握った手
「ってて、、、なんだよいきなり、、、ムカつくな」
桐島はイラついた様子で人の波が収まるのを待った
「、、、誰もいねえ、、、俺だけか?はぐれてんのは、、、」
桐島はキョロキョロと周りを見渡す
「とりあえず誰か探すか、、、」
桐島は人混みの中、テキトーにうろつきだした
すると少し離れた場所に渡部を見つけた
「あ、、、、、」
2、3歩駆け寄ったが、桐島はそこで足を止めた
(どうすっかな、、、今、渡部と2人きりになってもな、、、)
桐島はそう考えたが、渡部が誰かと喋っている事に気づいた
(あれ、、、もう誰かといんのか、、、?)
桐島はホッとしたと同時に、少し悔しかった
また渡部のもとに駆け寄ろうとしたが桐島は再び足を止めた
渡部が喋っている相手は西野和也だった
(あいつ、、、文化祭の時の、、、)
桐島は陰から2人の様子を窺っていた
「久しぶりだな 歩」
西野は嬉しそうに渡部に挨拶する
「はい お久しぶりです!」
渡部も笑顔で挨拶を返した
「1人か?こんなとこで」
「違いますよ!友達と来てたんです でも今の流れではぐれちゃいました」
「ははっ、俺も」
「なに話してんだ、、、?全然聞こえねえ、、、」
桐島はバレないように距離を保ち、上手く人混みに紛れて2人を見ていた
「、、、ふん、嬉しそうに笑いやがってよ、、、」
(今日俺と会った時は無表情だったくせに、、、)
桐島は渡部の反応に不満を抱いていた
「あ、じゃあちょっと向こう行かないか?」
西野は方向を指さしながら言った
「え?何かあるんですか?」
「ああ、ここ場所的には高いだろ?だから夜景が綺麗に見える場所があるんだよ」
「夜景、、、ですか、、、」
渡部は夜景を思い浮かべながら目を輝かせた
「ああ、多分人も少ないだろうし、ゆっくり見れるんじゃないかな?」
「、、、見てみたいですけど、、、私、友達探さないと みんなも多分探してくれてると思うので、、、」
「いいじゃん すぐ近くだからさ」
西野は渡部の手を握った
「あっ、、、」
「あ、あの野郎、手ぇ握りやがった!」
(クソっ!)
桐島は我慢ならず、2人のもとに駆け寄った
「お~い、渡部」
桐島はさも今来たかのように渡部に声をかけた
「き、桐島君っ!?」
渡部は慌てて西野の手を離した
「あ、歩の高校の文化祭の時の、、、えっと、桐島君、、、だよな?」
西野は桐島の顔を見て思い出しながら言った
「はい」
桐島は質素に返事だけをした
「そういや俺の名前は言ってなかったよな 西野和也 よろしく」
「、、、桐島誠哉です」
笑顔の西野に反し、桐島はあまり良い表情ではなく、軽く会釈をしただけだった
「じゃあすいません、、、俺らは行きますね」
桐島は渡部の手を握り、歩き出した
「え?あの、、、」
「すいません コイツ、今日は俺の連れなんで」
西野の言葉を遮り、桐島ははっきり言い放った
「えっ?き、桐島君、、、」
「いいから 行くぞ」
桐島は渡部の手を強引に引いた
「で、でも、、、、、」
「、、、、、」
桐島はそれ以上、渡部の言葉には反応しなかった
「す、すいません、、、!」
渡部は手を引かれながらも、後ろを向いて頭を下げた
西野はうっすら微笑みながら手を振っていた
桐島は振り向かず、立ち止まらず、歩き続けた
「ちょ、ちょっと桐島君、、、どこ向かってるの!?」
渡部は手を引かれ、危なっかしく歩く
「、、、知らねえよそんなの」
桐島は前を見続けながら言った
「え、、、?じゃ、じゃあとりあえず手、離してよ、、、」
「、、、、、」
渡部の言葉に桐島は反応しなかった お構いなしに歩き続ける
「き、聞いてる?桐島君、、、」
「、、、、、」
「桐島君!離してってば!」
「離さねえよ!」
桐島は立ち止まり、振り返った
「っ、、、、、」
渡部は思わず口を閉じた
「もう、、、この手、今年は離さねえからな、、、」
桐島はまた前を見ながら言った
「え、、、、、」
桐島の意外な言葉を聞き、渡部は分かりやすいほど動揺した




