食い違い
バスを降りる事が出来なかった桐島と渡部は、次のバス停で降りる事にした
「ったく、、、余計に金かかっちまったじゃねえか、、、ズズ」
桐島は鼻をすすりながらとりあえず渡部をバス停のイスに座らせた
「うぅ、、、ごめん、、、」
渡部は青ざめた表情で謝る
「ま、まあいいけどよ、、、大丈夫かよ、、、」
桐島は思ったより辛そうにしている渡部の背中をさすった
「ひゃわっ!」
渡部はビクッと全身で反応した
「へ、変な声出すなよ!」
桐島は周りの目を気にしながら手を引っ込めた
「う、うん、、、」
「、、、、、」
「、、、、、」
妙に気まずい沈黙が流れた
「、、、じゃ、じゃあそろそろ行こっか!ここからなら歩いて噴水広場に向かえるしね!」
渡部は空気を変えるために明るい声で言った
「もう大丈夫なのかよ?」
「うん!大丈夫大丈夫!」
渡部は立ち上がり、先に歩き始めた
「、、、、、」
桐島も続き、噴水広場に向かって歩き出した
「、、、、、」
「、、、、、」
2人は特に会話をする訳でもなく、淡々と歩いていた
「、、、、、」
桐島はチラッと渡部の方を見た
(、、、なんでかな、、、前よりなんか、、、)
桐島は頭をかき、考え込む
「、、、、、」
桐島は昨日、渡部から貰った御守りを確認した 貰った時から首からさげていた
(、、、これ貰ったからか、、、?)
桐島は御守りを服の上から握りながらまたチラッと渡部の方に目をやった
(、、、前までより、、、渡部といると、変に緊張する、、、)
桐島は不思議そうに首を傾げる
「ねえ桐島君、、、」
「えっ?ん?ど、どうした?」
考え事をしている時に話しかけられ、桐島は動揺した
「、、、思ったより遠いね」
渡部はげっそりした表情で言った
「え、、、?あ、ああ、そうだな、、、」
「オマケに寒いし、、、もぉ嫌だよ、、、」
渡部はため息まじりに言った
「これからもっと寒くなんだろ 1月2月には雪も降るしな」
「うぅ、、、考えたくもないよ」
渡部は上着のフードをグッと深くかぶる
「大体嫌なのはこっちの方だっつうの 一つ多めに金払って、しかも歩かされてよ なんか鼻水も出るし」
桐島は意地悪そうな言い方をした
「うん、、、ごめん、、、」
「まあ別にいいけどな こうやってしてんのも楽しいし」
「、、、そ、そぉ?」
渡部はおそるおそるフードの中から桐島の表情をうかがう
「ああ」
「、、、そっか、、、良かった!」
渡部は安心した表情で言った
桐島もその表情を見て安心した
「、、、、、」
(、、、あれ?何が楽しいんだ?バス降りれなくて無駄に歩いて、、、)
桐島は自分で言った言葉の意味が理解出来なかった
(みんなともはぐれちまったし、、、楽しい事なんて一つもねえはず、、、あるとしたら、、、)
桐島は色々と考えた後、渡部を見た
「、、、、、」
「、、、?」
無言で見つめてくる桐島に対し、渡部は不思議そうに首を傾げる
♪~♪
すると桐島の携帯がなった
「っ!!」
桐島は慌てて携帯を取り出した
「は、はいはい、あ、焦栄か、、、大丈夫大丈夫、もう着くからよ、、、」
桐島は電話を切った
「野波佳君?」
「ああ、噴水広場でうろついてるから探してくれってよ 入り口で待っててくれりゃいいのに」
「、、、、、」
渡部はじーっと桐島の右手にある携帯を見る
「、、、?な、なんだよ、、、?」
「携帯、、、羨ましいなぁって思って、、、」
渡部は口元に指を添え、物欲しそうに携帯を見つめた
「そういや渡部は携帯持ってないよな なんで?」
「ちょっとお父さんが堅い人だからかな、、、お医者さんなんだけど、高校生とかに携帯持たすのは反対みたいで」
「ふ~ん、、、大学生だったらいいのか?兄弟とか姉妹とかいんの?」
「姉妹、、、、、」
渡部は急に暗い表情に変わった
『もう、帰ってこないでくれますか?こっちにあなた達の居場所はないですから』
渡部の脳裏に1人の少女が浮かび上がった
「、、、、、」
渡部は寂しそうな表情をしながらゆっくりと口を開いた
「姉妹とかは、、、いないよ」
「、、、そうか?」
桐島は渡部の異変に気づきながらも言及する事はなかった




