瞬の日記 卒業式
3月10日 金曜日
〔今日は先輩達の卒業式 昨日、浜先輩も言ってたけど私にも淋しい気持ちはある でも、先輩達の門出に暗い顔は要らないし失礼だ 先輩達の高校生最後の姿をしっかり見届けようと思う〕
浜と片岡は、学校の教室にいた
教室の皆は妙に浮き足立った様子で雑談をしている
「今日は良い天気ね~」
片岡は窓際の席から外を眺め、後ろの席の浜に声をかける
「そうだな、、、見ろ 車がたくさん停まっている」
浜は窓の外を指差しながら言った
「ホントねぇ~、こんなに来なくてもいいのにね~?」
「確かにな 別に面白いモノもない」
普段学校では見ない数の車と流れる人を、2人はぼーっと眺めていた
「それにしても、、、この制服固いわねぇ~ 肩のとことか、、、」
「今更か 3年間着てた制服だろ」
「そうね~、もう3年も着てたのね~」
「、、、、、」
2人は少し淋しい気持ちで3年間の余韻に浸っていた
「次だ 整列しろー」
いつもよりもビシッとスーツを決めている担任の教師が、教室にいる生徒達に声をかける
「じゃあ、、、行きましょうか?」
片岡はニコッと浜に笑いかけた
「うむ、、、行こう」
浜はいつものように頷き、立ち上がった
パチパチパチパチパチパチパチパチ
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卒業生が入場している間、ずっと体育館は拍手の音に包まれていた
「、、、、、」
浜は拍手の中を歩きながらふと、瞬と安川を探していた
すぐに見つかった瞬と安川は、笑顔で拍手しながら浜と片岡の方を見ていた
[校歌斉唱]
教頭の合図で校歌の音楽がスピーカーから流れる
「なんだこれ、、、聴いた事ねえよ なぁ?」
桐島は隣の九頭に同意を求める
「ふぁ~あ、なんか眠たくなるなぁ~」
九頭は大きくあくびしながら答えた
「ああ確かに、、、いでぇっ!!」
桐島は九頭とは反対側にある腕に激痛が走った
「し・ず・か・にしてくれる?」
北脇はニコニコ満面の笑みで言った
「は、はい、、、」
腕をつねられた桐島は涙目で、九頭は桐島の陰に隠れ怯えながら返事をした
卒業生答辞は生徒会長でもある竹内が読んでいた
{竹内とは4話あたりのとこで出てきた男の先輩である}
「なんだよ、あいつが卒業生代表かよ」
桐島はつまらなさそうに呟く
「誰だ?あれ?」
九頭は壇上の竹内の方を指差す
「ゴリラだよ 確か」
桐島は頷きながら教えた
「、、、?」
桐島は右側に違和感を覚えた
「、、、っ!」
ゆっくり振り向くと北脇が2人を睨みつけていた
「静かにしなさいよ、、、」
「はい、、、」
式は何事もなく、無事に終わった
下校の時間になっても、生徒達は学校にいた
後輩から卒業生へ、卒業生から後輩へ、様々な言葉が交わされる
花束や、寄せ書きした色紙をプレゼントしている者もいた
「浜さん!!片岡さん!!元気でいててくださいね!!」
「俺のごどわずれないでぐれよぉォ!!」
徒仲は2人と固く握手をする
九頭も泣きながら語りかける
「ゲームばかりして目を悪くしないでくださいね」
北脇は徒仲の後ろから挨拶した
「大丈夫よぉ~、どれだけゲームしたって今更悪くならないわ~ ね?薫ちゃん」
「うむ」
片岡の言葉に浜はコックリと頷く
「ご卒業おめでとうございます またこっちに帰ってきたら教えてくださいね」
渡部は丁寧に礼をする
「うむ、まず携帯を買え」
浜はすかさず呟いた
「浜さんと片岡さんの2人暮らしはなんか心配ですけど、ま、頑張ってください」
桐島は軽く会釈をしながら言った
「そうかしらぁ~?私はあなたと歩ちゃんが下の名前で呼び合ってる事が心配だわぁ~」
「確かに」
ニヤニヤと笑いながら言う片岡の横で浜は頷く
「な、何がですか!」
「、、、、、」
間髪入れず言い返す桐島に対し、渡部はかぁーっと赤くなり、黙って俯くだけだった
「うふふ、かわいいわね~」
片岡は優しく渡部の頭を撫でる
「、、、うむ、あいつらがいないな」
浜はキョロキョロと周りを見渡す
「あ、瞬さんと安川さんなら、、、」
外山は少し離れた場所を指差した
校舎の壁の陰の近くに、瞬と安川の姿が見えた
「純、早く行こ?ほら、キリシマン達、もう行ってるよ」
「うん、、、」
安川の呼びかけにも瞬は暗い様子で返事をするだけだった
「先輩達、帰っちゃうよ?」
「、、、、、」
そうこうしていると、浜が2人のもとに歩いてきた
「どうした?何してる?」
浜は2人の様子を窺いながら言った
「あ、、、ほら、先輩来たよ?」
安川は瞬を校舎の陰から引っ張り出した
「、、、、、」
瞬は俯いたままだった
「、、、純、何も言わなくていいの?」
「うむ、、、どうした?」
「、、、、、」
瞬は少し顔を上げ、口を開いた
「なんで、、、東京なんか行くんですか、、、」
「、、、え?」
瞬の唐突な言葉に浜は聞き返した
「なんで、、、そんな遠いところ行っちゃうんですか、、、ずっと、、、ずっと一緒だったのに、、、」
瞬の声は微かに震えていた
「、、、、、」
安川は黙って浜の顔を見た
「、、、、、」
浜は2人の頭にポンと手を置いた
「え、、、?」
「、、、、、」
瞬は思わず顔を上げ、安川も少し目を開く
「大丈夫だ、、、」
浜は優しく笑った
「ちょっと離れたからって、、、遠いところに行ったからって、簡単に切れる縁じゃない、、、私は、そう思ってたけどな、、、」
浜はぐしゃぐしゃっと2人の頭を撫でる
「お前らはどうだ?、、、純 真奈美」
「、、、うぅ、、、うっ、ぐす、、、薫ちゃん、、、」
「薫さん、、、ぅぐっ、、、」
2人は押さえていた涙をこぼしながら浜に抱きついた
「ばか、、、昔からすぐ泣くんだから、、、お前らは、、、」
浜は震えた口調を、下唇を噛み締めながら抑えた
「ぅぅぅ、、、良い話ですねぇ、、、僕の事も忘れないでくださいね!!片岡先輩!!」
外山は片岡に泣きついた
「まず君の下の名前を知らないわ~ 名字は外川だったかしら?」
「外山ですっ!もうイヤッ!こんな扱い!!」
〔絶対に泣かないって決めてたけど、あとちょっとのところで泣いちゃった でも、素直な気持ちで先輩達を見送れたから、これで良かったんだと思う〕
〔浜先輩とは、小中高と同じ学校だったけど、大学はそうもいかないみたい 私と真奈美はこれからも埼玉で頑張ります〕
〔片岡先輩 先輩の強い心なら大抵の事は大丈夫だと思います でも疲れたらいつでも帰ってきてくださいね〕
〔浜先輩 今までずっと一緒にいたから、これから淋しいかもしれません でも結局私は、真奈美と浜先輩に頼りすぎていたんだと思います 真奈美も私も、浜先輩に甘えなくてもいいように頑張ります だから心配は要りません 心置きなく行ってきてください バイバイ 薫ちゃん〕




