冗談
桐島と渡部の2人はいつの間にか、人が少ない場所に来ていた
だが、少し離れた人が多い場所の空気を感じる事が出来る場所だった
たくさんの人の声も混ざり合い、雑音として聞こえてくる
そんな場所にある、平らな石に2人は座っていた
「、、、、、」
「、、、、、」
2人の間には沈黙が流れていた
だが手だけは、しっかりと握られていた
「、、、、、」
(、、、なんだよこの状況、、、変な事になっちまったな、、、)
桐島は表情には一切出さず、考えていた
(何か話した方がいいのか、、、?でもな、、、)
桐島はチラッと渡部の顔を見た だが見るのも恥ずかしくすぐに目をそらした
(恥ずかしいっつうか気まずいっつうか、、、渡部もそうなのか、、、?)
桐島は寺の全体を眺め、気を紛らわそうとしていた
「ねえ桐島君、、、」
ふいに渡部は呟くように言った
「えっ?、、、な、なんだ?どうした?」
「あのね、、、クリスマスの日の、、、事なんだけど、、、」
渡部はもじもじと繋いでいない方の手を口に添えながら言った
「、、、、、」
(クリスマス、、、ってやっぱり、、、)
『、、、俺は、、、渡部の事が好きだ』
『、、、、、っ!』
(、、、の、事だよな、、、)
桐島はその日の事を思い出していた
「、、、ねえ、聞いてる、、、?」
「あ、ああ!聞いてるよ、、、」
「あのね、、、この話、ホントは次の日の、桐島君の家に言った日にしたかったんだけど、、、ちょっと出来なくて、、、」
渡部はまだ桐島の方を見れずに左前方を見ている
「あ、そうなのか、、、」
『あのね!それで、、、昨日の話なんだけど、、、』
『えっ、、、』
『えっと、、、その、昨日桐島君が私に言ってくれた事、、、』
『、、、、、っ!』
(これだよな、、、)
桐島は頭の中にもう一度その日の状況を刷り込んだ
(確かこの時は、焦栄と愛が帰ってきたんだよな、、、)
「、、、冗談、、、なんだよね?」
「、、、は?」
桐島は思わず渡部の言葉を聞き返した
「からかってるっていうか、、、その場の勢いっていうか、、、そうなんでしょ?それだけ確認しときたかったの!」
「、、、、、」
桐島は唖然とした表情で渡部を見ている
(、、、今だったら、、、引き返せんのかな、、、)
桐島は下唇を噛み締めた
(今、この手離して、、、なんでもなかったって言えば、、、)
桐島は渡部の方を向きながらゆっくりと目を閉じた
、、、ギュッ
桐島は先ほどまでより渡部の手を強く握った
「、、、冗談なんかじゃねえって、、、前も言ったろ?」
「え、、、?」
渡部は桐島の顔を見た 桐島の方が背が高い分、少し見上げる形になった
「冗談でこんな事言わねえって前も言ったろ?」
「、、、う、うん、言ってたけど、、、」
渡部は慌てて目をそらした
「、、、よく考えたら、前の言い方じゃおかしいよな、、、」
「、、、え?」
渡部はまた桐島の顔を見上げた
桐島も渡部を見ていた
「、、、俺と、、、付き合ってほしい、、、」
寺の付近の人達の騒ぎ声は増し、寺の中でも、年越しに向けて和太鼓が準備されていた




