優先順位
放課後
キーンコーンカーンコーン
授業が終わり皆、帰宅や部活の準備を始める
桐島は隣の席の渡部に声をかけた
「渡部、今日ヒマか?」
「え?ううん 麻癒との用事がちょっとあるんだけど、、、」
「あ、そうか?じゃあまあいいけど」
するといきなり徒仲が2人の間に入ってきた
「残念でしたー!そう簡単に歩ちゃんはあげないよーだ!」
徒仲は舌を出して桐島を挑発する
「う、うるせえな!」
「ごめんね!また今度ね!」
「ああ、、、」
渡部は謝りながら徒仲と共に教室を出た
「、、、、、」
桐島は1人、昇降口で靴を履き替えていた
「キリシマーン!どったの?暗い顔して?」
すると安川がやってきた 安川も帰るところだったようだ
「、、、いや別に てゆうか今日は瞬さんとか一緒じゃないんですか?」
「うん ほら、ウチの先輩2人はなんかだらしないとこあるじゃない?大学の手続きとか確認も全然しないから純が世話焼いてるみたい」
「ふ~ん、、、」
(そういや、初めて浜さんと会った時も、瞬さんが世話してたな、、、)
桐島はぼーっと当時を思い出していた
「、、、てゆうかさ、キリシマン本当元気なくない?」
安川は桐島の顔を覗き込む
「そうかもな、、、なんでかはよく分かんないですけど」
「あ、もしかして、最近あゆみんと一緒に帰ったりしてないからでしょ!」
「は、はぁ!?テキトーなコト言うな!」
桐島はすぐに否定した
「毎日断られてるんだ!」
「、、、ま、まあそれは事実ですけど、、、」
桐島は悔しかったが認めるしかなかった
「前から思ってたんだけどさぁ、実際どうなんだろうね?キリシマンとあゆみんって」
「? どういう意味ですか?」
「2人の関係性っていうかさ、なんていうのかな~」
安川は頭を悩ませる
「恋人同士だと思いますけど、、、」
「そうじゃなくて!えっとね~、、、互いの優先順位っていうのかな」
「え?」
「みんなそれぞれ何にでも優先順位ってあるじゃない?」
「、、、まあありますね、、、」
「あゆみんの優先順位の一番は、果たしてキリシマンなのか!?って事よ」
「え、、、、、」
安川の言葉は、思っていたより桐島の心に刺さった
「もしかしたら麻癒ちゃんかもしれないし、家族なのかもしれないし、、、キリシマンの順位が私や外山君より低いかもしれないし」
「え、えぇ、、、外山と安川さんより低いんすか、、、それキツいな、、、絶対ヤだな、、、」
桐島は想像してみるとかなりへこんだ
「なんか失礼だけどまあ見逃すわ でも実際、今日だって麻癒ちゃんと帰っちゃった訳でしょ?」
「、、、いやでもそれは、俺の方が後から言ったから、、、」
「ふ~ん、じゃあもしあゆみんが外山君と約束事してたらキリシマンの誘いを断って外山君の方行っちゃうんだ」
「え、、、」
「それでもいいって事よね?」
(極論、、、っていうかちょっとズレてるけどね)
そう思いながらも困ってる桐島が面白かったので安川は言うのを止めなかった
「、、、そ、そう、、、カナ ははは、、、」
桐島はヘコみながら笑った
「、、、、、」
(ちょっと可哀想だったかしら、、、)
安川は青ざめた桐島を見て少し罪悪感を感じた
「、、、ま、まあ今週の土曜日よ!その日さえおさえてれば大丈夫よ!」
「、、、?なんでですか?一応その日は渡部に誘われたからどっか行く予定ですけど、、、」
「え?あ、じゃあ問題ないじゃない!」
「、、、はぁ、、、?」
桐島はしっくりこない様子だった
「、、、もしかして、分かんないの?どういう日か」
安川はおそるおそる桐島に訊ねる
「、、、え~っと、、、渡部の誕生日は7月2日で、俺の誕生日は5月23日なんですけど、、、」
「あんたの中でイベントは誕生日しかないの!?」
安川は桐島に怒鳴りつけた後、ため息をついた
「2月14日よ?バレンタインデーに決まってるじゃない」
「、、、え?、、、ああ そういえば、、、」
桐島はやっと思い出した様だった
「、、、あのねえ、キリシマン 気をつけた方がいいわよ?」
安川は桐島の鼻先に指を立てながら言った
「? 何が?」
「バレンタインとか、クリスマスとか、そういうイベントは大事よ?もちろんキリシマンがやたらと気にしてる誕生日もね?」
「、、、ふ~ん、でもそんなん毎年誰にでも来るもんだしな、、、」
「ダメ!それがダメなのヨ!」
安川は指を立てたままブルブル首を振った
「女の子はね?そういう日を大事にしたいのよ 好きな人と過ごす特別な日 それを何より大切にしたいの!」
「ふ~ん、、、」
桐島と安川は昇降口を出て、校門付近を歩いていた
「だってせっかく特別な日があるのにそれを大事にしてくれないんじゃサ、愛されてる気しないじゃん!どこのカップルもしてるのに、自分達だけしてないのよ?」
「、、、そう聞くと確かにそうだ」
桐島はやっと安川の話に納得した
「あゆみんもきっと、特別な日だと思ってるからさ キリシマンもちゃんとするのよ?」
「はい なんか良い事聞いた気がするな」
桐島は先ほどまでの暗い表情はなくなり、明るい笑顔になっていた
「そう?」
「ああ じゃあまた」
桐島は分かれ道で安川と別れた
「オーオーかわいいヤツねぇ」
安川は笑顔で小さく手を振っていた




