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  作者: 外山
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お守り

12月24日 クリスマス・イブ


時刻は20時



渡部達はまだ鈴科孤児院の子供達と遊んでいた


「、、、あれ?」

渡部はキョロキョロと周りを見渡し、ある事に気づいた

(、、、桐島君がいない、、、どこ行ったんだろ?)

桐島は先ほど部屋を出たっきり、帰ってきていない

(ちょっと見に行って見ようかな、、、)

渡部はふらふらっと部屋を出た

(確かこっちに行ってたような、、、)

渡部は出入り口とは反対に、奥へ進んで行った





節約なのかなんなのか、廊下の電気は基本的にどこもついておらず、窓から差し込む街灯と月明かりだけが視界を保っていた

(なんでこんなに暗いの、、、うぅ~)

暗さに加え、寒さもあるため渡部にとっては余計につらかった






しばらく歩くと、突き当たりに渡り廊下があった

今いる棟とは別に向かいにも棟があった

だが明らかに使われておらず全体的に寂れていた

廃施設のようでやはり怖い

(怖っ、、、桐島君が来たの、こっちじゃなかったのかな、、、)

渡部は来た廊下を一旦戻ろうとしたが、ある事に気づいた

「あ、、、」

靴箱のようなモノがあり、その中にはいくつか外用のスリッパがあった

だが一組だけ、内用のスリッパがあった

「、、、、、」







渡部はスリッパは履き替え、小さい中庭を歩いていた

(うぅ、、、やっぱり外の方が寒い、、、)

渡部は両腕をスリスリとさする

「、、、あ」

渡部は少し先にベンチがあるのが見えた

後頭部しか見えないがそこに桐島が座っているのが分かった

暗さと寒さで不安になっていたが少し安心した

渡部はタタッと桐島のもとへ駆け寄った

「桐島君!」

「わっ!あ、渡部か、、、」

誰もこないだろうと油断していた桐島はいきなり渡部が現れた事に驚いた

「こんな寒いところで何してるの?」

渡部は両腕をさすり、寒そうな素振りを見せた

「渡部こそどうしたんだよ?向こうでなんかあったか?」

「ううん、なんにもないけど、、、桐島君がいなかったから探しにきたの」

「そうか、、、ま、座れよ」

桐島はポンポンとベンチを叩いた

「う、うん」

渡部は椅子の様子を気にしながら言われるがまま座った

「、、、今日さ、見てたのか?」

桐島はふと呟くように訊ねた

「え?」

「あの、、、俺が愛と買い物行ってたとこ、、、」

桐島は少し濁すような口調になった

「あ、、、うん たまたま見かけて、真奈美さんが尾けようって言い出して、、、みんなで尾けてた、、、」

「そうか、、、」

桐島はふぅ、と息をついた

(や、やっぱり怒ってるよね、、、)

「ご、ごめんなさい、、、」

渡部はどうしていいか分からず、謝る事しか出来なかった

「いや謝んなくていいけど、、、それよりその、、、勘違いすんなよ」

「、、、え?」

「愛とは小さい時からの付き合いで、、、家族みたいなもんだからさ、、、」

「う、うん、、、?そうなんだ、、、?」

渡部は桐島の言いたい事がよく分からなかった

「だから、お前らが思ってたような関係じゃねえって事だよ、彼女とか、、、」

桐島は鈍い渡部にも分かりやすいように話した

「え、、、あ、そういう事?」

「そういう事だよ、、、」

桐島は妙に気恥ずかしい気分だった

「そっか、、、」

渡部はホッとしたような表情を浮かべた

(、、、なんでわざわざ渡部に言い訳する必要があるんだよ、、、でも誤解されたままだと気分悪いしな、、、)

桐島はチラチラ渡部を見ながら考えていた

「あ、それで、ここでなにしてたの?」

渡部はぐっと桐島に顔を寄せた

「えっ?」

(ち、近いって、、、)

桐島はドキッとした気持ちを抑えるように息を整える

(なんでこんなにどぎまぎしなきゃなんねえんだよ、、、)

桐島はまた渡部を見ながら考えていた

「ねえ?聞いてる?」

「へっ?あ、ああ、、、」

桐島は落ち着いて周りを見渡した

「、、、別に、何してる訳でもねえんだけどな、、、」

桐島はベンチに深くもたれ夜空を見上げた

渡部も桐島の真似をして上を見る

「ここさ、、、星とか、空が綺麗に見えるだろ?だから好きなんだよ 1人にもなれるし」

「へぇ~、、、ちょっと意外だね」

「失礼なヤツだな、、、このベンチだって俺がまだ小さい時にここまで運んできたんだぞ?ゆっくり空見るためにな」

「、、、、、」

渡部は空を見ながらチラッと桐島を見た

「、、、ねえ桐島君」

渡部はゆっくりと口を開いた

「ん?」

「桐島君は、、、昔、この孤児院にいたの?」

「、、、、、」

渡部はこの質問を桐島にしていいのか分からなかった だが口をついて出たのはこれだった

「、、、ああ、物心ついた時から小6までな、、、中学からは鈴科孤児院の、、、てゆうかおばあちゃんのツテでアパートで1人暮らししてる、、、今もな」

桐島は空を見たまま、顔を下げずに言った

「そうなんだ、、、」

渡部は自分で聞いておいて少し申し訳なく思った

「ここにいる奴らはさ、殆ど小さい内に引き取り手が来るんだよ まあ大体、、、小4ぐらいまでにはな」

「、、、、、」

渡部はじっと黙って話を聞く

「だからちょっと仲良くなった奴がいても、すぐみんないなくなるんだよ、、、ンナ事当たり前だし、良い事なんだけど、なんか嫌だった、、、俺だけ取り残されてる気がして、、、」

(、、、そういう経験が、桐島君の人見知りなとことか、野波佳君が言ってた協調性がどうこう、っていうのに関係してるのかな、、、)

渡部は文化祭前日の野波佳との会話を思い出していた

「桐島君に、引き取り手はいなかったの、、、?」

渡部は桐島の様子を窺いながら言った

「俺は、、、おばあちゃんの本当の孫だから、、、母方のな ま、母親の顔も声もなんにも覚えてねえし名前も知らねえけどな おばあちゃんに聞けば分かるんだろうけど、、、別に知りたくねえし、交通事故で亡くなったって事だけは聞いたけどな」

「そうだったんだ、、、」

渡部は一応頭では納得した

「愛の場合は、別に血が繋がってる訳じゃねえんだけど、、、なんかすげえここが好きみたいでさ、とにかく出たがらねえんだよ、、、まあみんなそうなんだけどアイツは特にな 引き取り手の人が来ても、俺とおばあちゃんの後ろに隠れたりしてよ」

桐島はいつもと違い穏やかな様子だった

「でもそうやって色んな奴が離れていくとさ、、、最初から関わらない方が良かったんじゃないかって思うようになってきたんだよ、、、どうせ仲良くなったって、すぐ別れる、、、縁切る事になるんだから」

桐島は空を見たままだったが声は僅かに暗くなっていた

「孤児院を出て中学から1人暮らししてたんだけど、、、多分中学は、焦栄がいなかったらつまんなかっただろうなって、今は思うな」

「え?野波佳君?」

「ああ、焦栄と、、、もう1人ぐらいしかまともな友達ってのがいなかったからさ 俺結構周りから嫌われてたし、、、」

「、、、もう1人、、、?」

渡部は桐島の言葉の中に気になる部分があった

「、、、まあそいつは、、、気にしないでくれ」

「、、、うん」

桐島にとってそこは触れられたくないのであろうと渡部は感じた

「ま、こんな事、絶対焦栄本人には言えねえけどさ、、、」

桐島はへへっと小さく笑った

「、、、、、」

渡部はじっと桐島の顔を見る

「、、、ふふ」

渡部は小さい声で笑った

「な、なんだよ、、、」

渡部の笑いに桐島はなんだか気恥ずかしくなった

「んーん!ちょっと嬉しかっただけ!」

「、、、?何がだよ?」

桐島は渡部の言葉の意味が全く分からなかった

「それより、、、」

渡部は内ポケットをゴソゴソ探り出した

「コレ!」

渡部はポンと自分の両手の上に何かを置いた

「、、、え?お守り、、、か?」

桐島はそれを手に取りながら言った

「うん!お守り!ちなみに私のはこれだよ」

渡部はもう一つ同じ形のお守りを取り出した

渡部のは赤色 桐島のは緑色だった

「、、、ん?えっと、、、縁、か?」

桐島はお守りの真ん中に描かれている漢字を読んだ

「うん 縁のお守りだよ これを持ってる人同士の縁は切れないの」

渡部は少し得意げに説明する

「そうか、、、ありがとうな こういうのもらったの初めてだ」

桐島は嬉しそうにお守りを眺める

「クリスマスプレゼントだよ!今日渡そうと思ってたんだ」

「クリスマス、、、俺なんも用意してねえ 悪いな」

桐島は一瞬思い出したように頭を巡らせたあと、謝った

「いいの 私が勝手に渡したんだし、、、それに、もう貰ったから」

「え?」

桐島は特に心当たりはなかった

「初めて、、、色々桐島君の話を聞けたから、前より桐島君の事、知った気がするの!」

「そ、そうか、、、?」

「すごく嬉しかったよ?桐島君にとって、私は少しでも心を許せる相手になったって事だよね?」

「え、、、?あ、、、」

(心を、、、?)

桐島は自分でも気づかなかった気持ちをズバリ言い当てられた

「じゃあ私、そろそろ戻るから 桐島君もなるべく早く戻ってきてね!」

「、、、ああ」

渡部は少し照れくさそうに足早に戻っていった

「、、、、、」

桐島はお守りを見つめながら何気なく月明かりに照らしてみた

「、、、?」

するとこのお守り、所々縫い目が一定でなく、細かいほつれが僅かだがあった

「、、、へへっ」

桐島はもう一度【縁】という文字を見つめた







氏名:浜薫はまかおる


性別:女


年齢:18歳(現在)


身長:154センチ


体重:43キロ


長所:ゲーム、料理、勉強が得意


短所:コミュニケーション能力が低い


特徴:いつも眠そうな目つきをしている(眠い訳ではない)








氏名:片岡綾かたおかあや


性別:女


年齢:18歳(現在)


身長:159センチ


体重:51キロ


長所:いつも朗らかで笑顔


短所:他人の話は聞き流し、自分の話は要領を得ない


特徴:ふわふわロングヘアー

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