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  作者: 外山
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一緒に


学園祭


昼時も過ぎた頃


桐島達の店はまあまあの売れ行きだった



ジュー ジュー ジュー



桐島は機械的に同じ作業を繰り返していた


「おい、、、いつまで俺が焼く係なんだよ」

桐島はキレ気味に3人に訊ねる

「いや~、やっと慣れてきたとこだからよ」

「麺の用意って大変なのよね」

「野菜の仕込みにも順序ってもんがあるからよ」

野波佳、北脇、外山はそれぞれ代わらない理由を述べた

「焦栄、てめーはゴミ出ししかしてねえだろ 麺は出来上がってるし野菜もひとまとめでセットになってるよな」

桐島は作業をしながらも3人を睨んだ

「なんだよ、俺らがサボってるみてえによ」

「ね?麺の袋を開けるのだって難しいのよ?切り口とかないんだから」

外山と北脇は桐島の方を見ながらコソコソ喋っていた

「、、、ちっ、くそ、、、」

桐島は観念したように前を向き、作業を続ける

(あっちぃな、、、やっぱ鉄板だしな)

額から流れそうになった汗を頭に巻いてあるタオルでぬぐい取る

(誰も焼くの代わりたがらねえし、、、歩も焼きそば食べた後徒仲とどっか行ったっきりだし、、、)

桐島はハァとため息をついた

(まあ徒仲と会うのも久しぶりなんだろうけど、、、俺だって歩と、、、)

そんな事を考えていると野波佳が肩を組んできた

「なーに考えてんだよ」

野波佳は桐島の思い煩う表情が気になった

「焦栄、、、なんだよ 暑苦しいな」

桐島が肩を振ると、野波佳は肩を離した

「渡部の事考えてんだろ?」

「っっ!?」

ズバリと言い当てられ、桐島はビクッと反応した

「一緒に学園祭まわりてえな~とか思ってたんじゃねえの?」

「う、うるせえな!思ってねえよ!」

桐島は、恋愛関係の事で野波佳と喋るのは妙に恥ずかしいようだ

「へへっ、素直じゃねえなぁ 相変わらず」

「、、、、、」

桐島は赤らめた顔を腕で拭きながら誤魔化していた

「俺は麻癒と学園祭まわりたかったけどなぁ~、去年も麻癒は殆ど渡部と一緒だったし、お前は休んでたし」

野波佳はつまらなさそうにため息をついた

「ふ~ん、、、」

桐島は去年のこの学園祭を覚えてないのであまりしっくりこなかった

「あ、そうだ 前から一回してみたい事あったんだけど」

野波佳は楽しそうに桐島に言う

「なんだよ?」

「その内機会があったらよ、Wデートしねえ?俺は麻癒 お前は渡部連れて」

「却下」

桐島は即座に野波佳の意見を切った

「な、なんでだよ!いいだろ!?」

「いいわきゃねーだろ!二度と口に出すなよそれ!」

間違っても実現しないよう、桐島は釘を差した






その後も順調に焼きそばは売れて行き


時刻は14時半


出店の終了は17時


あと2時間半もあればじゅうぶんに売り切れそうなペースだった


ちなみに例の綿菓子が配り始められる時間は出店の終了と同時刻の17時である





横で会計や受け渡しの作業を行っている外山の手から焼きそばが一つ売れる度に、桐島は顔を上げた

「、、、あ、ありがとうございまーす、、、」

(くっそ、、、いい加減暑過ぎるぞ、、、)

桐島は鉄板で焼く作業をしながらも、客からすれば一番見える顔なので愛想よく振る舞わなければならなかった

「おい、、、マジでそろそろ代わってくれよ、、、汗もやべえしよ」

桐島は頭に巻いているタオルで顔や額の汗を拭う

「仕方ないわね、、、ほら、横にコップに入って置いてあるお茶飲みなさいよ」

「そういう問題じゃねえよ! つか飲んでるし!」

桐島と北脇のそんな会話を聞き、外山はため息をついた

「ギャーギャーうるせえ奴だなお前は 分かったよ 俺が代わってやる」

外山は面倒そうに片手をちょこんと上げながら言った

「え、、、マジで、、、?」

桐島は派手に喜ぶ体力は無く、心の中でだけガッツポーズした

「ああ、今焼いてる分終わったらな」

「よ、よし、、、」

これが最後だと思うとコテを扱う手にも力が入った

「、、、あれ?そういや焦栄は?」

桐島はキョロキョロと周りを見渡すが野波佳の姿は見当たらない

「ゴミ出しに行ったけど、、、そういえば遅いわね」

北脇は顎に手を添えながら、何分前から野波佳がいないか考えていた

「あ、渡部」

外山は人ごみを指しながら言った

「えっ!?」

桐島はすぐに外山の視線の先を追った

「ん?渡部1人だな」

外山は目を凝らし、周りに徒仲の姿がないか見渡した


渡部は桐島達の店の前へやってきた

「どお?焼きそば売れてる?」

渡部は鉄板を覗き込みながら桐島に訊ねた

「いや、、、まあまあ売れてるけどそれよりお前、どうしたんだよ?」

「え?」

「徒仲は?なんで1人なんだよ?」

桐島は改めて周りを見るがやはり徒仲はいない

「さっきね なんかたまたま野波佳君に会ったの」

「しょ、焦栄に?」

「うん それで2人でどっか行っちゃった」

渡部はアハハと笑いながら話した

「、、、、、」

「、、、誠哉君?」

急に下を向いて黙り込む桐島に、渡部は心配そうに声をかける

「あの野郎、、、自分だけ好き勝手やりやがって、、、」

桐島は口の中で言葉を噛み殺しながら呟いた

渡部はその様子を気にしながらも更に続けた

「それでね、麻癒が野波佳君と行く時に、、、」




『いつまでも私ばっかり歩ちゃん独占してちゃ悪いからさ!誠哉君と学園祭、思いっ切り楽しんで来てよ!』




「、、、って言ってたんだけど、、、どうかな?」

渡部は甘えるような上目遣いで桐島を見る

「う、、、わ、わりぃな、俺も行きてえのは山々なんだけどよ、、、」

桐島は言いにくそうに言葉を濁す

「焦栄もいなくなっちまったし、もう1人減ったら回らねえんだよこの店、、、」


渡部と一緒にいたいという思いは何より強いのに、それを言葉に出来ない事が悔しかった

「、、、そっか、、、」

「、、、、、」

渡部の残念そうな顔が、更に桐島の胸に刺さった


「じゃあ、、、私も一緒にやっていい?」

「え、、、?」

渡部はそう言うと、店前からテントの中に入り桐島と並んだ

「誠哉君、1人で炒めたり大変みたいだし」

渡部は腕をまくり、やる気満々だ

「マジで!?チョー助かるよ!人手は多けりゃ多い程良いしな!」

「あんたはサボりたいだけでしょ?」

北脇の言葉を聞き流し、外山は嬉しそうに渡部に会計役を代わってもらった

「歩さん いいの?」

「うん!みんなが良ければ!」

「私としてはありがたいわね」

北脇は頷きながら容認した

「まあじゃあ、、、やるか?」

桐島は照れくさそうに頬を引っかきながら言った

「、、、うん!」

渡部はそんな桐島の顔を楽しそうに見ながら返事をした



「、、、おい桐島ぁ、まだお前が焼くのか?」

外山は、桐島の足元を見たようにニヤニヤしながら訊ねる

「、、、なんか悪いか?」

「いや、ぜーんぜん♪」







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