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  作者: 外山
62/216

見送り

翌日 土曜日 9時37分


桐島は待ち合わせ場所の駅前に来ていた


「どう考えても早く来すぎたよな、、、」

桐島はベンチに座り、周りを見渡していた

「まあ流石に、、、新幹線があるような駅前なりに、ケッコー栄えてんな、、、」

そんな事を呟いていると、桐島の視界に見覚えのある人影が現れた

「あ、、、桐島君」

そう言いながら駆け寄ってきたのは渡部だった

片手でトランクを転がしている

「あれ、、、10時だよな?待ち合わせは」

桐島は時計を確認しながら言った

「うん でも、、、桐島君がもう来てそうな気がしたから」

渡部はニコッと笑いながら言った

「え、、、そ、そか?」

桐島は渡部の笑顔にドキッとしながら答える

「はぁー、ちょっと疲れちゃった」

渡部はベンチに座り、トランクを横に立てかけた

「ほら、桐島君も座ろ?」

渡部はポンポンとベンチを叩いた

「まあいいけど、、、駅ん中入っといた方がいいんじゃねえの?」

桐島は駅を指差しながら言った

「え?」

「その方がすぐ行けるしな」

「、、、い、いいじゃない ここで休も?見晴らしもいいし!」

渡部は少し慌てた様子で言った

「、、、そうか?」

桐島は景色を見ながら言った 道路が広がっているだけで特に何も見えなかった

「つ、疲れたの!ちょっとくらいいいでしょ!」

渡部はそう言うとスネたように顔を背ける

「、、、ま、いいか」

桐島は首を傾げながらも横に座った








それから30分ほど、何気ない雑談をしていた



「、、、ん?おい渡部 もう10時過ぎてっけど」

「え?そうなんだ」

2人は互いに時計を確認する 時刻は10時9分だった

「新幹線は何時のに乗るんだ?」

「ん、、、まだ大丈夫だよ」

「え?いや何時なんだよ?」

「、、、10時台のだけど、、、」

渡部は言葉を濁し、時間を言いたがらない


「、、、いくぞ」

桐島は立ち上がりながら言った

「え?だ、大丈夫だよぉ」

「じゃあ何時だよ?」

「えっと、、、10時14分、、、」

「もうすぐじゃねえか!早くいくぞ!」

桐島はトランクを持ち、小走りで向かった

「あ、ま、待ってよ~!」

渡部はトランクを持つ桐島を追いかけた









2人はホームに入り、乗る予定の新幹線の前に着いた


「はぁはぁ、、、間に合った、あと2分、、、」

桐島は息切れしながら時間を確認した

「そ、そんな走らなくても、、、はぁはぁ、、、」

「何言ってんだよ!ギリギリだったじゃねえか!」

「うぅ、、、ごめん、、、」

渡部は下を向いてシュンとなってしまった

「、、、ま、まあいいからさ もう乗っとけよ?」

「うん、、、」

渡部はゆっくり頷いた

「、、、、、」

「、、、、、」

「いやだから乗れって!」

「わ、分かってるよぉ!席が分かんないの!」

「席、、、そんなもんとりあえず乗ったら分かるんじゃねえの?」

「そうかもしんないけど、、、」

「とりあえず、切符は?」

「、、、、、」

渡部は懐から切符を取り出した

桐島はその切符の席の番号を見る

「、、、お、ちょうどこの車両だな」

桐島は目の前の車両を指した

「ほら、あとは分かるだろ?」

桐島は渡部にトランクを渡した

「う~ん、、、」

渡部は新幹線の中を出入り口から覗き込む

「、、、ああもう!分かったよ!席見つけてやるよ!」

「あ、、、」

桐島は渡部の切符を取り、新幹線の中に入った

「なんかやたら空いてんな、、、え~っと、、、」

桐島は切符の番号と席の番号を確認していく

「、、、これで、、、これで、、、あった!これだろ!」

桐島は指定席を見つけ出し、指を差した

「ここかな、、、?」

「ああ」

桐島は渡部に切符を返し、その席に座らせた

「じゃあ俺は帰るから なんかあったら連絡しろよ?」

「うん、、、」

「じゃあ、また月曜日 学校でな」

桐島はそう言いながら手を振った



-ドアが閉まります-ご注意ください-



新幹線内にアナウンスが流れた

「え、、、あっ!」

桐島は慌ててドアまで走った



パァーン、、、、、



新幹線はゆっくりと進行を始めた

「う、、、嘘だろおい、、、」

桐島はドアの前で打ちひしがれていた


「き、桐島君、、、」

渡部は桐島のもとに駆け寄った

「、、、、、はぁ」

桐島は大きくため息をついた






指定席だったがかなり空いていた為、桐島は渡部の隣に座っていた

「どうするの?桐島君、、、」

渡部は心配そうに桐島に訊ねる

「どうするも何も、、、はぁ、どうすっかな、、、」

桐島はまたため息をつく

「、、、ごめんね 私のせいで、、、」

渡部は申し訳なさそうに下を向いた

「、、、そ、そんな事ねえって!気にすんなよ!」

「でも、、、」

「大丈夫大丈夫!どうせ東京で止まるんだからよ!そっからならすぐ帰れるし!」

「、、、そうかな、、、」

「まあ今日1日暇だったし ちょうど良かったよ」

「、、、そっか」

渡部は安心したように息をついた




30分もしない内に東京に着いた


「すげえ早いんだな あっという間じゃねえか」

桐島は窓から東京駅を見る

「、、、、、」

「? どうした?」

やはりずっと元気のない渡部が桐島は気になった

「う、ううん!なんでもない ちょっと酔っちゃっただけ!」

「新幹線で酔うか?普通」

桐島は不思議そうに言った



「じゃあ俺はここで降りるから 気つけてな?」

桐島は席を立ちながら言った

「うん じゃあまたね」

「ああ」

桐島はそういうと新幹線を出た

「、、、、、」

渡部は新幹線を出て歩いていく桐島を見つめていた

「、、、、、」

渡部は、急に寂しい気持ちになってきた




-ドアが閉まります-ご注意ください-




新幹線のドアは閉まり、進行を始めた




「、、、、、」

渡部はぼーっと外の景色を眺めていた

(、、、桐島君、、、)

渡部は何故か、涙が出てしまいそうな程に心細かった


「横座るぞ」

渡部の隣にドカッと男が座った

「は、、、え!?」

渡部はそちらを振り返り驚いた

横に座ったのは桐島だった

「ふぅ、、、なんとか間に合った、、、」

桐島ははぁはぁと息を切らしながら言った

「え、、、ど、どういう、、、」

渡部は現状を理解出来なかった

「今な、改札まで戻って新幹線の切符買ってきた」

桐島は渡部に切符を見せる 席の番号は渡部の隣だった

「なんで、、、?」

「なんでって、、、そりゃ心配だろ そんなに元気なかったら」

「、、、、、」

渡部はぐっとこらえる様な表情で下を向いた

「、、、ごめんね、、、ごめん、、、」

「何がだよ 俺が勝手にしただけ、、、って、なんで泣いてんだよ!」

「ふぇ、、、?あ、、、」

渡部は自分が泣いている事に、言われてから気づいた

「わ、わりぃ!そんなに迷惑だったか!?」

「へ、、、?ち、ちが、、、」

「よく考えりゃそうだよな、、、法事についてこられるなんて、、、わ、悪かった!」

桐島は必死で渡部に謝った

「うぅっ、、、うぐ、、、」

だが渡部の涙は止まらなかった

「すまん!な、泣かないでくれよ、、、」

桐島はどうしていいか分からず困惑していた

「ち、ちがうよ、、、ふぐっ、、、うぅ、、、」

(嬉しいの、、、そんなに想ってくれてる事が、、、)

「な、なんなら次のとことかで降りるから!な!?」







何はともあれ、桐島、渡部の2人は名古屋に向かう事が決まった




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