ホームルームでの出来事
卒業式が終わった次の週
1、2年生はまだ春休みではなく普通に授業があった
だが授業は昼には終わり、ホームルームを終えると1日は終わりだった
「え~、では最後に一つ、決めてもらう事がある」
ホームルームの終盤に担任はこんな話を切り出した
「来年度の5月のゴールデンウイーク 新入生の歓迎も含めての学園祭があるのは知っているな?」
「、、、?そんなのあったか?」
桐島は前の席の野波佳に訊ねた
「お前確か休んでたぞ」
野波佳は半分だけ振り返り、答える
「、、、ふ~ん」
桐島は納得しながら返事をした
「この学園祭は2年生を中心にやるんだ そこで、何かやってくれるという奴はいるか?出し物をやる側だと回る事は出来ないが、、、」
担任は皆に訊ねたが皆の反応は薄かった
「2年生になってから決めたらいいんじゃないですか?」
生徒の1人がこんな意見を言った
「いや、新学期は何かと忙しくてな 今の内に決めときたいんだ どうせクラスで分ける訳ではないし、、、とりあえず2人、誰かいないか?」
担任はもう一度皆に訊ねるが先ほどと変わらない反応だった
「、、、仕方ない くじ引きで決めよう」
担任は用意していたくじ入りの箱を取り出した
「この中に2つだけ当たりがある 当たりを引いたら強制的に学園祭の出し物をしてもらう」
担任の言葉に生徒達はザワザワしたが、低い確率だったので騒ぎ立てるモノもいなかった
「学園祭とか文化祭とか、、、遊んでばっかだな、この学校」
桐島は誰に言うでもなく呟く
「あ、そういえばさ!この学園祭って、恋愛のジンクスみたいなのあったよね!」
徒仲は不意に話し出した
「えっ!ど、どんなのだよ!?」
外山は急に、徒仲の話にがっつきだした
「えっと確かね~、、、学園祭の終盤に、校庭の真ん中で綿菓子を配り始めるでしょ?綿菓子職人みたいな人達が それって男女の2人組しか貰えないの その綿菓子を貰って、告白したら絶対付き合える!みたいな?そのカップルは別れないっていう話!」
徒仲はうろ覚えの話を思い出しながら話した
「別れない、はまだしも、絶対付き合える、っておかしくない?その場で結果出ちゃうけど」
話を聞いていた北脇は何気なく訊ねた
「だからすごいんじゃーん!全部成功してるって事でしょ?ね!?」
徒仲はサッと渡部に話をふる
「う~ん、ホントかどうかはともかく私もちょっと聞いた事ある」
渡部は頷きながら答えた
「絶対付き合える、、、」
(よーし、瞬さん誘って、、、いやこの際安川さんも誘って2人に告白しちまえばいいんじゃ?なんせ絶対付き合えるんだから、、、)
外山は1人で企てニヤニヤしていた
(めちゃくちゃ楽しみになってきた、、、グフフフフ、、、)
「絶対付き合える、、、ね」
(俺には関係ねえか、、、もう歩と付き合ってる訳だし)
桐島はチラッと渡部の方を見る
渡部は徒仲や北脇と喋っていた
「、、、、、」
(ま、一緒に綿菓子貰うか、、、)
桐島は少し照れた様子で渡部から目を離した
くじ引きが行われた
当たりを引いたのは桐島と外山だった
「、、、、、」
「、、、、、」
2人は絶句した
「桐島と外山で決まりだな じゃあ解散 あ、桐島と外山以外な」
担任がそう言うと生徒達は帰っていった
「、、、、、」
桐島は机に突っ伏せ、動かない
「お、おい誠哉、、、大丈夫かよ?」
野波佳は前の席から桐島の肩をゆする
「、、、、、」
(なんか、、、妙に楽しみになってた分余計辛えよ、、、)
桐島は微動だにしなかった
「誠哉君、そんなに嫌なのかな?」
徒仲は北脇や渡部にこそこそと話す
「さあ、、、」
渡部は首を傾げた
「ま、でも、こっちよりはマシみたいだけどね」
北脇は外川の方を指差した
渡部と徒仲もそちらを見る
「ゥうヴああぁァぁアア!!グゴぎぃャぁアあああァアアぁアあァあア!!」
外山は奇声を発しながらのた打ち回っていた
「なンデだYOぉぉォ!!ジンセーの岐路ダろこ故よおぉぉ!!」
外山は叫んでいたが皆は殆ど聞き取れなかった
「でも、実際は2人だけじゃなくて他に何人か誘ってやるんだよね?」
徒仲は周りを見渡しながら呟く
「らしいな」
野波佳は軽く相槌をうった
「じゃあさ歩ちゃん!一緒にしない?誠哉君と外山の手伝い!」
徒仲は楽しそうに渡部を誘った
「え?」
「てゆうか渡部代わってくれよぉ!手伝いとかじゃなくて!!」
外山は必死に渡部に泣きつく
桐島は顔を上げ、そのやり取りを聞いていた
(、、、そうか、歩もこれやるんならまあ別に、、、)
「ごめん 今回はやめとくね」
渡部は苦笑いしながら手を振った
「えぇ~?なんで?」
徒仲は残念そうにしながらも訊いてみた
「うん、、、体育祭も文化祭も色々やったし、もういいかなって」
「うぅ~、そっか、、、」
徒仲は仕方なく納得した
だが徒仲より落ち込んでいる人間は渡部の右と左に1人ずついた
「、、、はぁ」
桐島は小さくため息をつき、また突っ伏せた
「くっそ~、なんだよ~、、、」
外山は悔しそうに呟く
「もういいよ、、、やってやるよ!どうせジンクスなんてただの噂だしな ジンクスは所詮ジンクス止まりなんだよ もう今更やりたいとか言ってもこの権利は渡さ、、、」
「お、みんな残って何してんのー!?」
隣のクラスの九頭が入ってきた
「代わってくれー!!九頭!!頼む!!九頭!!」
外山は九頭に抱きつきながら交渉した
「ぶわぁー!な、なんだよー!?」
九頭は外山をはねのけた
外山は九頭に学園祭の話をした
「あーそれ?俺もやるんだよ!クラスで決まっちまってさ!」
九頭はハハハと笑いながら言った
「、、、帰れっ!お前なんかもう知らねー!!」
外山は九頭に背を向けた
「あ、徒仲!お前やりたがってたよな!どうだ?するか?」
桐島は顔を上げ、徒仲に交渉する
「ザーンネン!歩ちゃんがしないならしません!じゃあ私ら帰るから せいぜい頑張ってねー!」
徒仲は勝ち誇った表情で渡部の手を引き、歩き出した
「あ、、、じゃあね みんな」
渡部はそのまま連れられ、帰って行った
「じゃ、私も帰ろうかな」
「俺も」
そう言って北脇と野波佳は立ち上がった
ガバッ!
そんな2人の間に割って入った桐島は、勢いよく肩を組んだ
「まあまあお前ら まさか俺と外山だけ置いて帰んねえよな?」
桐島は優しく笑いながら2人に問いかける
「え、、、なに?」
北脇は引いた表情で桐島を見る
「まあまあお前ら まさか俺と外山だけ置いて帰んねえよな?」
桐島は先ほどと同じ言葉を繰り返した
「いや、それさっき聞いたけど、、、」
野波佳は不思議そうに言った
「まあまあお前ら まさか俺と外山だけ置いて帰んねえよな?」
「、、、、、」
「まあまあお前ら まさか俺と外山だけ置いて帰んねえよな?」
「、、、、、」
「まあまあお前ら まさか俺と外山だけ置いて、、、、、」
結局野波佳と北脇は、桐島と外山の手伝いをさせられる事になった




