名前
「奢りでいいんだよねー、ごちそーさまー」
「まだ時間あるか?」
「んー、私は明日も今日だから。なんで?…あ、***?」
「ち、違うわ!!何言ってんだよ!!」
それがありなら行きたいな。じゃなくて落ち着け俺。
「デザートいかが?」
「あーいすー♪」
「寒くねーの?3月だよ?」
そんな訳でファミレスに来た。
「ご注文をお伺いいたします。」
「じゃあ俺、バナナパフェ。風音ちゃんは?」
「マルゲリータピザとバニラアイス2つ」
おい
「かしこまりました」
かしこまるな。あぁ、行っちゃった
「あのー、風音さん?」
「んー?」「ピザってなんだよ。つーかさっきラーメン食ったよな?君はなんだ、ブラックホールか?」
「デザートはベツラバー♪」
「…別腹な。ってピザはデザートじゃねぇだろ!!金持ってんの?」
「えーっとね。120円あるよ。」
「僕が払うんでいいです」
小型液晶テレビ持ってんのに金は持ってないのか。あ、そういえばこの子は命の恩人か。金ぐらい俺が払うべきだな。
「そういえば、名前聞いてないよ」
「あぁ、俺、宮越ね」
「じゃあ賢次って呼ぶね」
ちょっと待て
「…何で俺の名前知ってんだよ?今名字しか名乗ってないぞ!?」
「お待たせ致しました。」
空気読めよ!!
「こちらマルゲリータピザとバナナパフェ、バニラアイス2つになります」
俺の前に置かれるマルゲリータピザ。バナナパフェは風音の前に置かれた。バニラアイスは1つずつ。
「ごゆっくりどうぞ」
お前さっきオーダー受けた店員だよな?とは言えず
「はいよ、ピザ、お前の」
風音はすでに俺のバナナパフェに手をつけていた。
「それ俺の」
「おいしいよ」
「うん、知ってる。毎回食べてるし。じゃあそれ俺に」
「代わりにピザあげる」
「いらねーよ!!」
「アイスもあげるよ」
「俺はバナナパフェが食いたいんだ」
「じゃあ仕方ないからあげる」
「おう、こっちに」
「はい、あーん」
「君は僕を辱しめたいのかい?」
こんな素敵な展開があるとは。恥ずかしいけど内心すごく嬉しい。
とか思ったけど口開ける前に押し付けられた。顔にクリームが。
「あのね、風音さん」
「******?」
「何言っちゃってんの!?」
「え?*********?」
もうダメだこの子。
まだってなんだよ。
「女の子がそういうことを言うのはどうかと思う。うん。」
いや、むしろ録音しときたいぐらいレアだけどさ
「ピザちょーだーい」
無視された。
「…ん」
ピザの皿を押しやる。
風音は口を開けてる。え、なにこれ。
「ちょーだい♪」
食べさせろと?




