助けてやるから、、、
♪~♪ ♪~♪
、、、ん、、、?
短い着信音が桐島の耳をくすぶる
♪~♪
「、、、あれ、、、あっ!」
桐島は電話が鳴っている事に気づき、ソファーから飛び起きた
「ね、寝てた、、、のか?」
後ろ頭をかきながら状況整理をする
鳴っている携帯を開き、着信番号を確認した
「、、、ん?誰だこれ?」
携帯電話からかかってきているのは分かったが、登録していない番号の為、名前は出なかった
「、、、まあいいや 出るか」
桐島はあくびをしながらポチッとボタンを押した
ピッ
「はい」
「あ、桐島君かい?」
「、、、、、え!?あ!は、はい!」
電話越しに聞こえてくる声は渡部の父親のモノだった
桐島は慌ててソファーの上で背筋を伸ばす
「いきなりすまないね」
「い、いえ!あ、あの、なんで番号、、、」
「ああ、歩が君の携帯で私の携帯に電話をかけてきたからね」
「あ!そ、そうでした、、、」
渡部の親戚の家に向かう途中、父に電話をするからと渡部に携帯電話を貸した事を、桐島は今思い出していた
「あの、、、それで一体どんなご用で、、、?」
桐島は緊張のせいか、よく分からない言葉遣いになっていた
「ああ、一応確認しておこうと思ってね」
「え?は、はい、、、」
「今、歩と一緒にいるかい?」
「、、、え?い、いませんけど、、、」
「そうか、、、全く困ったな、、、」
父は溜め息混じりに呟いた
「、、、あの、どうかしたんですか、、、?」
桐島は少し心配になり、父に訊ねた
「うむ、、、数時間前に出かけたっきり、歩が帰ってこないんだ」
「、、、え?」
「気がついたらいなくてね、、、少なくとも15時過ぎにはもういなかったんだ、、、」
「じゅ、15時過ぎ、、、」
桐島は慌てて部屋の時計を見て時間を確認する
時計は18時の少し前を差していた
「全く、、、勝手な事はするなと言っておいたのに、、、」
父は怒っているようではあったが心配そうな声色だった
「いきなり電話してすまなかったね 歩が帰ってきたら教えるよ」
「あ、はい、、、分かりました こっちも何か分かれば連絡します」
プツッ
「、、、何してんだよ、あいつ、、、」
桐島はもう一度時計を確認し、心配になってきた
「まだそんなに暗くはねえけど、、、」
桐島は窓の外をカーテン越しに見た 薄暗い光が部屋に差し込んでいる
「、、、、、」
テーブルに脱ぎ捨てた上着が、不意に視界に入った
桐島は上着を羽織り、部屋を出て一階に降りていた
「自分が迷わない程度にちょっと探してみるか、、、」
(凛ちゃんが言ってた事も気になるしな、、、)
なんだかんだ渡部が心配な桐島は、出入り口から外に出た
(うぅ、、、さぶ、、、ホントに3月かよ、、、)
桐島は思わず両腕を抱え込んだ
(渡部のヤツ、こんな寒いのに何してんだよ、、、)
桐島はとりあえず右、左とキョロキョロしてみた
「あ、、、」
すると、左から歩いてきている人と目が合った
「え、、、あ、、、」
驚いた表情をして、そこにいたのは渡部だった
「あ、、、わ、渡部!」
探そうとしていた人物にいきなり会い、桐島は驚いた
「き、桐島君、、、元気?」
渡部は苦笑いを浮かべながら訊ねる
「げ、元気だけど、、、んな事より、お前こんなとこで何してんだよ!?」
「えっと、、、まあなんだかんだでちょっと近くにきたから、、、」
「あの家からどうやってなんだかんだでこんなとこまで来るんだよ!?結構距離あるだろ!?」
「うん、、、あのね、え~っと、、、ショッピングしててね、、、」
渡部は目をそらしながら言った
「え、、、?買い物か?」
「う、うん!ちょっと、、、親戚の人とね」
「は、、、?」
「久しぶりに会ったから、、、何人かの人とね、、、それで、桐島君が泊まるホテルの近くまで来たから、ちょっと会いたいなって思って、、、」
「、、、、、」
「、、、?ど、どうしたの?」
急に黙り込む桐島を渡部は心配そうに見る
「、、、その、親戚の人達はどこにいるんだ?」
「え?向こうで待ってるけど、、、」
「じゃあちょっと行くか 挨拶もしといた方が良いだろうし」
「え、、、い、いいよ!そういうの恥ずかしいって言ったでしょ!?」
「、、、、、」
また桐島は黙り込んでしまった
「、、、だ、大丈夫?なんか変だよ?桐島君」
「、、、変なのはお前だろ」
桐島は渡部の目を真っ直ぐ見ながら言った
「え、、、?」
「じゃあ挨拶はしねえから 待ってる親戚の人達のとこまで送るよ」
桐島は渡部の手を引き、歩き出した
「だ、だからいいってば!ま、待ってよ!」
渡部が言葉を言い終えると同時ぐらいに桐島は止まり、振り返った
「、、、渡部 お前、今日はこのホテル泊まれ」
桐島は自分が泊まるホテルを指差した
「え、、、な、なに言ってるの?そんなお金ないし、、、」
「俺と同じ部屋だったら余分に金かかったりしねえだろ 2人部屋用意してくれてたからな」
「、、、え、えぇ!?き、桐島君と同じ部屋!?」
「ああ」
顔を真っ赤にする渡部とは対照的に桐島は冷静な様子だった
「ダ、ダメだよ、、、泊まるのなんて、、、それに、もうそろそろ戻らないと、、、」
「、、、戻るってどこにだよ?」
「え、、、だ、だから、親戚の人達のところに、、、」
「、、、もういいだろ」
「、、、え?」
「居たくない家に、居る必要なんてねえ、、、」
「、、、い、一体どういう意、、、」
「渡部の妹の、、、凛ちゃんと会ったんだよ」
「え、、、」
渡部はさっきまでとは違い、明らかに動揺していた
「それで、、、ちょっとだけ、話を聞いた、、、渡部と、両親と、親戚の話、、、」
「、、、そっ、、、か」
渡部は俯きながら呟くように言った
2人は、桐島が泊まる部屋のドアを開け、中に入った
桐島は上着を脱ぎ、渡部はバッグなどの手荷物をテーブルに置いた
「お前、、、そんな格好で寒くなかったのかよ?」
桐島は渡部の服装を見ながら言った
上は二枚着ていたが、全体的に薄い布地だった 下も布地の薄いスカートだった
「うん、寒かったよ、、、だから早く桐島君に会いたかったの、、、」
「え、、、な、なんだよそれ、、、」
桐島は照れくさそうに顔を背けた
渡部はソファーに腰掛け、桐島はベッドに、イスのような形で座った
「、、、凛に、、、会ったの?」
渡部は不意に話し始めた
「ああ、、、たまたまだけどな」
「そうなんだ、、、」
渡部は暗い声で言った
「、、、私も、あんまり詳しく知らないんだけど、、、私とお父さんとお母さん、親戚の人達からあんまりよく思われてないんだ、、、」
渡部はゆっくりと話し出した
「なんとなく、物心ついた時からね、、、変な感じだったの、、、何かされてるって訳じゃないんだけど、、、疎外感っていうか、普通じゃないんだろうなって、、、思ってた」
「、、、、、」
桐島は黙って話を聞いていた
「それでもね、昔は凛と仲良かったんだよ、、、?やっぱり姉妹だから、、、そういう親戚の人達との事は関係なかったの、、、」
渡部は少しソファーに座り直した
「それが、、、私達が埼玉に引っ越した時あたりから変わってきたの、、、」
「、、、その、いきなり引っ越したって時か?」
「うん、、、ホントにいきなりで、、、私は当然、凛も一緒に引っ越すと思ってたの、、、でも、凛は来なかった」
「、、、、、」
桐島は納得行かなさそうな表情で頷く
「お父さんもお母さんも、何も教えてくれないし、、、訊くと難しそうな顔するから、私も訊きづらくて、、、何度かこっちの家に電話もしてみたんだけど、家の人達が誰も凛にかわってくれなかったの、、、」
渡部は悔しいような悲しいような表情をした
「それで、しばらくしてこういう親戚が集まる時があったんだけど、その時にはもう、、、目も合わせてくれなくて、、、」
渡部は震えた声を出しながら俯いた
「、、、、、」
桐島は眉間に深くシワを寄せていた
「、、、なんで、何にも言ってくれねえんだよ、、、今日、来るのを嫌がってたのも、その親戚の人達の事が原因なんだろ?」
「う、うん、、、」
「内容はともかく、、、嫌な事があるって事ぐらい、言ってくれたっていいじゃねえか、、、」
「ご、ごめん、、、関係ない事で、桐島君に迷惑かけたくなくて、、、」
「関係なくねえだろ」
桐島は渡部の言葉を遮った
「え、、、?」
「全然、関係なくねえ、、、渡部が泣いてんのに、俺に関係ねえ訳ねえ、、、」
「、、、、、」
「そりゃなんかあったら心配するかもしれねえよ でも、、、迷惑じゃねえから、、、」
「桐島君、、、」
「両親とかに気を遣って、なんでもないフリして来たんだよな、今日、、、」
「、、、、、」
桐島はベッドであぐらをかき、渡部に背を向けた
「両親には気を遣っても、、、俺には気ぃ遣うな つまんねえ遠慮すんな 関係ないなんて二度と言うな 埼玉だろうが名古屋だろうが、、、助けてやるから、、、」
「、、、、、」
渡部は俯き、両手で顔を押さえた
「、、、うん、、、」
震えた声で返事をしたと同時に、今まで抑えてきた涙が一気に溢れ出した
「うっ、、、うぅ、、、ぐす、、、」
渡部はひたすら涙を拭った
「、、、てゆうか名古屋まで来たのに、関係ねえはねえだろ!」
桐島は渡部を元気付けるようにハハハと笑いながら言った
「うん、、、そうだよね、、、」
渡部は息をひきつらせながらも、笑顔だった
「、、、、、」
桐島はホッと息をつき、立ち上がりながら上着を手に取った
「、、、?どこ行くの?」
「ああ、ちょっとな 渡部は待っててくれ」
桐島は部屋の出入り口に向かって歩く
「こっちの上着は要らないの?」
渡部は桐島の上着の薄い方を指差した
「ああ、こっちだけでいい」
桐島は大きめのジャンパーを手に持ち、ドアを開けた
ガチャ
「ちゃんと逃げずに待っとけよ?」
「に、逃げないよ!」
からかうように言う桐島に渡部は素早く言い返した
バタン
部屋を出た桐島は携帯を開いた
「、、、、、」
渡部の父親の番号を確認し、歩き出した




