試着
参加するメンバーを集め、担当の教師を決めた日の翌日
「おい桐島」
外山は小声で桐島を呼ぶ
「ん?」
「まだ文化祭でやる事決まってねえんだろ?ならこんなのどうよ?」
外山はパソコンの画面を桐島に見せる
「、、、良いなこれ、、、ある種ありきたりだけどな」
「結構良いだろ?瞬さん達がやるっていうから考えて選んだんだよ」
「マジで良いかもな、、、他校からの生徒も来るだろうし」
「俺の知り合いんとこ頼めば2、3日で用意してくれると思うぜ?」
「そうだな、、、ちょっと嫌がる奴いそうだけど徒仲と安川さんを上手く乗せれば、、、」
桐島は色々と頭で計算した結果、外山の案に従う事にした
数日後 文化祭まであと一週間となった
放課後に桐島達は渡り廊下全員集まっていた
「まだやる事決まってないの?」
「どうなんだろうね」
北脇と徒仲は不安そうにしていた
「こんにちは、今日は全員集まっていただきありがとう」
桐島はみんなをあらかじめ用意していたイスに座らせた
「あまりに時間が無いので、何をやるかは俺と助手の外山で決めさせてもらった」
桐島はわざとらしい口調でそういうと外山を前に出した
「え~、今回我々が文化祭で行うプロジェクトは、、、、、」
外山は息を吸い込み、間をあけた
「メイド喫茶じゃ~~!!」
外山は近くの壁を思い切り叩いた
「はぁ!なによそれ!」
北脇はすかさず反対する
「私もあんまりなぁ~」
瞬もイマイチ乗り気ではなかった
(くっ、、、いやだがここまでは想定内だ)
桐島は2人の反対にたじろいだ
「へぇ~!面白そうじゃない!」
「うんうん!私もやりたい!」
安川と徒仲は賛成気味だった
「私もちょっとやってみたい」
渡部もそれなりに乗り気だった
(よし!渡部が乗り気になるのは予想外だったがこの雰囲気ならいける!)
桐島は手元に隠していたメイド服5着を前に出した
「じゃあ決定だ!もう服は用意してあるか今すぐ試しに着替えろー!」
桐島はそのまま5人をメイド服ごと更衣室に押し込んだ
「よし、、、上手くいったな外山」
桐島はホッとしながら呟いた すると目の前に浜が立っていた
「なぜ私のぶんのメイド服がないのだ?」
浜は不機嫌そうに桐島を睨みつける
「え、、、えっと、、、」
(浜さんには裏方全般に回ってもらいたいから、、、とか言いづれえ、、、)
桐島は助けを求めるようにチラッと外山を見る
「、、、僕は浜さんに着てほしいデザインを選んだんですけどねぇ、、、」
外山は首を傾げながら呟く
(この野郎、、、)
「どういう事なのだ?桐島」浜は更に桐島に問い詰める
「い、いや、、、浜さんにはですねぇ!普通の服で参加してもらってですね!あ、メイドの子より可愛い子いるじゃん!みたいなポジションをお願いしようと思ってたんですよ!」
桐島は変なテンションで一気に乗り切ろうとした
「、、、、、」
浜は近くのイスに座った
「ならばかまわん」
浜の表情は心なしか緩くなっていた
「ちょっと恥ずかしいかな、、、」
「大丈夫だって♪かわいいから!」
更衣室の中から話し声が聞こえる
「いいからいいから!行こ!」
徒仲と安川は恥ずかしがる3人を引き連れて勢いよく出てきた
全員、いわゆるオーソドックスに近いメイド服を着用していた
「あ~あ!焦栄に見せたかったのになぁ~」
徒仲はいじけたように呟く
「野波佳君、確か美嚢先生と場所取り行ってるんだよね まあすぐ見せれるよ」
渡部は徒仲を優しくなだめた
「お~!先輩方良いですねー!めちゃくちゃよいですよー!」
外山は瞬をじろじろ見ながら楽しそうにカメラを構える
「~~っ!!寄るな!」
瞬は恥ずかしそうに外山を押しのける
「あ、撮ってもらおう!紗菜ちゃん!あゆみん!」
安川は近くにいた2人の手を取った
「、、、、、」
桐島はそれを少し離れた場所で見ていた
(これは、、、金の匂いが、、、)
「、、、ふっふっふ、、、」
桐島は1人ニヤニヤしていた
すると美嚢と野波佳が駆け足でやってきた
「桐島君!教室取ってきた、、、ってええ~!?メイド服!?」
美嚢は足を止め、驚いた
「麻癒!なんだよそのカッコ!!」
「えへへ~!かわいいでしょ!」
「当たり前じゃ~ん!」
野波佳はデレデレしながら徒仲とじゃれあう
「よーし!美嚢先生と焦栄は引き続き前言った機材を貰ってきてくれ!貰えるだけ!」
桐島は勢いに乗ってきた感覚を肌で感じていた
「う、うん、、、」
美嚢はメイド服に戸惑いながらも桐島の指示に従う
「外山はメイド達にあのマニュアル教えといてくれ!一応浜さんも一緒に!」
「了解」
外山はメイド達を一旦着替えさせる為に更衣室に行くよう指示した
「よし、、、じゃあ俺は今ある機材でセット作るか、、、」
桐島は楽しそうにそう呟きながら校舎裏に向かった