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  作者: 外山
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同じ空



ある日の夜


桐島と渡部はいつものように電話で話していた

桐島はつい先日の、九頭と北脇の事を渡部に話した


「、、、って感じでよ 最後、俺と徒仲が見つかりゃなけりゃ上手くいってたかもな」

「へぇ~、、、そんな事あったんだ、、、」

桐島の話を渡部は感心した様に聞いていた

「みんな相変わらずそうだね、、、」

そう言った渡部の声は、妙に元気がないように感じられる

「、、、大丈夫か?」

「え、、、?」

「いや最近ずっとなんか、、、疲れてるっつうか、元気ねえみたいだけど、、、」

桐島はここ最近の渡部の様子を思い出し、心配そうに訊ねた

「、、、そ、そう?全然普通だけど、、、」

「、、、そうか?」

桐島は渡部が少し無理をしているような気がした

「、、、ま、いっか、歩の方はなんかあったか?」

「、、、、、」

桐島の問いに渡部は何も答えない

「、、、歩、、、?」

「あっ、、、ご、ごめん なんだっけ?」

渡部はハッと気づいたように声を出した

「、、、本当に大丈夫か?なんかあったのかよ?」

「う、うん、、、大丈夫だけど、、、」

「、、、話ぐらいなら聞くぞ?」

「、、、うん」

渡部はゆっくりと頷きながら答えた

「、、、ごめん、今日はこれぐらいにしよっか?」

「え?」

「ちょっと疲れてるみたいだから、、、」

「、、、そうか じゃあ、おやすみ」

「うん、おやすみなさい、、、」



ピッ



「、、、、、」

桐島は携帯電話を閉じ、寝転がった

「なんか最近、様子がおかしいな、、、大丈夫か?あいつ、、、」

(もしかして、、、また家族でなんかあったのか、、、?)

桐島は色々と考えを巡らせるが全く分からなかった

はぁ、とため息をつき、寝返りをうつ

「、、、困ってんなら、、、相談ぐらいしろよな、、、」

桐島はいじけたように呟きながら、就寝準備を始めた








翌日


桐島は休み時間に、何気なく外山にその話をしていた


「、、、っていう感じでよ、なんかおかしいんだよ アイツ、、、」

「ふむふむ、、、そうかそうか、、、」

外山は頷きながら困っている桐島の話を聞いていた

「そういやちょっと前も、忙しいからっつって電話に出なかったんだよ、、、」

「ふ~む、、、」

「どうなんだろうな、、、どう思う外山?」

そう訊くと、外山はグッと桐島の目の前に顔を寄せた


「知らねえ」


外山は自分が思いつく限りのムカつく顔をした

「え、、、」

「知る訳ねえだろンナ事よ、、、俺の貴重な時間を邪魔すんじゃねえ」

外山はパソコンをいじりながら桐島を邪険に扱う

「べ、別にいいじゃねえか ネットとかいつでも出来るだろ?」


バンッ!!


桐島のその言葉を聞き、外山は机を叩いた

「てめえに、、、俺が一番嫌いな奴の条件を教えてやる」

「え、、、な、なんだよ」

桐島は外山のただならぬ空気を感じていた

「それはな、、、パソコン=ネットだと思ってる奴と!!○○なんていつでも出来るって言う奴と!!モテるor彼女がいる奴だ!!」

「う、、、」

外山のあまりの剣幕に桐島は声も出なかった

「桐島、、、お前は今全ての条件を満たしたよ、、、」

外山はフッと笑い、パソコンと向き合い始めた

「そ、そりゃ悪かったけどよ、、、」

「だからそもそも渡部の話なんか聞きたかねえんだよ!つうかなんで俺なんだよ!一番モテねえのによ!!」

桐島の言葉を遮り、外山は自虐しだした

「いや、、、九頭に聞いても意味ねえし、、、焦栄に聞くのはなんか恥ずかしいしよ、、、」

桐島は下を向き、指をいじりながら呟く

「、、、ったく、普段はどっしり構えてるくせに、、、意外と女々しい野郎だな、、、」

外山はため息をつき、バカにしたように言った

「、、、そりゃまあ遠距離だからよ、、、何かと不安だし、、、」

「女の事になるとガラスのハートだなお前は」

「、、、、、」

桐島は外山のその言葉に何も言い返せなかった


「それでなんだよ?どうしたいんだよ?」

これ以上邪魔をされるぐらいなら相談に乗った方が早いと判断した外山は、面倒そうにだが桐島に訊いてみた

「どうしたいっつうか、、、どうしたらいいと思う?」

「、、、、、はぁ」

渡部の事になると弱気な桐島に、外山は呆れてため息をついた

「じゃあ、あれだ、、、会え 会って話せ」

外山は投げやりに言い捨てた

「あ、会うったって、、、埼玉と名古屋はやっぱ遠いし、、、」

「アー!そうだ」

外山は唐突に声を上げた

「なっ、なんだよ!」

いきなりでかい声を出され桐島はのけぞった

「学園祭呼べよ」

「え?」

「ゴールデンウイークにあるだろ学園祭 俺とお前が実行係の」

「あ、、、」

桐島は学園祭の事をすっかり忘れていた

「なんか徒仲が言ってたろ?学園祭の最後の方に、校庭の真ん中で綿菓子が配られる、みてえな、、、」

「ああ、確か、、、」

桐島は以前の徒仲の言葉を思い出した




『学園祭の終盤に、校庭の真ん中で綿菓子を配り始めるでしょ?』

『その綿菓子を貰って、告白したら絶対付き合える!みたいな?そのカップルは別れないっていう話!』




「って、感じだったよな、、、」

桐島は内容をかいつまんで記憶していた

「だな ゴールデンウイークだから普通の学校も休みだろうし、久しぶりに渡部に帰ってきてもらえばいいじゃねえか」

「、、、あ、ああ、、、」

桐島は落ち着かない表情で頷く

(歩に、、、会える、、、?)

急に現れたチャンスに桐島の鼓動は激しく高鳴る


「でもまあ、、、それも断られたら終わりだな」

外山は最後に軽く一言言い残した

「、、、、、」

桐島はガッと外山の肩を掴んだ

「な、なんて言ったら良いか分かるか?どうやったら断られねえと思う?」

「知らねえよ!そんぐらいてめえで考えろ!」









その日の夜


桐島は自宅で、いつものように渡部と電話をしていた

何気ない会話をしながら学園祭の事を言うタイミングを見計らっていた


「、、、にしても、今日は良い天気だったなぁ」

桐島は窓を開け、夜空を見上げた

「え?そうなんだ、、、」

渡部も桐島と同じようにカーテンと窓を開いた

「ん?」

「こっちは雨だったから、、、今は晴れてるみたいだけど」

渡部は窓のふちに肘をつき、夜空を見上げながら言った

「そうか、、、そりゃそうだよな、、、」

「、、、、、」

渡部はじっと夜空を見た

「、、、誠哉君」

「、、、ん?」

「空さ、、、見てる?」

「え?ああ、今見てるけど、、、」

「、、、星、見える?」

「星、、、?ん~、まあまあだな」

「、、、そっか」

そう呟きながら渡部が見上げた夜空は、地上からの光やチリが淀み、星は殆ど見えなかった

「、、、?どうした?」

「ううん、、、なんでもないよ」

渡部はいつもの明るい声で言った

「じゃあ、、、そろそろ切るね」

「あ、、、ちょ、ちょっと待て」

桐島は慌てて渡部を呼び止める

「え?」

「あ、あのさ、、、もう少しでゴールデンウイークだろ?」

「うん そうだね」

「ゴールデンウイークにさ、、、学園祭あるんだよ ウチの高校で」

「あ、、、そういえばそうだね 誠哉君と外山君が担当の」

「ああ、だから学園祭、、、来ねえか?」

「え、、、?」

渡部はキョトンとした声を出した

「い、いやあの、ゴールデンウイークだし、、、歩も学校休みだろ?」

「う、うん、、、」

「じゃあ良いじゃねえか せっかくだし、みんなも会いたがってるし、、、」

「、、、、、う~ん」

渡部は考え込むようにうなった

「、、、つうか、俺が会いてえし、、、」

「、、、、、」

電話越しから渡部の声は聞こえない


「、、、うん 行く」

渡部はふと呟くように答えた

「え、、、く、来るか?」

「うん、、、私も会いたいから、、、誠哉君に」

「、、、そ、そうか!?」

(良かった~、、、聞き返されたり変な間があったからめっちゃくちゃ緊張した、、、)

桐島はホッと胸をなで下ろした

「じゃあ時間とか、細かい事はまた教えて」

「お、おう、じゃあな」



プツッ



「、、、、、」

桐島は携帯を閉じ、窓に干されるようにもたれた

「はぁ~、外山のおかげだ、、、」

桐島は思いっきり力を抜き、吐き出すように呟いた

「つか、、、歩、埼玉に来るんだよな、、、」

(マジで会えるのか、、、歩に、、、)

桐島は夜空の星達を眺めた

「あいつも、、、同じ空見てんだよな、、、」

(だったら、、、遠距離ぐらい、大した事ねえな)

桐島は先ほどまでのうじうじした気分はすっかり晴れ、清々しい気分だった







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