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バルビレ  作者: 赤バケツ
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つらい恋も楽しい行事も面倒な人付き合いも、全部青春という名でくくったら良い思い出になるんです。

 中学を卒業し、高校入学を控えた春休みだったと思う。

 なんとも暇だな、とひとりごちて部屋の天井をぼーっと眺めていた。

 勉強はそこそこできるのに、普段の素行が悪いちさとは第一志望校を諦め平均的な学校に合格。新しい生活にそんなに期待を抱くわけでもなくただ暇なだけの春休みは、正直いってすごく退屈だった。

 ひたすら寝ているのもなにか罪悪感が刺激されて心苦しい。かといって友達と遊ぶ気分にもなれず、つれづれと時間をもて余す。

 ネットでもするか…。

 しばらくぶりにパソコンへ向かい、なんともなしに面白そうなサイトを辿っているうちに、昔よく利用していたサイトを見つけた。

 そのサイトはかわいらしいくまのようなアバターを自分の好きなようにデザインして、いろんな人と交流する、いわゆるSNSの一つだ。なんだか懐かしくなって、ちょっとログインしてみようかな、という気分になった。

 そのサイトは、たしかに昔とは少々デザインもかわっていたが、それでも面影はたっぷり残っていた。知らないひとと気軽に話ができ、ひまつぶしには最適かもなんて思いながら巡回。

 個人情報だのネットは危ないだのっていうけど、ただのおしゃべりで危ないもくそもない。わたしだって相手だって本当のことをいっている確証はないんだから。常に疑惑と共にする会話、それが正しいネットでのすれ違い。期待はずれが常の世界なのだ。

 しかしその日は、やたら会おうと言い出す27歳のおじさんや、エロイ話に持っていこうとする男子などもおらず比較的快適に巡回することができた。

 このサイトは中高生受けしそうなデザインのわりに同年代の人はわりと少ない。感覚的に言うと26、27歳くらいの男性が最も多く、あとは30過ぎのすごく年上の人達くらい。高校生、大学生くらいの人達はまずみかけない。だから、今日のちさとは、ものすごくラッキーだったのかもしれない。

 まず最初に出会ったのは、関西出身だというタメの女の子。ハンドルネームはオーロといった。受験の話、これからいく高校の話などでひとしきり盛り上がった辺りでもう一人、これまた関西出身の同い年。にゃぁふと名乗る彼女は中学の3年間吹奏楽部だったそうで、部活の話に花が咲いた。

 二人とも新生活を控えてはいるがちさとと同じように暇をもて余していたようで、女子特有のくだらない話ばかりだったがそれでも話題がつきることはなかった。

 最後に仲間に加わったのが、またまた大阪在住という新高1の男子、ガロンだった。ガロンはこのくらいの年の男子にしては落ち着いていて話も面白かった。得意科目の話、新生活への不安や期待、制服のはなし、趣味のはなし、とりとめのないことばかりだったがなぜかお互い高揚感を抱きながら延々と話続けた。

 その日四人は夜遅くまで友好を深め、また明日ここでということで解散した。

 たまたま同い年が四人も集まってしかもそのうち3人が関西だなんて偶然にもほどがあると疑う気持ちもあった。しかし誰かが嘘をついているなんて思い始めたらキリがないのだ。そして、なによりこの四人での会話は、鬱々と日々を過ごしていたちさとにとって、この上ないほど刺激的だった。

実話が元になってたりなってなかったり。

ネットでの出逢いだって良いじゃない!遠距離だって良いじゃない!若者は一生懸命恋したら良いんです。

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