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  作者: 外山
57/216

卆壬大学



ある日の昼休み


ピンポーン


校内放送の合図がなった


〔1年2組の桐島 1年2組の桐島 今すぐ職員室まで来なさい〕

「え、、、俺?」

昼食を終え、教室で一眠りしようとしていた桐島はダルそうに顔を上げる


同じ内容が繰り返され、校内放送は終わった


「なんだよ なんかしたのか?」

野波佳は心配そうに桐島に訊ねる

「なんもしてねえよ」

桐島はゆっくり立ち上がった

「なんだろうね、、、退学とか?」

「なんでいきなり退学にならなきゃなんねえんだよ!」

桐島は徒仲にツッコミを入れながら教室を出る




(なんだろ、、、気になるな、、、)

渡部は考えてみるが全く分からない

「まあだいたい見当つくけどな」

外山はいつものようにパソコンをイジリながら言った

「え?」

渡部はパッと外山を見る

「私も」

北脇も頷きながら言った

「お前も!?」

九頭もパッと北脇を見る

「多分だけどね」

「まあ時期としちゃちょっと遅いかもしれねえけど、、、」

「なになに!?教えて!」

渡部は2人にすがるように訊ねた


外山はパソコンの手を止め、渡部の方を見た

「あくまで予想だけどよ、、、」



「え?このままじゃ進級出来ない?」

「ああ、このままじゃ、な」


桐島と教師はそんな話をしていた

「このままというか、来週に学年末テストがあるんだがそこでまあまあの点を取らんと厳しいな お前は1学期2学期ととにかくテストの点数が悪い」

「いやでも、、、毎日来てるし、、、」

「休まず来るだけで進級出来るほど甘くはないぞ 提出物も出が悪い、授業態度も良くない」

「う、、、」

ズバズバ核心をつかれ、桐島は何も言い返せなかった

「細かい事は各教科の担当の先生に聞いてくれれば良いが基本的には全教科、テストでマシな点を取れば良いと言ってくれている」

「マシな点って、、、どれぐらいですか?」

「ふ~む、、、まあ最低ラインは、、、45点ってとこだろうな」

「45、、、、、」

桐島は過去にテストで45点以上取った事があるかどうか思い出そうとしていた









「って感じでよぉ、、、もうやべーよ、、、」

桐島は教室に戻り、うなだれていた

「こんな学校でなんで進級の危機に陥るんだよ」

外山は心底不思議そうに言った

「つうか、お前と紗菜とかは賢いのになんでこんな学校来たんだよ?もっと良いとこ行けただろ?」

桐島は以前からの疑問をぶつけた

「あ、それは俺も気になってた 教えてくれよ」

野波佳も頷きながら言った


「近いから」

外山と北脇は声を揃えて言った

「、、、あ、そうか」

桐島は少し期待はずれというか拍子抜けした気分だった

「私らも似たようなモンだよねー!」

徒仲はニコニコ顔で渡部に言う

「そうだね 近いし、毎年定員割れしてるしね」

渡部は徒仲と同じように笑顔でこたえた

「なんかリアルな話だな、、、」

桐島は生臭そうな表情をする

「てゆうか、また放送入るでしょ?」

北脇は教室の前方上部に設置してあるスピーカーを指差した

「え?なんでわかるんだ?」

九頭は不思議そうな表情で訊ねる

「お前が一番分かるだろ?」

外山は九頭の肩に優しく手を置いた


ピンポーン


北脇の言う通り校内放送が入った


〔1年3組の九頭 1年3組の九頭 今すぐ職員室まで来なさい〕



「ほらね」

北脇は九頭を見ながら言った

「え、、、ヤだな、、、行きたくないな、、、」

九頭は急に暗い表情になった

「諦めろよ」

野波佳は優しく肩を叩く

「はぁ~、、、なんでだよ~、俺って桐島と同じぐらい頭悪いのかぁ~?」

「俺の方がマシだ!」

九頭はしゃがみ込み、ため息をついた

「もぉ、めんどくさいわね~」

北脇はしゃがんでいる九頭の肩を指でつつく

「危ないなら勉強ぐらい教えたげるから さっさと行ってきなさい」

北脇は呆れた表情で言った

「ホントか!?」

九頭はパーッと明るい顔になり、立ち上がる

「お前が教えてくれるならヨユーだなー!じゃ!行ってくる!」

「はいはい」

北脇が軽く返事を返すと、九頭は意気揚々と教室を出ていった








その日の放課後 教室


桐島と九頭は、北脇と共に試験範囲の勉強をしていた

「とりあえずここまでね 分からなかったからいつでも訊いて」

北脇は2人の前に座った

「、、、いざやるとなるとやっぱり嫌だな、、、」

九頭は隣に座っている桐島に言った

「ああ、、、つかみんな帰っちまったけど、、、」

「そりゃそうよ みんなはちゃんと進級出来るから」

「、、、ホントかよ?焦栄とか別に賢い方じゃねえはずだけどな、、、渡部も」

桐島は不思議そうに首を傾げる

「あの2人はなんだかんだしっかりしてるわよ 誠哉よりは」

「、、、、、」

冷たく言い放つ北脇に桐島は何も言い返せなかった







2人が北脇の指示通り勉強をしていると、教室に浜と片岡がやってきた

「む?お前ら何をしている?」

浜は訊ねながら3人の近くまで来る

「勉強してるんです この2人が進級危ないので」

北脇は分かりやすく言った

「へぇ~、お勉強してるのね~、偉いわね~」

片岡は桐島と九頭の頭を撫でる

「なんか綾ちゃんに撫でてもらったら良い気分だなー!」

「そうか?」

九頭はほんわかした笑顔で言ったが桐島はしっくりこなかった

「いいからさっさとする!」

北脇は九頭の机を叩いた

「ひぃっ!」

九頭は慌ててシャーペンを握り、問題集に向かった


「そういえば、お2人は進路はどうなされるんですか?とっくにお決まりかと思うんですが、、、」

北脇は桐島と九頭の勉強を見ながら2人に訊ねた

「ええ 決まってるわよ~ 同じ学校に行くのよね~」

片岡は何故か浜に向かって言った

「大学ですか?」

「うむ 卆壬大学に行く予定だ」

浜は頷きながら言った

「、、、え、え~!!?卆壬ですか!?」

北脇は思わず大きな声を出してしまった

「な、なんだよ!ソツミって!?」

九頭は大声を出す北脇に驚きながら訊ねる

「バ、バカ!知らねえのか!?俺もあんま知らねえけど、とりあえずすげえ賢いとこなんだよ!」

桐島もつられて勢いで喋った

「すごいですね、、、卆壬ですか、、、」

北脇は噛みしめるように呟く

「うむ」

「そんなに誉められると照れるわ~」



ガシャーン!!


そんな話をしていると教室の扉が勢い良く開いた

「はぁはぁ、、、ちょっと何してるんですかっ!!」

瞬だった 走ってきたのか、息切れしながら浜と片岡を見ている

「うむ 勉強している」

「勉強してるのよ~」

2人は何食わぬ顔でこたえた

「何言ってるんですか!!大学の事で職員室に呼ばれてたじゃないですか!!」

瞬は2人のもとまで駆け寄った

「ふむ、そうだったか?」

「さぁ~?覚えてないわ~」

「いいから行きますよ!!」

瞬は2人の手を引き、教室を出て行った


「、、、忙しそうだな」

桐島は教室の外の方を見ながら言った

「そっか~、卒業したら薫姉さんも綾ちゃんもいなくなっちゃうのか~、、、」

九頭は寂しそうに天井を見ながら言った

「そうね、、、」

北脇も妙に寂しげな気持ちになっていた



ガラガラ


すると、また教室のドアが開いた

「あれ~?ここにもいないな~」

安川は困った様子で頭をかいた

「? どうしたんですか?」

「おー紗菜ちゃん 純見なかった?」

安川は片手を上げ、軽く挨拶する

「瞬さんならさっき来ましたけど、、、浜さんと片岡さん連れて職員室に行きました」

「あ、そう?じゃあ、、、ん~、まあいっか」

安川は教室に入り、北脇の隣にある椅子に座った

「何してんの?勉強?じゃあさ、私も一緒にしていい?」

安川は近くの机を引き寄せた

「実はさ~、私もちょっと危ないんだよね だから純に勉強教えてもらおうと思ってたんだ」

安川はカバンの中からノートや教科書を取り出す

「別にいいけど、邪魔はしないでくださいよ」

「真奈美ちゃんって勉強出来なさそうだもんな~」

2人は問題集を書き進めながら言った

「あんたらに言われたくないわよ!」

安川は言い返しながら教科書を開く


「あ、さっき聞きましたよ」

「へ?」

北脇の言葉を安川は聞き返す

「浜さんと片岡さん、卆壬大学に行くんですよね?」

「え?ああ~、そうだね、、、」

安川はぎこちない笑顔でこたえる

「、、、?」

桐島はその安川の様子を不思議そうに見ていた

「すごいですよね!あのお2人って卆壬大学に行けるほどすごい人達だったんですね~、私、全然知らなかったんで」

「、、、ホント、なんであんなに賢いんだろうね、、、」

安川はため息まじりに呟いた

「え?」

北脇はふと聞き返した

「、、、ううん、なんでもない!ホントすごいよねー!あの2人は!」

安川はいつもの明るい笑顔でこたえた

「学校もさ、、、もう卒業式まで来ないんだって 今日は少し話があるから来ただけだってさ」

「確かに、、、3学期はもう全然来てなかったですよね」

北脇はここ1ヶ月半を思い出しながら言った

「、、、まあ、ついに私らの時代って感じよねー!」

安川は北脇の肩をバシバシ叩く

「しょ、小学生じゃないんですから、、、」







話を終えた浜と片岡は昇降口で靴を履き替えていた

「全く、、、分かり切ってる話を何度聞かされなきゃならんのだ?」

「仕方ないわよ~、こんな学校から2人も卆壬に進学するなんて初めてでしょうしね~」

「トゲのある言い方だ、、、」


2人は昇降口を出て校門に向かって歩いていた

「そういえば綾 お前、なんで南涯高校を選んだんだ?」

「え~?どういう意味かしら~?」

「お前ならもっとレベルの高い高校に行けたんじゃないかと思ってな」

「そうね~、やっぱり近いからかしら~」

片岡は指を顎に添え、考えながらこたえた

「薫ちゃんは~?」

「、、、私は、、、」

浜は少し下を見ながら考え始めた

「、、、、、」

「、、、?」

片岡は思わず浜の顔を覗き込む

「、、、まあ理由は、、、殆どお前と一緒になるな」

浜はゆっくりとこたえた

「殆ど?一緒になる?」

片岡は浜の言い回しに違和感を感じた

「ああ、、、」

2人はゆっくりと校門を出た


「先輩!」


校内から2人を呼ぶ声がした

「?」

浜と片岡は校門の外から振り返った

2人を呼んだのは瞬と安川だった

「3年間!お疲れ様でした!」

瞬は両手を口に添えながら言った

「また次の4年間も頑張ってくださいね!」

安川も同じようにして言った


「うむ まあそれなりに頑張るつもりだ」

「2人も頑張ってね~」

浜と片岡がそう答えると、瞬と安川は上を見た

「?」

浜と片岡もつられて上を見る



バラバラバラバラッ!!!



すると屋上から垂れ幕が広がった



【卆壬大学入学おめでとうございます】


と、縦書きで書いてあった


「な、、、」

「ま~、、、」

浜と片岡は目を見開き、驚いている


「おめでとうございます!」

「卒業式じゃこういう事は出来ないんで!」

瞬と安川は上手くいった事が嬉しくてたまらないようだ 笑顔で手を振っている


「、、、ふっ、バカな奴らだな」

浜はそう小さく呟き、歩き出した

「、、、、、」

片岡は垂れ幕を見た後、瞬と安川を見た

「、、、ふふっ」

(なるほど、、、そういう事ね、、、)

片岡は浜の隣にまで駆け寄った

「私、薫ちゃんがこの高校を選んだ理由、なんとなく分かった気がするわ~」

片岡はニヤニヤ笑いながら浜に言った

「む、、、理由ならさっき言っただろう」

「そうよね~、近いからよね~ この辺りの子は大体みんな入ってくるわよね~」

「、、、むぅ、、、」

片岡は浜の困っている様子をニヤニヤしながら眺めていた





「なぁ~桐島~、いつまで持ってればいいんだよ~ 屋上さみぃよ~」

「知らねえよ、、、瞬さんか安川さんに聞け、、、」





「あの3人、トイレにしちゃ長いわね、、、しかも3人とも、、、」





【卆壬大学】


東京に位置する大学

日本で最も入学困難とされる学校

スポーツ、文学ともに力を入れており、文武両道をモットーとしている


付属の高校、【卆壬大学付属高校】がある

こちらも文武両道をモットーとしており、スポーツでは特に陸上に力を入れている

陸上でのライバル校、同じ東京の【陵葉高校】とは常に切磋琢磨している


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