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  作者: 外山
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渡部の両親

桐島と渡部の2人は、渡部の親戚の家に向かって歩いていた


「懐かしいなぁ この道、、、」

渡部は住宅街の景色を眺めながら言った

「ふ~ん、、、小学校まではここに住んでたんだよな?」

「うん 小学5年生ぐらいまでだったかな」

渡部は少し上を見ながら思い出していた

「ん~?なんかおかしいなぁ、、、」

渡部は周りの道を見ながら言った

「ん?何がだよ?」

「なんていうか、、、全体的に小さくなった気がする、、、もっとここの坂とかキツくて長かったと思うんだけど、、、」

渡部は今歩いているこの坂にも違和感を感じていた

「そりゃ渡部がでかくなったんだろ」

桐島は普通に思った事をそのまま言った

「なっ、、、で、でかくって、、、」

渡部はショックを受けたようだった

「だって小5だろ?そん時に比べたら体力もついてるだろうし身長も高くなってるだろうし、身長が高くなれば目線も変わるしな」

桐島は分かりやすく説明した

「、、、そっか 確かにそうだよね!」

渡部は頷きながら納得した

「、、、、、」

桐島は黙って渡部を見つめた

「? 何?」

「いや、、、ずいぶん元気になったなと思ってな」

桐島は安心した様子で呟いた

「え?」

「新幹線に乗る前はなんか元気なかったろ?ちょっと心配だったからさ」

「、、、、、」

渡部は俯きながら桐島と手を繋いだ

「ん、、、?」

「桐島君の、、、おかげかな」

渡部は下を向いたまま言った

「こんなに心配してくれて、そばにいてくれたら、、、元気になるしかないよ!」

渡部は恥ずかしながらも笑顔で言った

「そうか、、、?」

「うん!それよりさぁ、桐島君の方こそ大丈夫?」

「え?何が?」

「もうすぐだよ?お父さんとお母さんがいる場所」

「あ、、、」

桐島は改めてその事を思い出した

「、、、大丈夫!覚悟は出来てる!」

桐島は自分の頬を軽く叩いた

「彼氏としてしっかり挨拶してやるよ やれば出来るってとこ見せるからな!」

桐島は緊張した面持ちだが気合いは充分だった

「あ、その事なんだけど、、、」

渡部はおそるおそる口を開いた

「ん?」

「あの~、、まあ今回は、、、友達って事でどうかな?」

「、、、え?」

「だって、、、彼氏がいるなんて言ってないし、、、」

渡部はぶつぶつと呟いた

「、、、じゃあ今回言えば良いじゃねえか」

「えぇ?でもぉ、、、なんか恥ずかしいし、、、」

「またそれかよ、、、てゆうかこんなところまで来といて、ただの友達ってのもおかしくねえか?」

「だからそれとなく、、、それとなく、ね?その内ちゃんと話しとくから、、、」

「、、、まあその方が気は楽だけど、、、」

桐島は仕方なくその話を承諾した





「あ、そうだ ちょっと桐島君のケータイで電話してもいい?」

「え?いいけど、、、どこに?」

桐島は渡部に携帯を差し出した

「お父さんに もうすぐ着くよって」

渡部は携帯を開きながら言った

「、、、えっと、、、どうやって電話するの?」

渡部は携帯を持った事が無い為、使い方が分からなかった

「もうそのまま番号を打ち込んだらいいんだよ」

桐島は横から携帯の画面を見ながら言った

「え?もう今、数字を打つの?」

「もう今、数字を打つんだよ」

「ホントに?」

渡部は疑いながら打ち始める

「あ!画面が黒くなった!」

「下に数字が出てるだろ?それが打ち込んだ番号な」

「へぇ~、、、」

渡部は感心しながら番号を入力した

素早く携帯を耳にあてがう

「、、、?これでかかってるの?」

「番号入れたな?じゃあかかってるはずだ」

「、、、ケータイ電話って分かりづらいんだね、、、」

渡部は耳に添えたまま言った

「、、、、、」

「、、、、、」

「、、、、、」

「、、、、、」

「、、、ねえ?これでいいんだよね?」

「いいんだよ プルルルって鳴ってんだろ?」

「鳴ってないよ?」

「はぁ!?」

「ほら」

渡部は桐島に携帯を渡した

「、、、これ発信してねえじゃねえか!」

「え?」

2人は一緒に画面を見る

「番号を入力しただろ?んで、ここに発信って書いてあんだろ?ここを押して初めて発信出来るんだよ」「そんなの、言ってくれないと分かんないもん!」

渡部は再び桐島から携帯を受け取った

「これ?」

「ああ」


ポチ プッ、プッ、プッ


プルルルルルル プルルルルルル


「あ、鳴ってる!」

渡部は嬉しそうに笑いながら言った

「やっとかよ、、、」

桐島は言葉とは裏腹に、無邪気に喜ぶ渡部を見て穏やかな笑顔になっていた






「、、、、、じゃあもう着くから、、、はい、、、」



プツッ



「ありがとう ケータイ返すね」

電話を切った渡部は桐島にケータイを手渡した

「、、、もう少しか、、、」

桐島は緊張した様子で息をついた

「大丈夫?」

「おう!大丈夫だ!」

桐島は少し変なテンションになっていた

(大丈夫かな、、、)

渡部は冷や汗を拭う桐島を心配そうに見ていた








そこから歩く事15分



「、、、まだか?家、、、」

桐島は必死で鼓動を抑えながら訊ねた

「もうそこ、、、角を曲がって、もう一回すぐに曲がったところだよ」

渡部は指を差しながら説明した

「ふぅ、、、そうか」

「てゆうか、、、家はもう見えてるけどね」

「え?」

「あれ、、、なんだけど」

渡部は家の方向へ指を差した

「、、、え!?あ、あれかよ!?」

「うん、、、」

渡部が指を差した家は、屋敷のような建物だった

屋根にはシャチホコのような飾り物までついている

「め、めっちゃでけえじゃねえか!?金持ちなのか!?」

「そうみたい、、、」

「あの家に住んでたのか!?」

「うん、一応、、、」

渡部はゆっくりと頷く

「へぇ~、、、すげえなぁ」

桐島は感心した様子で呟いた

「中も広いんだろ?良い家だなぁ」

「全然良い家なんかじゃないよ」

渡部は桐島の言葉にすぐに言い返した

「、、、え?」

桐島はあまりの渡部の声のトーンの違いに驚いた

「あ、、、ご、ごめん!いきなり、、、」

「いや、、、」

「ひ、広くったってさぁ!別に良い事ばっかりじゃないよ?ちょっと何かするのも遠いし、、、夜中のトイレは怖いし、、、」

渡部は言い訳するように言葉を並べた

そうこうしている間に、曲がり角についた

「あ、あとそこを曲がれば、、、あっ!」

渡部は説明の最中に声を出した

「ん?」

桐島は渡部と目線を合わせた

そこには2人の男性と女性が立っていた

「お父さん お母さん」

渡部は安心した様子で息をつきながら言った

「え、、、あ、あの人達か、、、?」

桐島は急に緊張し、声が強ばりだした

「歩 よくこれたな」

「大丈夫だった?迷わずこれた?」

父と母も安心して渡部を迎え入れた

「うん!あのね、、、友達が一緒に来てくれたの」

渡部は後ろにいる桐島を指した

「あ、、、こ、こんにちは!」

桐島は慌ただしく頭を下げる

「こんにちは わざわざごめんなさいね?」

そう言って頭を下げながら話す母の顔は、メガネをかけてない時の渡部によく似ていた 40ぐらいの筈だが幾分若く見える

「い、いえ、、、」

母が渡部に似ている事で、桐島は更に緊張した

「彼が携帯電話を貸してくれたのか?」

父は渡部に確認した

渡部は小さく頷く

「遠くからわざわざありがとう ここまで娘を送ってくれて」

父も深々と礼をする

「い、、、や、とんでもないです!勝手についてきただけなんで、、、」

桐島は、父に頭を下げられどうしていいか分からなかった

「てっきり女の子の友達だと思ってたわ 電話してきた時は」

母は少し笑いながら言った

「ああ、、、確かに」

父は咳払いをしながら言った

「お、お母さん!余計な事言わなくていいよ!」

渡部は恥ずかしそうに顔を赤くしながら母に言った

「こんな彼氏がいるなら早く言ってくれればいいのに」

「、、、ゴホン!」

母の言葉を聞き、父はまた咳払いした

「もぉ!お母さんってば!」

渡部は軽く母の肩を叩く

「、、、、、」

桐島はただただ緊張して、良くない居心地だった

「え~、、、まだ名前を聞いていなかったね」

「あ、、、し、失礼しました!き、桐島、誠哉、、、です!」

父からの問いかけに、桐島は自分の名前を噛みかけるぐらいたじたじだった

「え、、、?きりしま、、、せいや、、、?」

母は目を見開き、信じられないような表情をしている

「? はい」

桐島は不思議に思いながらも頷いた

「、、、、、」

母は呆然とした表情で桐島を見つめる

「、、、由美?どうした?」

父は、様子がおかしい母の肩をさする

「えっ、、、あ、いえ、、、なにもないわ、、、」

母はハッと我に返り、返事をした


「そうか?、、、あ、そうだ桐島君 君は、今からどうするんだ?」

「え、、、っと、とりあえず、、、テキトーに時間潰して、夜行バスで帰ろうかなと、、、」

「ふむ、そうか、、、」

父は手を顎に添え、考え出した

「良ければ、、、こっちに一泊して、明日、この子と一緒に埼玉に帰る、というのはどうだ?」

父は渡部の両肩に手を置いた

「え?」

渡部は後ろにいる父の顔を見上げる

「せっかく名古屋まで来たのにこの子を送ってそのまま帰るんじゃしんどいだろう?家は親戚が大勢集まってるから無理なんだが、代わりにホテルを用意しよう 今日中に帰ると言うなら新幹線代を出させてもらいたい」


「え!?い、いやそんなの、、、悪いですし、、、」

桐島は両手を振り、断ろうとした

「いや、頼む 何かさせてくれないか?娘をここまで送ってくれた相手に何もしないんじゃ私が情けない 大人として、お礼をさせてほしい」

父はまた深々と頭を下げた

「は、はい、、、」


桐島は流れで返事をしてしまった






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