人波
時刻は23時頃
桐島と鈴科は近所の寺に到着していた
「お~!まだ人がいっぱいいる~!」
鈴科は周りを見渡しながら目を輝かせていた
「まあ殆どの奴らが日付変わるまでいるだろうからな」
桐島は寒そうに両手をジャンパーのポケットに突っ込んでいた
「じゃあさ!じゃあさ!端から見ていこー!」
鈴科は桐島の腕を引っ張りだした
「手短に頼むぞ」
桐島は大人しくついていった
「、、、、、」
瞬はキョロキョロと周りを見ていた
「どうかした?純?」
それに気づいた安川は瞬に訊ねた
「喉渇いたからね なんかないかなーって思ってたんだけど」
「あー確かちょっと向こうになんかあったよね」
安川は右後方を指差す
「飲み物も売ってたと思うよ」
「うむ、私も喉が渇いたぞ 純、行くぞ」
いきなり話に入ってきた浜は安川が指を差していた方向に歩き出した
「さ、先々行かないでくださいよ先輩!」
瞬は浜とはぐれないようについていった
「あ、、、みんなで行けばいいのに」
安川はいじけたように息をついた
「ありましたよ先輩 ここですよ」
瞬は飲み物も売っている屋台を見つけた
「うむ、、、」
浜は商品を見ながら悩んでいた
「先輩いっつも悩んだって最後にはアスエリアク選ぶじゃないですか」
瞬は少し急かすような言い方をした
「うむ、まあ待て 焦るな」
浜はじっくりと商品を吟味していた
「あ、ここにあるよ!」
「いちいち言わなくていいからよ さっさと買おうぜ」
瞬と浜の後ろからこんな会話が聞こえてきた
「、、、、、」
(なんか聞き覚えのある声、、、)
瞬は何気なく振り返った
「おしるこにしよっかな!」
「お前喉渇いてたんじゃねえのかよ」
「おしるこでも喉は潤うの!」
「、、、まあ別にいいけどな」
後ろにいたのは鈴科と桐島だった
「、、、あ!」
瞬は思わず声に出してしまった
「?、、、あっ!瞬さん!」
桐島も瞬と浜がいる事に気づいた
「む?」
浜も振り返った
「あ、、、来てたんすか、、、」
桐島はなんとも言えない気恥ずかしい言い方をした
「来てたけど、、、誰よこの子~?」
瞬はニヤニヤしながら訊ねた
「彼女か?彼女か?」
浜は桐島に詰め寄った
「あ、彼女に見えますか!?」
鈴科は嬉しそうに確認する
「見えますかじゃねー!違いますよ!後輩っていうか、、、幼なじみ?です、、、」
桐島は鈴科との関係を言い表す最適な表現が見つからなかった
「へぇ~、そうなんだ~」
「なんですかその言い方は!」
桐島はキッと瞬を睨む
その後、ちゃんとした説明で2人に理解してもらえた
「じゃあみんなと一緒に行かない?向こうにいると思うし」
瞬は皆がいるであろう方向を指差した
「え、、、みんないるんですか、、、」
桐島は野波佳の誘いを断った事と、渡部に告白をした事のせいで、皆に会うのは気まずかった
「さっさと行くぞ」
浜はおしるこ片手に歩き出した
「俺らはやめときます どうせ早く帰らな、、、」
「はーい!浜さん!ついていきます!」
鈴科は浜とぴったりくっついていた
「お、おい!」
「まあいいじゃない 桐島君も、ね?」
瞬は浜に続いて歩き出した
「、、、、、」
桐島は仕方なく、皆のもとに向かう事になった
「なぁなぁ!年変わるまであと何分だ!?」
「え~っと、、、30分ぐらいかしらね」
九頭の問いに北脇は携帯を開き、こたえた
「年変わってもてめえの脳内は変わんねえんだろうな」
外山は溜め息混じりに言った
「ん?どういう意味?」
九頭は外山の言葉の真意を片岡に訊ねた
「あなたの頭はお花畑って事よ~」
片岡はニコニコ笑顔で答えた
「ふ~ん!なんか幸せそうだな!」
九頭は満足げな笑顔を浮かべていた
「きっと幸せだと思うわよ」
安川は九頭の頭をなでた
「寒いな~麻癒~」
野波佳は体を縮こませながら徒仲に言った
「そうだね~、でも楽しいね!」
徒仲は野波佳の腕に抱きついた
「だよなぁー!ははは!」
野波佳はだらしない表情で笑った
「焦栄は暖かいね~♪」
「そうか?」
「、、、、、」
渡部はそんな野波佳と徒仲の様子を見ていた
「、、、、、はぁ」
渡部は肩を落としながらため息をついた
「年最後の日にため息をつくな」
突如背後から浜の声が聞こえてきた
「ひゃあっ!」
渡部は驚き声を上げた
「こんばんは!歩さん!」
続いて鈴科も後ろから現れた
「あ、愛ちゃん?」
渡部は急な鈴科の登場に思わず訊ねた
「え?愛ちゃん!?」
「鈴科?何してんだよ?」
安川と野波佳も鈴科の存在に気づいた
「え?みんな知ってるんだ」
瞬は意外そうに残念がった
「あとは片岡先輩と九頭ぐらいですよ 知らないのは」
桐島は後ろから説明した
(、、、、、え?)
渡部はふと振り返った
そこには寒そうに桐島が立っている姿があった
(、、、桐島君、、、)
渡部は呆然とした表情になった
「桐島 お前来てたのかよ?」
「まあちょっとな、、、」
「さっさと来いよなー!」
「来るつもりはなかったけどな」
桐島は外山や九頭と話していた
「、、、、、」
渡部はひたすら呆然と桐島を見ていた
(びっくりした、、、桐島君、来てたんだ、、、)
いきなり意外な人物が現れ、渡部の胸はドキドキとなっていた
ワーー!ワーー!
ザワザワザワザワ
キャー!アーーッ!
すると突然、大量の人の波がなだれ込んできた
どうやら歌舞伎の役者達が急遽、新たなパフォーマンスを始めるようだ
帰ろうとしていた客達が一斉に戻ってきた
「な、なんだよオイ!」
「ちょっとは一般人を気にしなさいよね!」
桐島達はもちろん、他の人達も巻き込まれていた
桐島達は、人の波のせいで全員散り散りになってしまった




