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  作者: 外山
82/216

二本の電話

終業式の日の夜


家に帰った桐島は風呂に入っていた



「、、、ふぅ」

昼間の事を思い出し、少し感傷に浸っていた桐島はそれを振り払うように湯船で顔を洗った


「、、、、、」

だがどうしても頭によぎるのは渡部の事ばかりだった

数日前、そして今日も渡部と上手く噛み合わずモヤモヤした気持ちはなかなか晴れなかった

「、、、ちっ、くそ、、、」

桐島はイラついた様子で湯船から出ようと立ち上がった






風呂から上がった桐島はタオルを頭に添えながら居間に戻ってきた


「、、、、、」

テーブルの前に座り、何気なく携帯電話を手にとる

(、、、やっぱ、謝った方がいいか、、、?歩に、、、)

そんな考えが頭をよぎるのは今日に限った事ではなかった

数日前からずっとそんな事を考えていた

「でも、、、今更なんつったらいいか分かんねえな、、、」

桐島は投げやりな口調でそんな言葉を吐き捨てながら仰向けに寝転んだ

(つか、、、あいつが引っ越したら、、、どうなんのかな、、、俺ら、、、)

こんな不安な気持ちになるのも今日に限った事ではない

凛から話を聞いてから毎日そんな気分だった

「やっぱ、、、別れるしか、、、」

桐島はそこで言葉を止めた それ以上言うと更に不安な気持ちが増すだけだと感じたからである


「、、、、、」

まだ決心はついていないが、とりあえず携帯電話を開いた

「、、、あっ」

画面を見ると、着信が一件きていた

「あ、歩からか!?」

桐島は慌てて起き上がり、着信履歴を確認する

「、、、え?」

着信は凛からだった

「なんだよ、、、凛ちゃんか、、、」

桐島はため息をつきながら凛にかけ直した



プルルルルルル プルルルルルル


ガチャ


「あ、誠哉さん?ちゃんと一回で出てくださいよ」

凛は言葉の割にはさほど不機嫌そうではなかった

「ああ、んで?なんか用か?」

桐島は少しめんどくさそうな言い方だった

「用っていうか、、、誠哉さん、今姉さんとケンカしてますよね?」

「え、、、」

「昨日、姉さんと電話で少し話したんですけど、それだけでなんとなく分かりましたよ 今誠哉さんの声を聞いて確信しました」

「な、なんでそんな事分かるんだよ!占い師かお前は!」

桐島は電話越しに恐怖を感じていた

「2人とも分かりやすいですからねぇ~?」

凛はニヤニヤと笑いながら言った

「~!、、、んで?なんで電話してきたんだ?」

桐島は少しムカついたがその気持ちを抑えた

「誠哉さん、いつ姉さんが引っ越すかとか知らないですよね?」

「え?ま、まあ、、、春休みだろ?」

「春休みなのは春休みなんですよ ただ、明明後日ですけどね」

「え、、、し、明明後日って、、、」

「それを教えてあげよーと思ってわざわざ電話したんですよ?」

「、、、、、」

桐島は考え込んだ表情で黙り込んだ


「ケンカなんかしてる場合ですか?どうせつまらない意地の張り合いでもしてるんでしょ?」

凛は呆れたように息をつきながら言った

「、、、、、」

だがその言葉に桐島は何も答えなかった

「、、、?どうかしました?」

「、、、そんな大事な事も、言ってくれないんだな あいつは、、、」

桐島は寂しそうに力なく呟いた

「え?」

「あいつ、、、俺との事はあんま考えてねえのかな、、、」

「、、、、、」

凛は声には出さずにため息をついた

「あの、、、そんな事ないと思いますよ?」

「え、、、?」

「さっきも言いましたけど、、、姉さん、電話越しでも分かるぐらい元気なかったんですよ?それは誠哉さんとケンカしたからじゃないですか」

「、、、、、」

凛の言葉を聞き、桐島は考え込んだ

「今日だって、タイミングがなかったんじゃないですか?ケンカしてる訳だし、、、」

「、、、、、」

「誠哉さんの気持ちも分かりますけど、姉さんの気持ちも考えてみたらどうですか?」

「、、、歩の気持ち、、、?」

「はい、、、まあ、もうこのまま別れてもいいっていうんなら別にかまいませんけどね」

「、、、、、」










翌日



~ ~


「、、、ん、、、?」

携帯電話から鳴る音によって、桐島はゆっくりとその意識を起こした

「あ、電話、、、、、」

薄目のまま音の鳴る方に手を伸ばした


パカッと携帯を開き、画面を見る

着信は北脇からだった

「、、、んだよ 紗菜かよ、、、」

桐島はめんどくさそうに電話を耳に当てる


「はい 桐島ですけど」

「分かってるわよ そんな事より学園祭の話があるんだけど」

北脇はいつもより少し早口だった

「明日までに決めなきゃいけない事あるから 明日学校に集合ね」

「はぁ?まだ春休み始まったばっかりだぞ?」

「知らないわよ 急に言われたんだから 発注とか予算とか、色々考えたら明日までに決めとかないとダメらしいの」

北脇は淡々と要点だけかいつまんで話した

「、、、はぁ 分かった分かった 明日だな」

桐島は不満ながらも納得するしかなかった


「あ、そうだ、、、歩さんの話たけど、、、」

「、、、なんだよ?」

桐島は途端に不機嫌な声色になった

「明明後日だから、、、歩さんが引っ越すの」

「、、、、、知ってるよ」

「え、、、あ、そう じゃあいいんだけどね」

北脇はなんともないような言い方をした

「、、、歩から直接聞いた訳じゃねえけどな、、、」

桐島は半分枯れたような声だった

「、、、ふぅん」

北脇はなるべく遜色ない対応をしようとしていた

「仲直り、、、しないつもりなの?」

北脇はおそるおそる訊ねる

「、、、、、」

「もう、、、別れてもいいって思ってんの?」

「、、、、、」

「なんとかいいなさいよ」

北脇は落ち着いた口調で言った

「、、、お前には関係ねえだろ あんま口挟むなよな」

桐島は額を軽くひっかきながら言った

「あんたの気持ちも分かるけど、、、歩さんの気持ちも考えたら?」

「、、、、、!」

桐島はその言葉に少し反応した

「歩さんだって別に誠哉を、、、」

「分かる訳ねえだろ、、、、、」

北脇の言葉を遮り、桐島は話し出した

「え?」

「お前に俺の気持ちなんて分かる訳ねえし、、、俺は歩の気持ちなんて分かんねえよ」

桐島は声を震わしながら言った

「、、、、、」

北脇は思わず押し黙った

「引っ越すとか、その日にちとか、大事な事は何も教えてくんねえあいつの気持ちなんか、、、全然分かんねえよ、、、」

桐島はセキをきったように言葉を垂れ流した

「だ、だからそれは、、、」

「わりぃけど、、、マジでもう口挟まないでくれ、、、じゃあな」

「あっ、、、」


桐島は一方的に電話を切った


「、、、、、」

桐島はドサッと布団に寝転ぶ


(、、、歩の、、、気持ち、、、)

桐島は凛と北脇に言われた言葉を思い出すと、モヤモヤした表情で寝返りをうった








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