素材あつめに
森林地帯を高Lvのプレイヤーがうろつくようになった。
ギルドの低Lv層をまもりつつ、指導とまわりを警戒。
ギルドにはいると教育係は自分のLvあげとかボス狩りとか自由にはなかなかできなくなるもんである。
今も目の前で、Lv20くらいの草系モンスター希少種だけど、すぐにリポップして経験値はおいしい、そのかわり
ドロップアイテムは初級の回復薬とかなので、Lvあげにはもってこい。
それを3人の低LvがかこんでHPが右に左にいったりきたりしつつ、
果敢に攻撃している。
そのそばでひとり、高Lvで指導役が希少種の攻撃をうけつつ、攻撃が低Lvにいかないように
まもっている。会話はみえないけど、なんとなく楽しそうだ。きっと、ボイスチャットでは
大騒ぎなんだろうなぁ~そんな彼らを眩しそうに眼を細めてみやってると、
低Lvの一人のHPがあっという間にへってしまい、死にそうになっている。
おもわず、攻撃無効の魔法をかけてしまい、習慣でヒールもしてしまった。
おかげで、タゲがクロコにうつり、草系の希少種なのに猛然と走って攻撃してくる。
いまの装備は、紙だ!しかも、武器も移動剣!
何発目かわらないけど、LAをあててしまったのは確かだった。植物系のレアモンスターは、いっきにかれはて、しなびてしまった。
アイテムドロは・・・そっとインベントリを確認。初級回復薬20個がはいっていたが、
トレードは可能なので、とにかく近くにいた剣士の一人に、渡してそのまま、
転移石をつかって近くの転移先ににげた。青い光に包まれたとき、一瞬、黒い人影とともにアイテムを渡した剣士の驚愕と歓喜の混ざった顔がちらりと見えた気がした。
黒い人影は・・・?まさかとおもうけれど、つけられてないよね?そんな暇でもないだろうし、
とにかく採取がまだおわってないものもあるので、マップをひろげつつ移動することにした。




