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  作者: 外山
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ケンカ



桐島は、凛が埼玉に遊びに来た時にこの話を知った事を渡部に話した



「そっか、、、凛が、、、」

渡部は頷きながら呟く

「ああ、、、凛ちゃんはもう俺が知ってると思ってたらしくてな、、、」

桐島は道脇のフェンスにもたれかかった

「、、、、、」

渡部も桐島と同じように隣にもたれる


「お父さんと親戚の人達、、、私が思ってたより上手くいってたみたいで、、、凛と一緒に住んでもいいって言ってくれたの」

渡部は前で手を組み、自分の指先を見つめた

「確かに、、、関係は良くなってるって言ってた」

桐島は名古屋で聞いた渡部の父の言葉を思い出しながら言った

「うん、、、お父さんはその為に15年以上、親戚の人達に交渉してたんだ、、、それでやっと、認めてもらった、、、」

「、、、、、」

渡部の話を、桐島は不機嫌そうな表情で聞いている

「ホントはこの学校で3年間過ごしたかったけど、、、私のその気持ちだけで、わがまま言えないよね、、、」

渡部はそう言いながら笑った だが端から見れば無理をしているようにも見えた


「、、、確かに、そうかもな、、、」

「、、、、、」

桐島の落ち着いた声色での返事に、渡部は更に落ち込んだような表情になる

「でも、、、ホントにそれでいいのかよ?」

桐島はフェンスにもたれかかり、少し前の地面を見ながら言った

「え、、、?」

「もうここには、、、何の未練もないって事なのか、、、?」

桐島は目線を変えず、ポツポツと言葉を並べる

「違うよ、、、そんな訳ない さっき言ったでしょ?私のその気持ちだけで、わがままは言えないって、、、」

渡部は首を振りながらこたえた

「その気持ちだけでって、、、何でそんなに簡単に決めれるんだよ、、、」

「簡単になんか決めてないよ でも、、、どうしようもないじゃない」

「だから、、、なんで割り切れるんだよ 徒仲だっていんだろ、、、?」

桐島の口調は少しずつ強くなってきていた

「、、、じゃあどうしたらいいの?私に何が出来るの?」

渡部もつられて口調が強くなる

「それに、、、凛と一緒に、姉妹一緒に暮らした方がいいって、、、誠哉君がお父さんに言ってくれたんじゃないの?」

「、、、それに近い事は確かに言ったよ、、、でも、、、」

桐島はその事を言われるとどうも弱かった

「、、、じゃあ凛ちゃんが埼玉に来ればいいじゃねえか」

「え?」

「徒仲とか、アイツらとも仲良くやってたし、、、両親だっているんだしよ」

「、、、それは無理なんだって 向こうの人達は近くに住むから認めてくれたらしいの」

渡部は落ち込んだ様子で答える

「じゃあまだいいじゃねえか 凛ちゃんが埼玉に来てもいいって認められるまでは、、、」

「家族で住むのが本当は普通なんだから、、、少しでも早い方が良いって考えだよ、、、私も確かにそう思う、、、」

渡部はゆっくり深く頷きながらこたえた


「、、、この話、焦栄達にはもうしたのか?」

桐島は一度、気を落ち着かせようと話を変えた

「うん、、、今日の昼休みに」

「でも、瞬さん達にはもっと早く言ってたんだろ、、、?」

「え、、、?う、うん」

渡部は少し動揺しながら返事をした

「そんな大事な事、、、なんで真っ先に俺に話してくれねえんだよ」

桐島は横にいる渡部の顔を見た

「、、、、、」

逆に渡部は思わず顔を逸らした

「今だって、俺から言ってなかったらまた、話してくれてなかったんじゃねえのか、、、?」

「い、言おうと思ってたよ!ずっと、、、」

渡部は少し口調を荒げて言い返した

「ホントは誠哉君に一番最初に言わなきゃダメだって、、、ずっと思ってた、でも、、、、、」

そこで言葉を濁し、渡部は俯いた


「でも、、、なんだよ」

「、、、と、とにかく、、、なかなか言えなかったのは、、、ごめん、、、」

渡部は小さく頭を下げながら言った

「、、、大事なとこはすぐごまかすんだな、、、」

「なっ、、、そ、そんなんじゃないよ!」

桐島の嫌味な言い方に渡部はカチンときた

「じゃあなんなんだよ?なんで俺にすぐに言ってくれなかったんだよ」

「っ、、、だ、だから、、、その、、、」

渡部はオロオロしながら言葉を探していた

「どうでもよかったのかよ 俺の事は」

「な、なんでそうなるの!?そんな訳ないじゃない!」

「、、、もういい 好きにしろよ!」

桐島は進行方向とは逆方向、つまり今来た道を歩き始めた

「え、、、ちょ、ちょっとどこ行くの!?」

「帰るんだよ!」

呼び止めようとしている渡部を寄せ付けず、桐島は歩き続けた

「待ってよ!ちょっと、、、ねえ!」

「、、、、、」


桐島は複雑な表情を浮かべながらその場を去った








翌日


桐島と渡部は1日中、一言も言葉を交わさなかった


その様子を周りの皆は心配そうに見ていた



放課後


桐島はいつもより早く帰り支度をし、靴を履き替えていた

「誠哉 帰んのか?」

すると野波佳が現れ、桐島に声をかけた

「焦栄か、、、なんか用かよ?」

桐島はため息混じりに元気なく返事する

「用とかじゃねえけど、たまには一緒に帰ろうぜ」

野波佳はつとめて笑顔だった

「、、、なんだよ気持ちわりぃなぁ、、、徒仲とでも帰ってろよ」

桐島は立ち止まらず、外へと歩き出した

「あ、待てよ」

野波佳も慌ててついて行こうとする

「今日は一人で帰りてえんだよ、、、じゃあな」

桐島は野波佳を手で止め、一人で帰ってしまった

「あ、、、」

野波佳は困った表情で息をついた








渡部は一人、帰路についていた

「、、、、、」

あまり良くない気分のまま景色を眺めるが、小さいため息しか出なかった

(なんで、、、ケンカになっちゃったんだろ、、、)

昨日の事を思い出すと、渡部の胸は吐き気を感じさせるように締め付けられた

「、、、、、」

また景色を眺めると、今度は涙が出そうになった


「あゆみーん!なにしてんのー!?」

すると後ろから安川の声が聞こえてきた

「っ!!」

渡部は慌てて涙を抑え、振り返った

「ま、真奈美さん、、、」

「1人?一緒に帰んない?」

安川は渡部のもとまで駆け寄った

「は、はい」

渡部は安川の勢いに合わせ、頷いた

「いやー!純ってば学校の役員みたいなのやってるからさ!遅くなるらしいんだよね~!」

「役員ですか、、、」

「うん、あんまり詳しくは知らないけどね~」

安川は目の前の石を蹴りながら言った

「あ、そういえばさ、、、みんなに言った?あゆみんが名古屋に引っ越す事、、、」

安川は前髪をいじりながら何気なく訊ねる

「、、、はい」

渡部は力なくコクっと頷いた

「そっか、、、」

「、、、、、」

「、、、?どしたの?」

安川は渡部の様子を不思議そうにうかがった

「い、いえ、、、」

「なんかあったの?話ぐらいなら聞くけど」

安川は優しく笑いながら言った

「、、、、、」

渡部は少し下を向き、暗い表情になった


「、、、ま、無理に言う必要はないけどね でも、こうしてあゆみんといられる時間も少なくなる訳だし、、、出来るだけ力になりたいっていうかさ」

安川は照れ笑いをしながら空を見上げた


「、、、じゃあ、、、少しいいですか、、、?」


渡部は顔を上げ、ゆっくりと口を開いた









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