宝探し
掃除を15分で終わらした桐島と九頭は、最初の山のふもとに戻り地図を確認していた
「はぁはぁ、、、よし、現在地がここだ」
「おう!」
桐島は九頭に地図を見せながら言った
「この地図の通りに進めば、この×地点にたどり着くはずだ」
「この×地点には、お宝があるんだな!?」
「ああ!んじゃ行くぞ!」
「おう!」
2人は気を引き締め、山へと足を踏み入れた
2人は×地点にたどり着いた その場所は山の中だが少し平らに広がっていた
「、、、?何もないぞ?」
九頭は周りを見渡しながら言った
「ばーか、こういうのは大抵の場合は埋まってんだよ」
桐島はもう一度地図を開いた
「しかも裏面に細かい場所も書いてある」
桐島は地図の裏面を九頭に見せる
「んん?」
【中心 直径2メートル20センチ 深さ 2メートル20センチ】
「? どういう意味だ?」
九頭は意味が分からず首を傾げる
「つまりだ、2メートル20センチ下に、横のでかさが2メートル20センチのお宝が眠ってるって意味だ!」
桐島は身振り手振りをつけながら説明する
「おー!すっげー!」
九頭は目を輝かせた
「さらに!ラッキーな事にそこにスコップが転がってる!」
桐島はビシッと2つのスコップを指差した
「しかもちょうど2つ!」
九頭はスコップを拾い、桐島に差し出した
「ああ、、、運は俺達に向いてきている!」
桐島はスコップを受け取り、地図を懐にしまい込んだ
「おっしゃー!さっそく掘るぞー!」
九頭は平らに広がっている地面の中心辺りにスコップを差し込んだ
「ああ!お宝見つけたら山分けだ!」
桐島も九頭に負けじと地面を掘りだした
45分後
先ほどまで平らだった場所の中心には大きな穴があいていた
「はぁはぁ、、、ふぅ、よし、一回休憩するか?」
桐島は汗を拭い、息をつきながら穴を出た
「お、おう、、、そうだな、、、」
九頭もかなり疲労しているようだ 桐島と同じように穴を出た
2人は少し穴から離れ、座っていた
「なぁなぁ これでどれぐらいなんだ?」
九頭は穴を指差しながら桐島に訊ねる
「まあ、、、見た感じじゃ半分ぐらいだろうな、、、1メートルちょっとってとこだ」
「へぇ~、、、じゃああと半分掘れば、お宝が見えてくるんだな!」
「ああ!このペースで行けば2時間にもギリギリ間に合うはずだ!」
桐島と九頭はまた顔を見合わせ、決心を固めた
更に40分後
「はぁはぁ、、、」
2人はひたすら汗を拭いながら掘り続けていた
「くそ、、、そろそろ時間が無くなってきたな、、、」
桐島は携帯を開き、時間を確認する
「なぁ、まだ見えてこないのかよ?」
九頭はスコップにもたれながら訊ねる
「もうちょいだろ 多分2メートルは来てるはずだしな」
穴の深さは2人の身長より高くなっていた
「あともう一押しだ 一気に掘るぞ」
「おう!」
2人は最後の体力を振り絞り、スコップを握りなおした
更に10分
「はぁはぁ、、、おい桐島ぁ、まだ見えねえのか?」
九頭はもう体力の限界のようだ
「はぁはぁ、、、確かに、そろそろ見えねえとおかしいよな」
桐島はポケットから地図を取り出す
「、、、合ってるはずだよな、、、仮に宝じゃなくたって何かがあるはず、、、」
桐島は地図を見ながらもう一度考え直していた
ブロォォ、、、
すると山のふもとから自動車の音が聞こえた
おそらくトラックのような大きい車だった
「? 桐島、なんか来たぞ?」
九頭は山のふもとを見ながら言った
「やっべえぞ!宝を横取りしにきやがったかもしんねえ!」
「なにぃ!?」
「てゆうか俺達が横取りしにきたようなもんだからな、、、あいつらが上がってくる前に宝を掘り出しちまうか、最悪でも見つけるぞ!触っちまえばこっちのもんだ!」
「お、おう!そうだな!」
九頭はまた穴に飛び入り、掘り進めだした
ザッザッザッザッ!
2人は今までで一番の勢いで作業に取りかかった
「くそっ!なんで見えてこねえんだよ!」
桐島は上にあげた土が頭に落ちてくるのも気にせず掘り続けた
「おい!お前たち!何をしている!」
穴の外から声が聞こえてきた
「っっ!?」
2人は同時に上を見上げた
上にいたのは進級担当の教師だった
「掃除をしてくれたみたいだが、、、なぜ穴を掘っているんだ?」
「うるせー!お宝は俺達のもんだからな!」
九頭は必死になって叫んだ
「お宝?」
「とぼけんなよー!ここにお宝があんのは分かってんだよ!なぁ桐島!」
「ああ」
桐島は深く頷いた
「?」
教師は2人の話が皆目見当つかなかった
2人は穴を出て、こうに至るまでの経緯を教師に説明した
「ふむふむ、つまり、私が誤って落としたこの地図を発見し、山の中にあるこの×印に目をつけた訳だ」
教師は2人の言葉をまとめながら話を聞いていた
「ああ、裏にもホラ、深さとか書いてあるしよ」
桐島は裏面を見せ、文字の部分を指差した
「ああ、確かに書いてあるな」
「だろー!?つまりこの深さに、この大きさのお宝があるって事なんだろ!?」
九頭は教師を穴に近づけさせまいと警戒していた
「結論からいうと、全く違う」
教師はズバッと言い切った
「な、、、じゃ、じゃあなんなんだよ!」
桐島は紙をバンッと叩きながら言った
「だが穴を掘ってくれたのは助かった 手間が省けたよ」
教師はニヤリと笑いながら言った
「う、、、や、やっぱりお宝があるんだな!?」
九頭は警戒を緩めなかった
「オーライ!オーライ!」
すると、クレーン車のような車が山の道を登ってきているのが見えた
「、、、?」
桐島と九頭は不思議そうに見ている
「、、、まあ見ていなさい、、、」
教師は桐島と九頭を後ろに引かせた
「オーライ、、、ストップストップ!右!右!」
外から指示を出す作業員は大声を出しながら身振り手振りでクレーン車の向きを定める
クレーン車と言っても、通常のクレーンとは形が違ってハサミのようにモノを挟む形になっていた
その部分で、大きな大きな一本の木を掴んでいた 根元はギュッと丸く丸めてあった
「木、、、?」
「なんで木が、、、?」
九頭と桐島は大木を眺めながら言った
「あの木はな、、、樹齢200年の木なんだ」
「200年!?」
「200歳って事か!?」
桐島と九頭はすぐに聞き返した
「ふふっ、そういう事だ」
教師は無垢な反応を見せる2人に笑顔で答えた
「オーケイ!そこです!じゃおろしてください!」
作業員は身振り手振りで指示を出す
桐島と九頭が開けた穴に大木はゆっくりと吸い込まれる
「なんでここに植えるんですか?元々はどこに?」
桐島は大木を見たまま教師に訊ねる
「、、、この木があった場所はある地方の山だったんだがね、、、高速道路を作る為に、切り崩される事になったんだ」
教師も作業を見たまま話し始めた
「しかし近所の住民は山の切り崩しには大反対でね まあ色々と揉めたらしい 特に住民が反対する理由はこの大木があったからなんだ」
教師はゆっくりとこの大木を指差した
「この木は、住民にとっては神木のようなモノでね 何かがある度、お願い事しにいったり、祈りにいったり、初詣もこの木を中心に行うそうだ それほど住民にとっては信ずるべきモノだったんだ」
教師は指を差していた手を下げた
「だからと言って国が決めた高速道路建設には逆らえない、、、ならばせめて、せめて、、、この大木だけはなんとか生かしてやれないか、、、住民達はそう考えた」
桐島と九頭は教師の話を聞き入っている
「そして、、、住民達が全てを負担し、大木の移動をさせる決心をしたのだ!」
教師は少し語り口調になり、拳を握りしめた
「本当は、、、移動もさせたくなかったろう、、、なんならこの地で果ててしまうのがこの木の幸せなのかもしれない、、、住民は色んな事を考えた だが結果、見知らぬ地へ移動させる決心をした 何故だか分かるか?」
教師は2人に問いかけた
だが2人は何も言えなかった
「、、、見知らぬ地だろうとまた、、、この大木は神木として崇められるだろうと確信していたからだ、、、」
大木は、2人が掘った穴へきれいにおさまった
「住民が200年もの間で築いた歴史は、、、また違う場所で築かれていくんだと信じていたからだ」
丸めてあった根は、手作業で丁寧にほどかれていく
「なぁ、桐島、、、九頭、、、どうだ?」
教師は優しい笑顔で大木を植える作業を見ている
「、、、、、」
「、、、、、」
「確かにここにはお前らが思っていたようなお宝はない、、、だがな?この、、、200年間、人と共に成長してきた大木、、、こいつの新たな一歩を手伝えた、、、その経験こそが、何よりの宝になるとは思わないか?」
教師は2人の肩にポンと肩を置いた
「思わねえよボケ ナメてんじゃねえぞ」
桐島は紙切れ(元地図)を地面に投げ捨て、山を下り始めた
「なぁー桐島!ホントにお宝ないのかよー!」
「ねえよ!」
2人は軽く言い争いながら山から去っていった
「、、、ふぅ」
教師は一息ついていた
「あ、邪魔なんでどいてください」
「す、すいません、、、」




