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  作者: 外山
32/216

理由

もう20分以上は経っただろうか


桐島と渡部はずっと噴水ショーを見ていた



色んな感想を述べながら楽しそうにしている渡部とは対照的に、桐島はなんとなく、ぼーっと眺めているだけだった


(ったく、、、いつまで見てる気だよ、、、)

桐島は小さく息をつき、目だけ渡部を見る


「わぁ!次はレジャーバードだ!」

渡部は小さく拍手をしながら目を輝かせている


「、、、、、」

(まあ、こいつが楽しいんならいいけど、、、)

桐島はベンチに深くもたれた

(、、、え?)

桐島は自分の考え方に違和感を感じた

(、、、なんで渡部が楽しいんならいいんだよ、、、よくねえよ!俺が嫌なんだから!)

桐島は片手で頭を押さえながら小さく首を振る

(、、、つーかそもそも嫌なのか、、、?もう30分ぐらいここにいるけど、、、別にイライラとかしてねえよな、俺、、、)

桐島は落ち着いて現状を把握しようとした


(俺は噴水ショーには興味がない、寒い、30分座らされている、、、それで嫌じゃねえって事は、、、)

桐島はバレないようにチラッと渡部を見る

渡部はフードを被ったままマフラーを口元で押さえている

(もしかして俺、、、渡部の事、、、す、、、す、、、)

すると渡部はくるっと桐島の方を振り向いた

「? どうかした?桐島君」

「はっ!?いや!な、なんもねえけど?」

渡部の急な呼びかけに桐島は必死で平静を装った

「そう?」

渡部は少し不審に思いながらも特に気にする事はなく、また噴水ショーに注目していた


「、、、、、」

(、、、もし好きになるんなら、、、もっと早くなってるはずだよな、、、)

桐島はふと、渡部と初めて会った時と、それからの日々を思い出していた

(なんでか全然分かんねえ、、、分かんねえけど、何故か初めて渡部を見た時、、、)

桐島は隣にいる渡部を見た

(絶対、、、深く関わっちゃいけねえ気がした、、、)

桐島はぐっと下唇を噛み締めた

(あの頭痛も酷くなったり、変な夢を見る回数も増えたような気がする、、、それと渡部が関係あんのかは知らねえけど、、、)


その事を思い出すと、軽くだが例の頭痛が起こった

と、同時に酔うような気持ち悪い感覚にもなった


「じゃあ、そろそろみんなのとこ行こっか?桐島君!」

渡部はイスから立ち上がりながら言った

「まだ噴水ショーの途中だけど、、、まあ仕方な、、、」

「座れよ」

「、、、え?」

桐島はイスに座ったまま、先ほどまで渡部が座っていたスペースをポンポンと叩いた


(でも、、、それでも、、、)



「、、、?」

(さっきまであんなにつまらなさそうにしてたのに、、、)

渡部は桐島の意図が分からなかった

(あ、分かった!ホントは噴水ショーが好きなんだ!)

渡部は一つの答えが閃いた



(関わっちゃいけねえ気がしても、、、頭痛がしても変な夢見るようになっても、、、、、、)



「え~?なんで~?早くみんなのとこ行かないとダメなんじゃないの?」

渡部はイジワルそうにニヤニヤしながら言ってみせた

「いいから、、、座れよ」

桐島は先ほどと同じ様子だった

「だからなんで~?」

渡部は桐島から「噴水ショー」というワードを引きだそうとしていた


(それでも俺が、、、渡部といる理由は、、、渡部といたい理由は、、、)



「好きだからだよ」

桐島はぶっきらぼうに呟く

(お、言った言った♪)

渡部は誘導した通りになり、楽しそうだった

「何が好きなの~?主語が足りないよ?」

渡部は何故か勝ち誇った表情で言った

「お前の事が」

「、、、え?」

渡部の表情は一気に変わった



(もうなんだかんだ理由つけてごまかさねえ 俺はそうやってずっと、自分の気持ちから逃げてただけだ)



「、、、俺は、、、渡部の事が好きだ」

「、、、、、っ!」



桐島の突然の言葉に、渡部は息を呑む事しか出来なかった








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