思わぬ事実
「、、、で、ウチに来たんだ」
「はい!」
額を軽く引っかきながら答えた瞬に対し、渡部は元気よく答えた
渡部が皆を連れて向かった場所は瞬の家だった
「とりあえずここかなと思いまして!」
「別にいいんだけどね、、、連絡ぐらいしてほしかったかな」
「あ、すいません 瞬先輩なら連絡なくても大丈夫かなと思いまして、、、」
「私にどんなイメージ抱いてんの?まあいいけど 入って」
瞬はドアを大きく開け、皆を招き入れる
「あ、ところで歩ちゃんの妹って?」
瞬は順に入ってくる皆を見ながら言った
「この子っすよ」
野波佳は玄関に入りながら後ろを指した
「挨拶が遅れてすいません!歩姉さんの妹の渡部凛と言います」
凛は慌てた素振りで礼をした
「へぇ~、、、歩ちゃんの妹かぁ、よろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
凛が玄関を上がり、最後に桐島が入ってきた
「はぁ、、、やっとついた、、、」
桐島は汗を拭い、手を膝についた
「、、、え?なんでそんなに荷物持ってんの?」
瞬は引いた表情で桐島に訊ねる
「いや、、、まあ、、、」
「私の荷物なんです!そんなに持ってちゃ重いだろうって、、、ありがとうございました!誠哉さん!」
凛は桐島と瞬の間に割って入り、桐島から荷物を受け取った
「そ、そう、、、優しいね 桐島君」
「、、、ありがとうございます、、、」
桐島は不服そうに答えた
リビングのソファーには安川が寝転がっていた
短パンにタンクトップという完全に気を抜いた服装で漫画を読んでいた
「真奈美さん」
渡部が名を呼ぶと、安川は肘掛けの部分を支点に顔を逆さまにさせ、声がする方を見た
「お、あゆみん、、、と、みんなもいるじゃん どうしたの?」
安川はだらけきったままの態度で言った
「実はね、歩ちゃんの妹が遊びに来てるの」
瞬は廊下の辺りで止まっている皆を押しのけ、リビングに入った
「は、、、?妹、、、?」
安川は顔を逆さまにしたまま首を傾げる
「はじめまして!渡部凛と言います」
凛は少し前に出て安川に挨拶する
「、、、、、」
安川はポカーンと口を開けたまま動かない
「、、、?あの、、、?」
「あ、、、そ、そう!私、安川真奈美!よろしくね!」
「よろしくお願いします」
互いに自己紹介をした後、安川はチラッと渡部の方を見た
「、、、?」
渡部がその視線に気づくと、安川はチョイチョイと手招きをした
「え、、、?」
渡部は安川の近くに寄った
安川は渡部の耳元に口を寄せる
「ねえ、、、あゆみん、妹いたの?」
安川は皆の様子をうかがいながら小声で話した
「は、はい、、、いました、、、」
「私聞いた事なかったんだけど!?」
「み、みんなにも今日初めて紹介したんですよ!真奈美さんにだけ隠してた訳じゃありません!タイミングがなかったっていうか、、、」
渡部はもじもじしながら言葉を並べた
「、、、まあそれはいいよ ところでさ、みんなには、もう言ったの?あの事、、、」
安川は少し真剣な表情になった
「、、、まだ言ってません、、、真奈美さんと瞬先輩にしか、、、」
「そう、、、あゆみんの気持ちを整理してからで良いけど、なるべく早く言いなよ?特に、キリシマンにはさ」
「、、、、、」
渡部はチラッと、皆の顔と桐島の顔を見た
「、、、はい、、、」
「姉さん!これとかどう?」
「ちょっと派手過ぎないかな?」
「これぐらいがちょうどいいって!」
渡部姉妹は互いに服や小物を合わせていた
一同はデパートにいた
瞬と安川は今日、デパートに行く予定だったらしくそれに皆着いてくる形になった
「焦栄~!これとこれ!どっちがいい??」
「ん~、俺はこっちだな!」
「私もそう思ってた~!」
「お~い北脇!良い感じの帽子持って来たぞー!」
「持ってこないでって言ってんでしょ!また元の場所に戻さなきゃなんないのに!」
「いいからかぶれって!ホラ、かわいいじゃん!」
「は、はぁ~?、、、そ、そう?、、、」
「なんで着いてくるのかなぁ~キミは!しっしっ!」
「そ、そんなぁ~安川さん、、、別にいいじゃないっすか!ね?瞬さん!」
「私は多分真奈美よりも嫌がってるよ」
「ひ、ひでえっすよ~、、、」
一同楽しく回っていた
だが、桐島だけは商品も見ず、設置されているベンチに座っていた
「ふわぁ~あ、眠てえなぁ、、、そういや今日は寝るつもりだったんだっけ、、、」
桐島はベンチにもたれ、ウトウトとする
「どうせみんな買い物長いし、ちょっと寝るか、、、」
「な~にしてるんですか?♪」
桐島が休もうとすると、凛が声をかけてきた
買い物袋を両手に持ち、桐島の横に座った
「凛ちゃん、、、もう終わったのか?」
「いえ、皆さんが買った物をまとめて誠哉さんに預けに来ました これが安川さんと瞬さん これが北脇さんと麻癒さん これが私と姉さんのです」
凛は3つの袋を桐島の周りに置いた
「はぁ!?なんで俺が持つんだよ!?」
「え?じゃあもしかして、女性に持たせる気なんですか?」
「う、、、しょ、焦栄達に持たせりゃいいだろ」
「野波佳さん達は皆さんのお買い物に付き合ってるじゃないですか 誠哉さんは何もしてないんですから荷物ぐらい持ってください」
凛はぐぐっと買い物袋を桐島に押し付ける
「、、、はいはい わかったわかった じゃあお買い物を続けて下さい」
桐島は肘掛けと背もたれにもたれかかり、目を瞑った
「いえ、少し疲れたので休んでいきます 誠哉さんも1人で暇だったでしょ?」
「別に、、、もう寝たいんだよ、、、」
「え?もしかして誘ってるんですか?」
「アホか!ガキがマセた事言うな!」
桐島は完全に顔を背けた
「ふふっ、ただの冗談じゃないですかぁ?それに、年だって一つしか変わりませんよ」
「もういいっての、、、それよりどうだよ埼玉は」
「え?」
「楽しいか?まあ特に大した事してねえけどよ、、、」
「う~ん、、、そうですね」
凛は落ち着いた様子で少し考える
「楽しい人ばかりですね 埼玉だからって訳じゃないですけど、見てて飽きないです」
凛は先ほどまでとは何かが違う笑顔を浮かべた
「姉さんも、私と買い物とかしてみたかったって、、、スゴいはしゃいでますよ 元気ですよねー」
凛はベンチに座りながら買い物をしている渡部の方を見る
「、、、そうか?」
「はい もうそのテンションについていくのに疲れたみたいな感じですね」
「ふ~ん、、、俺には、凛ちゃんの方がはしゃいでるように見えたけどな」
桐島はニヤニヤ笑いながら言った
「え、、、ど、どこがですか!全然はしゃいでませんよ!」
凛は赤くなった頬に手を当てながら必死に言い返す
「そうか?姉さ~ん姉さ~んとか言って、歩に色んな服見せてたじゃねえか」
桐島は凛が動揺したのを気づき、ここぞとばかりに攻めた
「~~っ!私の事はいいですっ!誠哉さんはいいんですか!?姉さんとお買い物しなくても!」
凛は恥ずかしさを紛らわす為に話を変えた
「俺はいい どうせこんなに仕事与えられちまったしな~」
桐島は嫌味くさく3つの袋を指した
「いいんですかぁ?あとちょっとしかないのに」
凛はため息混じりに呟く
「は、、、?」
(何言ってんだよ、まだまだあいつら見て回る気だぞ)
「別にいいよ 買いたいモンなんかねえし」
桐島は大きくあくびをした
「あ、、、そういえば凛ちゃん ちょっと聞きたかった事あんだけど」
桐島は思い出したように話し出した
「なんですか?」
「なんで今日、埼玉来たんだ?あと一週間もすりゃ春休みなんだからそれからでも良かったんじゃねえか?」
今日、渡部に聞きそびれた事を本人に直接訊ねた
「そうですね、、、まあ春休みは姉さんが忙しいじゃないですか もしかしたらこんな暇ないかもしれませんし だから埼玉に来るなら今日が最後のチャンスかなと」
凛は頭の中で日程を考えながら言った
「え、、、?春休み、歩は忙しいのか?」
「まあ多分そうじゃないですか?色々あるでしょうし」
「ふ~ん、、、でも1日2日くらい暇な日あるだろ それかその、忙しい用事が終わってからでも」
「いやだから、、、用事が終わったらもう私、埼玉にくるアテが無くなるじゃないですか」
凛は上手く進まない話にじれったそうにする
「は?なんで?」
「だって姉さん、名古屋に引っ越すじゃないですか?まあ誠哉さんがいるなら埼玉に来ても変じゃないかもしれませんけど、、、姉さんがいる内にって思いません?普通」
「は、、、?引っ越す、、、?」
桐島は目を丸くさせながら凛に聞き返した




