画
初詣の日
桐島と渡部は2人で賽銭箱の前でお願い事をした
「よし、んじゃそろそろみんな探そうぜ 徒仲とかは必死で探してっかもな」
桐島は後ろを振り返り、人ごみを見渡した
「、、、うん」
渡部は何か言いたそうに頷く
「、、、?どうかしたか?」
桐島は何気なく渡部に訊ねた
「、、、うん あのね、、、その、、、」
渡部は言いづらそうにモジモシしている
「?」
「、、、私達が付き合ってる事、、、みんなに言う?」
渡部は桐島の顔色をうかがいながら訊ねた
「え?、、、う~ん、分かんねえけど、、、」
「内緒にしておかない?」
「まあ別に、、、てゆうかなんでだよ?」
桐島はわざわざこだわる渡部の気持ちがよく分からなかった
「な、なんか恥ずかしくない?そういうの、、、」
「、、、なんだよ 俺と付き合ってんのが恥ずかしいのか?」
渡部の言い回しに桐島は少しカチンときた
「そ、そうじゃないよ!ただ、その、、、なんか恥ずかしいの!」
「俺は別に恥ずかしくねえ!」
「私は恥ずかしいの!」
水掛け論だが互いに簡単には引きそうになかった
「、、、それに、想像してみてよ、、、外山君とか、紗菜ちゃんとかに知られたら、、、」
「え、、、?」
桐島は試しに想像してみた
事ある毎に、、、
『はいはい ようするに渡部loveなんだろ』
『わかったわかった つまり歩さんが好きなんでしょ?』
『はい出ました~、やっぱ彼女がいるヤツは違うな~』
『そんな顔して歩さんの事ばっか考えてんでしょ?気持ち悪いわね』
※あくまで桐島の妄想です
「、、、ちょっとヤだな、、、」
「ね?でしょ!?」
桐島はいつになく弱気だった
「その2人からはせいぜいからかわれるだけでしょ?でも桐島君の場合、野波佳君に知られたら、、、」
「しょ、焦栄か、、、」
桐島は渡部に言われた通り、野波佳バージョンを想像した
『そ、、、そか、じゃ、じゃあまたな、、、』
『冥名中学に不良の歴史残した桐島誠哉も、女1人で変わっちまうもんだな、、、』
『い、いや俺に電話しなくていいからさ、、、渡部にでもしてやれよ じゃな、、、ブチッ』
※あくまで桐島の妄想です
「、、、一番キツいな、、、ちょっと引いてんもん アイツ、、、」
桐島は真冬だがダラダラ汗が出てきた
「でしょ、、、じゃあとりあえずみんなには秘密にしておこ?」
「そうだな、、、他にもからかってきそうな先輩方もいる事だし、、、」
「だよね とりあえず落ち着く時期になってからにしよ?みんなに言うのは、、、」
「おう 分かった」
そして現在
「なぁーなぁー どうなんだよ?」
何も答えない2人に九頭はしつこく訊ねた
(マズいな、、、九頭だけなら大丈夫だけど、コイツ、口止めしても絶対広めるだろうしな、、、)
桐島は唇を噛みながら考えた
「な、なんでそう思ったの?」
渡部はとりあえず質問で返した
「なんか仲良さそうだし!前から気になってたんだよ なんとなくだけどな!」
「そりゃ仲良いだろ」
桐島はパッと返した
「え?」
「別に俺は徒仲とも北脇とも仲良いぞ?先輩達ともだ」
「、、、う~ん、そういえばそうだな~、、、同じか~、、、」
九頭は腕を組み、考え込んだ
「、、、、、」
桐島と渡部は息をのんだ
「、、、確かにそうだな!悪いな!変な事言って!」
九頭はニカッと笑いながら言った
「、、、、、」
桐島と渡部は目を合わせ、一息ついた
翌日 昼休み
また徒仲達は学食にいた
「昨日は不覚にも気を失ってしまいました、、、申し訳ない!」
徒仲はビシッと頭を下げた
「まあいいけどよ どうすんだよ?」
外山はお茶をグッと一杯飲んだ
「もう直接聞いちゃう?明らかに変だしね」
北脇は皆に訊ねた
「直接聞くのはまだやめとこ それはホントに最後の手段って事で」
徒仲は頭を上げ、席についた
「じゃあどーするんだ?」
九頭はナゼか野波佳の方を見ながら言ったが野波佳は特に反応しなかった
「調査の醍醐味って言ったらやっぱり、尾行!だとは思いませんか!?」
徒仲はバン!と机を叩いた
午後の授業
桐島はボーっと窓の外を眺めていた
教師の声はBGMのように、右から左へ流れている
何気なく寝返りのような感覚で首を置き換えた
すると視界に入るのは渡部だけになった
「、、、、、」
またボーっと渡部の姿を眺めた
渡部は、たまに黒板を見るため顔を上げ、また目線を下に戻しノートに書き込む、一連の動作を繰り返していた
「、、、、、」
桐島から見れば、その綺麗な肌とサラサラな黒髪、メガネの奥の常にウルウルしている瞳だけで充分な画になった
(、、、付き合ってんだよな、、、)
改めて考え直してみると嬉しいような恥ずかしいようなむず痒い気分になった
だがとても幸せな気分だった
(でも、付き合ってるから何かとか、、、まだした事ねえよな 家も方向違うから一緒に帰りづらいし、、、)
桐島は小さくため息をつきながら考えていた
(、、、あ、そういやこの前バカップルが、、、)
桐島は以前の野波佳と徒仲の会話を思い出していた
『麻癒!前言ってたとこ、帰りに行こうぜ』
『焦栄覚えててくれたんだ!うん!行こ行こ!』
(、、、とかいう会話してたな 場所は忘れたけど、、、寄り道ぐらいなら出来るよな)
桐島は心の中で頷いていた
(つっても場所がな、、、何にも思いつかねえな やっぱ買い物か?服とか、、、でもいきなり言っても準備なんて出来てねえだろうしな、、、じゃあ飯か?いや時間的にもおかしいよな、、、)
桐島はひたすら自問自答を繰り返していた
(あれ、、、なんで何にも思いつかねえんだ、、、?そういや、自分から遊びに誘ったりとか、今までした事ねえかも、、、)
桐島は今までの自分を思い返した
『いや、、、2人で行こうかなぁって、、、思ってんだけど』
『、、、え?』
(、、、一回だけか、、、)
桐島は下唇を強く噛み締めた
(それより、今は場所を考えないとな)
桐島はまた寝返りをうつように反対側を向き、窓の外を眺めていた




